中野笑理子のブログ

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嘘も方便というけれど

2018年01月07日 | 日記
認知症介護関連の本を読んでいると、真実を正してはいけない、とよく書いてある。
食べた食事を食べていないと訴えてきたり、同じ事を何度も訊いてきたとしても、さっき食べたでしょ、とか何回同じ事を聞くのよ等とは言ってはいけないらしい。
またそういう時はキツイ口調は厳禁で優しく答えて、別の話題などで気を逸らせたりしましょう、と大方の本には書いてある。

今日は私が不寝番なので、主人には家に帰って休んでもらい、母と病室で二人きり。
トイレに連れて行ってくれと頼む母に骨折して起き上がれないからトイレには行けないことを説明するけれど、又すぐにトイレに連れて行っての繰り返し。
認知症介護の本に倣うならば、この場合はまたトイレに行けない理由をいちから説明しなければいけないのだ。
そして別の話題で気を逸らすといっても、病室の中で差し向かいの一対一では限界がある。

骨折していると言えば、私は骨折していないと言い、立ってトイレに歩いて行けるから連れて行け、と言う。
立って歩いて行けるなら自分ひとりでさっさと行けば良いのであって、連れて行けと言う時点で矛盾しているのだけれど、そこは認知症の強みでグイグイ攻めてくるので、こちらとしてはもう精根尽き果てるといった格好になってしまう。
無視という手段も使ってみたけれど、エンドレスのお経の如く繰り返される。
食事も摂らず点滴とお茶だけなのに、一体どこからそんなパワーが出てくるのか不思議なほど忍耐強い。
今日は朝からずっとこの禅問答のようなやり取りが続き、夜になっても止まらないので看護師さんに相談して睡眠導入剤を出してもらい、母はやっと眠ってくれた。

そういえば、ひたすら穴を掘らせて掘ったら今度はその穴を埋めるという作業を、何度も何度も繰り返させるという拷問があったナ、とふと思う。
そんな訳で眠りながらも拘束ミトンを無意識に外そうとする母を置いて、看護師さんに声をかけて救急出入口から外へ出て来たきてしまった。
病室を出るときに、眠っていると思っていた母が「行ってらっしゃい」と言ったことが切なくもあり、怖くもあった。
一服したら何か温かい飲み物を買って、また病室へ戻ろうと思います。