三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

カトリック大森教会

2011年06月11日 | 東京のカトリック教会
カトリック大森教会(教会堂名:主の公現)
創立:1922年 ◇ 住所:東京都大田区大森北2-5-11

東日本大震災から3ヶ月が経過した。行方不明者は8千人を超え、今なお9万人以上が避難生活を強いられている。 原発事故は収束の見通しが立たず、この瞬間も放射能が空と大地、海を汚染している。政府と東電の悪質な情報隠蔽には、怒髪天を衝く思いだ。政界は「大連立で大増税」を画策し、それを財界とマスコミが後押しする。地方選では、原発推進の候補者が圧勝。福島の恐怖は繰り返されるのか。私は「日本人であること」が耐え難い苦痛となった。

「信心生活の入門」を著した聖フランシスコ・サレジオによれば、このような精神の不安は「霊魂にとって最も不幸な禍(わざわい)である」という。不安によって気力を失い、「悪魔の攻撃(誘惑など)を退けることが困難になる」。そこで、サレジオは「不安の襲来を感じたならば、直ちに天主に祈ること」を薦めている。「汝の感情、並に、希望をば、天主の聖旨(みむね)の導き給ふがまゝに、服従させねばならぬ」。という訳で、遠路はるばると大森教会を訪ねることに。

大森教会の歴史は古く、大正時代にブルトン司教(注)が宣教活動を始めたことに遡る。戦前の聖堂は、「鐘楼を持つゴシック式」であったという。現在の聖堂はモダンな造りだが、心安らぐ空間が広がっている。私が抱く不安の原因は、教会へ通わせまいとするサタンの誘惑に違いない。だが、私は「日本は強い国」「日本人の誇り」などの連呼を聞くたびに、暗澹たる気分になる。醜い日本の原発が地球を汚し、世界の人々に不安を与えているというのに。


現聖堂献堂:1972年

(注):Albert Breton(1882-1954年)。パリ外国宣教会司祭。カトリック福岡司教区長などを務めた。女子修道会の聖母訪問会(鎌倉市)や、聖ヨゼフ病院(横須賀市)を創立。

◆主な参考文献など:
「聖フランシスコ・サレジオの信心生活の入門」 戸塚文卿訳(日本カトリック刊行会・1931年)
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