
カトリック下井草教会(教会堂名:キリスト信者の扶助者聖マリア)
創立:1949年 ◇ 住所:東京都杉並区井草2-31-25
創立:1949年 ◇ 住所:東京都杉並区井草2-31-25
西武新宿線の下井草駅で降り、旧早稲田通りに沿って歩く。新青梅街道を越えると、下井草教会の鐘楼が見えてきた。だが、その背後には巨大なマンション群が、エリコの城壁のように建っているではないか。これには驚いた。数年前、教会の北側にあった育英工業高等専門学校(現サレジオ高専)が町田市に移転し、その跡地の大規模開発によって風景が一変してしまったのだ。献堂時はこの辺りで最も高く聳えていたはずの聖堂が、とても小さく見える。
教会の前庭には、古い切支丹燈籠がある。その説明板を転載。「この燈籠は江戸幕府の弾圧に対して、隠れ切支丹がひそかに礼拝したとされるものです。その特徴は、全体の形が横の短いラテン十字架になっており、竿石の正面下部にはお地蔵さまなどが彫られています。表向きはお地蔵さまとしていますが、キリストやマリアを表します」。だが、江戸時代の悪代官や私のような未信者にはお地蔵さまとしか思えず、十字架や聖母の姿は見えないのだ。
聖堂内には、「扶助者聖マリアとチマッティ神父」のステンドグラスがある。チマッティ神父については、調布教会、三河島教会などの記事で触れた。戦時中、チマッティ神父は「宣教師が助かるならば、扶助者聖マリアに聖堂を捧げる」と誓願した。その願いは叶い、戦後に献堂されたのが下井草教会である。1965年、ロザリオの月にチマッティ神父は帰天。葬儀は下井草教会で行われた。美しい聖堂は、チマッティ神父の慈愛に満たされているかのようだ。

現聖堂献堂:1956年
◆主な参考文献など:
・「チマッティ神父・日本を愛した宣教師」 T・ボスコ、G・コンプリ共著(チマッティ資料館・2001年)