しげる牧師のブログ

聖書のことばから、エッセイを書いています。
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朝の露 <地上をさまよい歩く>

2023-08-30 | 創世記
「あなたが、今日、私を大地の面(おもて)から追い出されたので、私はあなたの御顔(みかお)を避けて隠れ、地上をさまよい歩くさすらい人となります。私を見つけた人は、だれでも私を殺すでしょう。」(創世記4:14新改訳)

アダム夫妻の長男カインは、はやくも悪魔の支配下におかれた。そして兄弟を殺すという恐ろしい実を結んだのである。▼この時以来、人間世界には神の顔を避けて罪の奴隷として生きる人、反対に罪の自覚を持ちながらも神を求めて生きようと願う人、つまりカイン系とセツ系というふたつの流れが生じたのであった。カインの流れは、神に反発し、神を憎み、暴力と力によって世界を支配しようとする生き方を生んだ。それが悪魔に後押しされた反神文明、偶像文化の実体といえよう。いまやこの潮流が世界に満ちつつある。セツ系の流れは信仰者としての生き方を守り、そこに救い主がおいでになった。むろん教会はこの流れに属し、神の国到来の希望に生きる人々からできている。▼「カインの末裔」という作品を残した日本人小説家がいる。彼は原罪の問題を強く意識し、それを追求した人のように思われる。自分自身も内面的な罪の存在に苦しんだのであろう。最後は他人の妻と心中してしまった。イエス・キリストのもとに来て、心から十字架を仰ぐ以外に「カイン的生き方からの解放」はない。