ランチの後、法華寺に向かいます。ランチを食べたレストランからは車で5分程度です。
法華寺の開基は光明皇后、総国分尼寺とされた大寺院でしたが、その後衰退し、度重なる戦火や災害で建物は失われ、現在の建物は戦国時代に再建されたものです。東大寺の大仏殿より再建された時期は古いですが、あまり古さは感じません。
本堂の前でまたも猫に遭遇しました。
こちらも子猫で、かなり自由奔放な猫でした。
本堂内部は更にきれいで、テープの説明が流れています。有名な十一面観音像は春と秋の一部の時期以外非公開で、その代りレプリカを見ることができます。
しかし、像が小さいのと、安置されている場所までの距離があるので、素晴らしさを見て取ることができないのが残念なところです。
浴室。こちらも江戸期に再建されたもの。
そのほか、庭園もありますが、そこに創建当時の面影を見ることはできません。
法華寺は奈良時代の面影はほとんどなく、戦国時代~江戸期の寺院、というのが感想です。
続いて不退寺に向かいます。
不退寺は、奈良市内の大動脈、国道24号と、並行するJR奈良線のすぐそばにありながら、深山幽谷の地にあるかのような雰囲気です。
ちょうどレンギョウが満開でした。
なぜか近くで発見されたという石棺があります。
ご本尊の、在原業平作と伝わる聖観音菩薩像が素晴らしいです。リボンの様な髪飾りを付け、ふくよかな顔立ちと体つき、花のような光背、唇にわずかに残る紅等、観る者を魅了するものを感じます。
当初の計画では不退寺は優先度は低かったのですが、来て正解でした。
さて、夜通し車を運転してきたため、そろそろ体力的に厳しくなってきました。あと一か所だけ参拝して本日の宿に向かうことにします。
本日最後の目的地は秋篠寺です。
大和西大寺駅から細いが交通量の多い道を北に向かいます。競輪場のあたりから古い住宅街に入り、乗用車がすれ違うのも厳しいほど細い道を通り秋篠寺に到着します。これだけ細い道にもかかわらず路線バスが結構な頻度で運行されています。秋篠寺は車で行かないほうが無難でしょう。
秋篠寺は、宮家創設の頃には大ブームになったようですが、今ではブームも去り、掲載されていないガイドブックもあるくらいで、訪れる人も少なく、静かな雰囲気です。
丁度、白藤が見頃でした。
本堂の中には多くの像が安置されていますが、一番有名なのは伎芸天像でしょう。
頭部は天平時代の乾漆像、体は鎌倉時代の木像ですが、言われてもわからないくらい見事に調和しています。
体部を造った人のセンス、技術は素晴らしいと思いますが、この体部からにじみ出るエロスは半端ではありません。
先ほどの不退寺の聖観音像のエロスもなかなかのものでしたが、秋篠寺の伎芸天の比ではありません。
よくこの顔にこの体を合わせたと思います。
<その4に続く>