【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「隠し砦の三悪人」:石原二丁目バス停付近の会話

2008-05-10 | ★都02系統(大塚駅~錦糸町駅)

この店、寺尾がやってるちゃんこ屋さん?
寺尾のお兄さんがやってるちゃんこ屋だ。
ボリュームたっぷりなんでしょうね。
「隠し砦の三悪人」も、見どころがちゃんこ盛りだったな。
は?それを言うなら、”てんこ盛り”でしょ。
ちゃんこ料理屋では、”ちゃんこ盛り”って言うんだよ。
うそ!?
うそ。
なにそれ。「隠し砦の三悪人」の見どころがてんこ盛りだっていうのも、うそよね。
いやいや、それはほんとだ。黒沢映画をリメイクしただけあって、話がおもしろい。
そうかなあ。オリジナルのほうが、一難去ってまた一難みたいに、話に工夫があっておもしろかったような記憶があるけど、今回はあんまり手に汗握るって感じじゃなかった。森田芳光の「椿三十郎」みたいに脚本はもとのをそのまま使えばよかったのに、って思っちゃったわ。
でも、そのぶん、現代的になった。森田芳光の「椿三十郎」にはなかった、いまの空気感が出ている。
嵐の松本潤とか長澤まさみのイキの良さがそういう空気をつくりだしているのかもね。
長澤まさみなんて、もっとこういうお転婆な役をたくさんやればいいのにな。テレビの「ラスト・フレンズ」みたいに辛気臭い役ばかりやらないで。
この二人、恋愛感情を抱いたのかな、抱かなかったのかな。別れのシーンの切なさがもっと出てもよかったと思うんだけど。
なんか、そういうことを描くときの樋口真嗣監督って照れちゃうみたいだな。
日本沈没」のときも、奥歯にもののはさまったような恋の描き方だったもんね。
もしかして、この監督、私生活でも濃厚な恋をした経験はないんじゃないのか。
それはプライベートに踏み込みすぎでしょ。たしかに男女の情の出し方にもう少し工夫があってもよかったと思うけど。
全体的に、「どろろ」みたいな印象の映画だったな。あの映画、あまり評判よくなかったみたいだけど、スピード感とかこけおどし感とか、やっぱりいま風で俺の趣味には合ってた。
ああ、そういう意味で見どころがてんこ盛りって言いたいのね。黒澤映画に比べると、はるかに雑然としている印象だけど。
そうそう。その雑然さこそ、いま風というか、若さだと思うわけよ。
ファーストシーンで、字幕が出ているのに、ナレーションがその字幕をなぞるのも、いま風だったけどね。
それは、いま風というより、いまのテレビ番組の悪しき風潮の影響だ。親切とおせっかいを混同している。
あ、わかってるじゃない。
もう黒澤監督はいないのに、黒澤映画と比べようとするのも悪しき風潮だぞ。純粋にいまの映画として楽しめば、出来は水準以上だ。
そうよね。寺尾のいない大相撲を寺尾がいたころと比べてもしょうがないようなもんだわね。
ああ、せめてこのちゃんこ屋であのころを懐かしむか。
あれ、言ってることが矛盾してない?
そう?



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2 コメント

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こんにちは♪ (くろねこ)
2008-05-17 15:24:20
オリジナルをまったくしらないのですが
黒澤作品ていうと「重厚で堅苦しくて暗い」
って勝手なイメージがあったんですよね。
でも椿とコレを見た限りとってもユーモアがあって
楽しい人だたんだなとすっごく好感を持ちました♪
この作品も楽しかったです♪

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くろねこさんへ (ジョー)
2008-05-25 18:31:42
重厚で堅苦しくて暗いのは、黒澤のイメージというより三船敏郎のイメージかもしれませんね。「椿」や「隠し砦」のような軽い映画でも、織田裕二や阿部寛に比べればはるかに重厚ですから。でも、おもしろさは抜群ですから、ぜひオリジナルも観てください。
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