【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「相棒」:本所一丁目バス停付近の会話

2008-05-03 | ★都02系統(大塚駅~錦糸町駅)

あそこに走ってる船、まさか爆弾積んでたりしないよな?
ああ、映画の「相棒」にはそんなシーンもあったわね。でも、あれはただのフィクション。映画の見過ぎよ。
そうかなあ。「相棒」は、ただの娯楽映画だと思って観に行ったら、意外にリアリティのある社会派映画だったんでびっくりしたんだけど。
犯人の犯行動機に、いまの世界が抱える理不尽な社会情勢があるのよね。
最近の映画は、たいした動機がない犯行がイマ風でオシャレみたいな感覚になってきているけど、この映画はきちんとした社会的な動機があるんで、背骨のある作品になった。単なる犯人さがしの映画になっていない。
犯人がわかってから本格的なドラマが始まるって感じだもんね。
ズシンと胸にくるような、犯行動機が待っている。
ところが、動機の切実さに比べると、犯行の方法が軽佻浮薄な愉快犯の安っぽいゲーム感覚なんで、なんとなくチグハグな感じがしたんだけど。
ああ、娯楽映画だから見せ場をつくらざるを得ないんだろうけど、ちょっと手がこみすぎてた。爆弾を積んだ船なんて、そんな細工までしなくても、って感じだもんな。
動機には同情すべき点がいっぱいあるんだけど、だからって、あんなやり方で人を殺したり、マラソン大会を狙ったりすることはないでしょ、っていう気分・・・。
混乱の続く北京の聖火リレーと根は同じなのかもしれないな。
どういうこと?
何を叫んでも耳を傾けてもらえない社会的弱者は、大きなイベントのときに派手なパフォーマンスをするしか手がないじゃないか、っていう切羽詰まった思い・・・。
なるほど、そういう意味でもタイムリーな問題だってことか。
映画の脚本はとうにできていたんだろうから、先見の明があったってことかもしれない。
しかも、事件の発端が、誰が見ても実際にあった海外の大事件を彷彿とさせる。
国名はフィクションになっているけど、これがアメリカ映画だったら、よりリアリティを持たせるために実在の国名を使っちゃったかもしれないところだ。
登場する政治家ももちろん実在しない名前だけど、アメリカ映画だったら本当にいる政治家の名前を使いかねない。
お国柄の違いってことかな。
でも、荒唐無稽な犯人さがしの娯楽映画だろうと思って観に行ったのに、この世界のありかたに思いを巡らすなんて思ってもみなかったわ。
”おもしろきゃあそれでいいだろう”というテレビドラマの焼き直しみたいな映画だろうと思ってタカをくくっていたのが、大間違いだった。
観ているほうが白けるような楽屋落ちもなかったしね。
まあ、テレビ局主導の映画がマスコミ批判にもつながるような映画をつくったっていうのが、最大の楽屋落ちっていえば、楽屋落ちだな。
残された最大の謎は、最後に本仮谷ユイカはどこへ旅立ったのかってことね。
俺に残された最大の謎は、有森裕子はいったい何位だったのかってことだ。
一応、サブタイトルが、”絶対絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン”だもんね。


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4 コメント

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マラソン (kossy)
2008-05-05 22:17:10
俺に残された謎は岸谷五郎は完走できたのかどうかってことです。
炎上なんて言葉もネットでよく使われるようになりましたけど、学校のイジメの構造と同じですよね。なんだか色んなことが頭をよぎってしまいました。
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ウケました。(笑) (Ageha)
2008-05-06 16:40:41
確かに気になる有森裕子の順位。(コラ)

岸谷五朗さんもやたら顔は印象に残ったけど
そんな出演でよかったん?って。

>何を叫んでも耳を傾けてもらえない社会的弱者は、大きなイベントのときに派手なパフォーマンスをするしか手がないじゃないか、っていう切羽詰まった思い・・・。

ドラマ版相棒の魅力のひとつに
結構タイムリーな話題をネタにするというのがあって
確か裁判員制度を試しにやってみたらどうなるってのもやってたらしいですよ。

聖火ランナーのニュースとかぶるような
犯人の目のつけどころにしても、
何年か前に実際に起きた事件にしても
こういうことを映画のテーマにもってくる
・・・やっぱし「相棒」侮れないです。
ドラマ版が映画になっただけかと思いましたが
けっこう楽しめました。

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kossyさんへ (ジョー)
2008-05-06 19:36:44
オリンピックのマラソンで観客の邪魔が入ったばかりに優勝を逃した選手がいましたが、誰が責任取ったんだろうと気になったものでした。岸谷五朗の場合は誰が責任とるんでしょうね。警察だから責任取らないのかな?
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Agehaさんへ (ジョー)
2008-05-06 19:48:21
残念ながらテレビ版は観ていませんが、映画の冒頭タイトルには「劇場版」というタイトルが入っていませんでした。スタッフとしては、きっとテレビ版の拡大ではなく、純粋に映画をめざしたのでしょうね。それだけに、テレビ版を観ていない人間にもじゅうぶん楽しめる映画になっていました。
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