元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

残業・夜勤なしの条件で雇用された看護師に必要なときの助けを求めることができるか?!

2018-06-03 16:03:54 | 社会保険労務士
 看護師の同意を得られればOKだがしょっちゅうになると何らかの対応を・・・・

  最近では、医療機関の労務管理においては、正職員かどうかよりも、常勤か非常勤かどうかという視点も大きくなっていると聞きます。確かに、子育てを終えて、看護師の資格を活かして、再就職するときには、家の都合などから、非常勤というある程度、自由の利く勤務態様を選ぶこともあるかもしれません。
 
 そこで、非常勤職員である場合に超過勤務がないという条件で採用されることも多くなることになります。しかし、外来の場合は、患者さんが多い日には、その日の診察を終えなければならないので、どうしても時間外勤務の必要が生じてしまう。同じことは、病棟でも、夜勤なしという条件で雇った非常勤職員にも、どうしても業務の都合や職員の急な欠勤で、夜勤を割り振ることができないかということになる。外来や病棟の婦長はどうしたらいのかと思案することになります。
 
 この場合、基本的には、いつものことになると超過勤務や夜勤の要員を補充することが望ましいのだが、たまたまどうしても必要性が生じた場合には、法律的には、結論から言えば、本人の同意を得れば、残業も夜勤もさせることは可能です。

 もちろん36協定や就業規則で時間外を行うことが書かれていることが前提ですが、就業規則で時間外命令を行うことができるということが周知されていたとしても、就業規則とは異なった「残業なし」「夜勤なし」という契約(=労働者に取って有利な契約)を結んでいた場合は、そちらの方が優先されます(労働契約法7条)ので、その非常勤看護師には残業・夜勤の命令はできません。

 しかし、本人の同意を得れば、もともとあった36協定や就業規則により、時間外命令や夜勤の命令ができることになります。

 本来、非常勤職員は、様々な都合で、「残業なし」「夜勤なし」という条件で雇用されているものと思われます。いつもいつもののことであれば、組織体制上、事務部に何らかの措置をお願いしなければならないでしょう。しかしながら、現場では、そこのムリは承知で頼まざるを得ないこともあるかと思われます。もちろん、事務部にそれら契約の特例などを確認しておくことは当然の前提です。また、人のいい人であれば、了解してくれることもあるでしょうが、その人ばかりに頼っていても、せっかく入った職場なのに「残業なし」等の条件が生かされない職場であることから、辞めていく原因になるかも知れません。
現場の婦長さん、非常にむずかしい立場におかれますね。がんばりましょう。いまは、多様性のある職場が求められていますので、事務部を含めた病院全体で考えていく必要もあるかもしれません。(何十年前の医療現場にいたものよりのエール)

 *労働契約法7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合に、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件による。
 ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合(締結契約の内容が就業規則の基準より低い場合は、高い方の就業規則による。)を除き、この限りではない。⇒すなわち、個別の労働契約の内容の方が就業規則より上回っているときは、個別の労働契約の方が優先する。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「親権者又は後見人は未成年... | トップ | 医療機関で患者の対応で休憩... »

コメントを投稿

社会保険労務士」カテゴリの最新記事