【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」:木場駅前バス停付近の会話

2010-05-19 | ★業10系統(新橋~業平橋)

おや、こんな下町に場違いなフランス料理店が。
ジョニー・トーの映画にフランス人が出演しているようなもんかしらね。
ああ、「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」のことだろ。あくまで香港ローカルの映画監督だと思っていたジョニー・トーがフランス人を主役に持ってくるとは意外だった。
しかも、フランスの国民的歌手、ジョニー・アリディよ。そんなの、ありディ?
うーん、お前も驚きのあまり頭が壊れたか。
でも、ジョニー・アリディだって、昔受けた弾丸の影響で頭が壊れ、記憶が薄れかけている元殺し屋の役よ。
いまは、パリのレストランの店長。
ここのお店みたいなメニューを出すのかしら。
この際、ここも、「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」公開記念メニューでも出せばいいのにな。
冷麺でも出てきそうで、売れないと思うけどね。
時代を先取りしすぎか?
逆よ。時代遅れなのよ、この映画みたいに。
そうだな。こんなに映画らしい映画が、東京でも小さな映画館数館でしか上映されない時代になっちゃったんだもんな。寂しい世の中になったもんだ。
彼のマカオに住む娘一家が惨殺され、ジョニー・アリディは現地の殺し屋と手を組んで復讐をはかる。
この殺し屋たちを演じる俳優は、アンソニー・ウォンをはじめ、ジョニー・トー映画の常連だし、そこから先は、この監督一流の男臭くてスタイリッシュな世界が広がる。
この香港映画独特の世界に、ジョニー・アリディがここまで馴染むとは、正直、予想もしていなかった。
硝煙と風雨にまみれた映画の中で、灰色の瞳が絶大な効果をあげている。
月にむら雲がかかり、あたりが明るくなったり暗くなったりする中に浮かび上がってくる皺だらけの顔。
そして、光と闇を一遍に取り込んだような灰色の瞳。
彼を取り巻くのは、香港きっての男っぽい連中。
その中で繰り広げられる加齢なる銃撃戦。
待って。“加齢なる”じゃなくて“華麗なる”銃撃戦でしょ?
正しくは、加齢なる男たちの華麗なる銃撃戦だ。
とにかく、出てくる男たちに一本芯が通っていて、観ていて懐かしいほど魅力的なのよね。
約束は果たすもんだ、という一徹な思いには不覚の涙がこぼれてきそうなほどだ。
そう。その思いをみんな、愚直なまでに実践する。
女たちだって、出番は少ないけど、この世界にぴったりはまって映画を支えている。
ここまで、監督の趣味と思いが画面の隅々にまで息づいている映画も貴重かもしれないわね。
欲をいえば、ジョニー・アリディの歌う場面が観てみたかったけどな。
彼が料理をつくる場面じゃダメ?
あれも男たちに絆が生まれる意味深いシーンだったけど、料理じゃ観客は食べられないからなあ。
ここのお店で食べたら?
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」公開記念メニューがあればな。
冷麺でも?







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ふたりが乗ったのは、都バス<業10系統>
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