【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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「丘を越えて」:石原四丁目バス停付近の会話

2008-05-17 | ★都02系統(大塚駅~錦糸町駅)

ばね?洋風に言うと、スプリング?
なに、なんで、洋風に言わなきゃいけないの?ルー大柴じゃあるまいし。
でも、菊池寛って、洋風かぶれだったらしいぞ。
元祖ルー大柴ってこと?
そういう話じゃないだろう。俺は文芸春秋をつくった菊池寛の話をしてるの。
たしかに、映画の「丘を越えて」の中には、和服で暮らしていた葉子が菊池寛のところへ就職の面談に行くというので洋装にしたら、一発で合格しちゃったっていうエピソードがあったもんね。
一気に洋風文化が流れ込んできた昭和初期を背景にした、菊池寛を中心とする人々の物語なんだけど、菊池寛の役を西田敏行、秘書の葉子の役を池脇千鶴、朝鮮人編集者の役を西島秀俊が演じている。
池脇千鶴がそのころの洋風ファッションをとっかえひっかえ着て現れるのが、ひとつの見どころよね。
ラスト、コーション」でタン・ウェイがあのころのファッションを次々着こなしていたのを思い出すな。
池脇千鶴だから、あそこまで色っぽくはないけどね。
いや、しかし、彼女の恋の相手を務める西島秀俊は、いい線いってたぜ。このままいけば、日本のトニー・レオンになるんじゃないか。
それは、オーバーでしょう。”トニー・レオンが出てればどんな映画でも傑作と認める女性の会”会長としては、ほっとけない言葉ね。
おいおい、いつからそんな会の会長になったんだ?
いま。
しかし、池脇と西島がクラシックな部屋で別れ話を交わすシーンなんて、アジア映画特有の濃密な空気が流れてたぜ。
そうね。一瞬、ウォン・カーウァイの「花様年華」とかアン・リーの「ラスト、コーション」とかを思い出しちゃったもんね。
幻想の中のダンスシーンなんて、池脇の踊りはどうしても、段取りどおりに動いてみましたっていう感じで、大人の色気に欠けるんだけど、西島は結構色っぽかった。
池脇の踊りは、フィギュア・スケートでいえば、荒川静香の滑りがほしいのに、浅田真央の滑りになっちゃったみたいな感じよね。
でも、西田敏行も含めて、あの戦争が迫りくる時代の一瞬の自由と華やぎを深刻ぶらずにややコミカルに描いた中では、池脇の軽さもしっくり納まっていた。
映画の中で「高等遊民」なんて言葉聞いたの、何十年ぶりかしらね。
夏目漱石の専売特許だからな。森田芳光の「それから」以来かなあ。
監督の高橋伴明も、ところところで、あの当時の映画スタイルに目くばせするお茶目なセンスで、なんともユニークな映画をつくったもんね。
ラストもああいう形で終わらせるなんて、なんとも人を食ってる。
ベテランの余裕よね。
この映画をスプリングに、さらにいい仕事をしてほしいもんだ。
うーん、あなた、やっぱりルー大柴になってない?



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