移転先の東京ガス豊洲工場跡地の土壌から、環境基準をはるかに超える有毒物質・発がん物質が検出されているのに計画を推し進める都のやり方に、魚屋や市場関係者から批判の声が噴出している。移転先の「豊洲」は三方を東京湾に囲まれた埋め立て地である。東京ガスは石炭を原料に三十年間、都市ガスを製造、土壌と地下水が汚染された。東京ガスが2001年に発表した有害物質は、環境基準を超えるベンゼン1500倍、シアン490倍、ヒ素49倍、水銀24倍、六価クロム14倍、鉛9倍、カドミウム5倍―現在の技術では、いくらコストをかけても完全浄化は無理な話である。
東京ガスが都に提出した土壌改良対策は、土壌の入れ替えや盛り土を施すことで、地盤面から深さ4・5メートルまでは環境基準の10倍を超える有害物質を存在しないようにする―というものである。ところが東京ガスが行った土壌汚染調査は、調査箇所が少なく、ボーリング深度も浅い、土壌汚染対策法(03年2月施行)の調査方法にのっとっていない不十分なものである。環境基準の10倍を超える有害物質といっても「10倍」の法的根拠は土壌汚染対策法にも東京都条例のどこにもない。果たしてこれで食の安全は守れるか…(「しんぶん赤旗」2007年2月4日)。
ベンゼン、ヒ素、六価クロムなどは発ガン性が指摘されている。シアンは水と反応し猛毒の青酸になりうる。ベンゼン、青酸、水銀などの物質は常温でも蒸発する。ガスとなり覆土やアスファルトの隙間などから漏出し、魚などを汚染する危険性があるのだ(畑明郎・大阪市立大学大学院教授―「しんぶん赤旗」同上)。
石原都政は築地市場の跡地に2016年に招致しようとしているオリンピックの施設「メディアセンター」を建設すると発表した。開発利権に敏い石原知事のこと。なにをたくらむか。「オリンピックをすすめる石原さんのために、世界の『築地』ブランドが土壌汚染にまみれてはたまらんわ」「生鮮食料品を扱っているのだから『毒物』があると聞いたときに豊洲への移転をあきらめるのが常識だ。二十年、三十年後、人体にどんな影響が出るか不安になるのが普通の感覚だろう。これで安心な魚を供給できるのか」と50年らいの仲卸業者は怒りを顕わにする(「しんぶん赤旗」同上)。
老朽化し手狭になった築地市場は1986年から「再整備」が実施され、立体駐車場の建設など約四百億円が投じられてきた。移転話が急速に進展したのは、99年に石原知事が初当選してからである。市場関係者によると築地市場を売却すると都に2兆1000億円が入るという話もある。農水省や東京都は、この機会に既存の仲卸業者を統合・大型化し、業者数を大幅に減らす狙いもあり[都が作成した資料では、新市場の店舗総面積を現在登録されている仲卸の数で割ると、間口の広さは築地の半分になってしまう。これでは大型冷蔵庫を置くだけで精一杯。また、新市場では施設使用料が現在の数倍になると心配する業者もいる]、仲卸業者は「移転すれば多くの人が失業し、行き場を失う」「仲卸潰しだ!」と強い不安を抱いているのだ。
狭い土地で違法駐車が多い、市場に来るトラックや自動車が渋滞を引き起こしている、排気ガスが多く食べ物を扱うところではない等、現在地に問題がないわけではない。「再整備」にもそれなりの課題があることは確かである。しかし、土壌汚染をめぐっては三菱マテリアルと三菱地所の大阪での問題もあり、一番安全性が要求される生鮮食料品の市場を汚染地域に移転するのはいかにも無責任といわざるを得ない。仲卸の人たちや市場関係者が反対しているのに問答無用で移転させるやり方はやめてもらいたいものだ。
東京ガスが都に提出した土壌改良対策は、土壌の入れ替えや盛り土を施すことで、地盤面から深さ4・5メートルまでは環境基準の10倍を超える有害物質を存在しないようにする―というものである。ところが東京ガスが行った土壌汚染調査は、調査箇所が少なく、ボーリング深度も浅い、土壌汚染対策法(03年2月施行)の調査方法にのっとっていない不十分なものである。環境基準の10倍を超える有害物質といっても「10倍」の法的根拠は土壌汚染対策法にも東京都条例のどこにもない。果たしてこれで食の安全は守れるか…(「しんぶん赤旗」2007年2月4日)。
ベンゼン、ヒ素、六価クロムなどは発ガン性が指摘されている。シアンは水と反応し猛毒の青酸になりうる。ベンゼン、青酸、水銀などの物質は常温でも蒸発する。ガスとなり覆土やアスファルトの隙間などから漏出し、魚などを汚染する危険性があるのだ(畑明郎・大阪市立大学大学院教授―「しんぶん赤旗」同上)。
石原都政は築地市場の跡地に2016年に招致しようとしているオリンピックの施設「メディアセンター」を建設すると発表した。開発利権に敏い石原知事のこと。なにをたくらむか。「オリンピックをすすめる石原さんのために、世界の『築地』ブランドが土壌汚染にまみれてはたまらんわ」「生鮮食料品を扱っているのだから『毒物』があると聞いたときに豊洲への移転をあきらめるのが常識だ。二十年、三十年後、人体にどんな影響が出るか不安になるのが普通の感覚だろう。これで安心な魚を供給できるのか」と50年らいの仲卸業者は怒りを顕わにする(「しんぶん赤旗」同上)。
老朽化し手狭になった築地市場は1986年から「再整備」が実施され、立体駐車場の建設など約四百億円が投じられてきた。移転話が急速に進展したのは、99年に石原知事が初当選してからである。市場関係者によると築地市場を売却すると都に2兆1000億円が入るという話もある。農水省や東京都は、この機会に既存の仲卸業者を統合・大型化し、業者数を大幅に減らす狙いもあり[都が作成した資料では、新市場の店舗総面積を現在登録されている仲卸の数で割ると、間口の広さは築地の半分になってしまう。これでは大型冷蔵庫を置くだけで精一杯。また、新市場では施設使用料が現在の数倍になると心配する業者もいる]、仲卸業者は「移転すれば多くの人が失業し、行き場を失う」「仲卸潰しだ!」と強い不安を抱いているのだ。
狭い土地で違法駐車が多い、市場に来るトラックや自動車が渋滞を引き起こしている、排気ガスが多く食べ物を扱うところではない等、現在地に問題がないわけではない。「再整備」にもそれなりの課題があることは確かである。しかし、土壌汚染をめぐっては三菱マテリアルと三菱地所の大阪での問題もあり、一番安全性が要求される生鮮食料品の市場を汚染地域に移転するのはいかにも無責任といわざるを得ない。仲卸の人たちや市場関係者が反対しているのに問答無用で移転させるやり方はやめてもらいたいものだ。