ここから先は、高速道路だ。
世の中、高速をスイスイ走るような人生もあれば、凸凹道をノラクラ歩くような人生もあるのよねえ。
なに、気取ったこと言ってるんだ?
いや、凸凹道をノラクラ歩くような女たちが出てくる「パーマネント野ばら」なんていう映画を観ちゃったもんだからさ。
ああ、あの映画に出てきた女たちはみんな、お世辞にも高速をスイスイ走るような人生は送ってないもんな。
主役の菅野美穂も、小池栄子も池脇千鶴も、みんな男に恵まれない低空飛行の女たち。
身につまされる?
あなたみたいな男の近くにいる身としてはね。
おいおい、いくらなんでも、俺はあそこまでどーしよーもない男じゃないぜ。
男はみんなそう、うそぶくのよ。
そうかなあ。俺はどっちかって言うと、菅野美穂の恋人役の江口洋介にそっくりだなあと思って観てたんだけど。
んなわけないでしょ。それに恋人役とはいえ、結局、彼の存在にもある秘密があったんだから。
ああ、映画ならではのギミックが仕掛けられていて、菅野美穂の深い孤独感が露わになる。
あら、あなたなら「手垢にまみれた手法だ」ってボロクソにこき下ろすかと思ったのに、まんざらでもないのね。
西原理恵子原作だけあって、監督は違うものの「女の子ものがたり」の続編みたいな趣が感じられ、情が沸いちゃったのかもな。
うん、菅野美穂たち三人組のコンビネーションが、あの映画の三人組を思い出させるし、それ以上に、彼女の子ども役とその同級生の三人組が「女の子ものがたり」の少女たちそのものよね。
いちばん貧乏役の女の子がなんとも貧しそうで印象的な顔つきしてるんだよなあ。
そうかと思うと、彼女たちを取り巻く年取ったオバチャンたちのほうが元気というか、奔放というか・・・。
ほんとは逆だろうって言いたいくらいだ。
監督の吉田大八もぶっ壊れた傑作「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」から「クヒオ大佐」で落ち込んだあと、ようやく危なげのない、こなれた演出を見せるようになったわね。
脚本の奥寺佐渡子が影響しているんじゃないか。
あいかわらず、観客を置き去りにしない、わかりやすくてツボを得た脚本だもんね。
高速道路を走るだけが人生じゃないってことだな。
歩くのも人生。
バスに乗るのも人生。
映画がはねたら都バスに乗ろう!・・・って、できすぎよ。
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これからが楽しみになってきました。