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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

40年経ったDNRオーダー

2016年12月06日 | 終末期医療
ここ最近、DNRの意味を履き違えているのではないか、と思われる出来事が続いた。
で、改めてこの文章を読み直した。
数ヶ月前のNEJMから。

Burns JP, Truog RD.
The DNR Order after 40 Years.
N Engl J Med. 2016 Aug 11;375(6):504-6. PMID: 27509098.


以前は心肺蘇生をするには開胸するしかなかったけど、1960年に心臓マッサージというものが考え出され、CPRという行為が誰でもできるようになった。そうすると今度は無益な患者さん(癌の末期とか)にCPRが行われるようになり、だんだんCPRしない方がいい場合もある、という考えが生まれてきた。そして1976年に、DNRについての文章がNEJMに掲載され、世間に広まった。あれから40年、今ではDNR、つまり心停止時にCPRを行わないという決定は、終末期になされる決定の一つでしかなくなった。

という歴史が記載された2ページ半程度の文章。
読んでない人は、ご一読を。

それにしても、DNRとかDNARとか、もう言葉として不要だと個人的には思っている。
慈恵ICUではもうこの言葉を使うのはやめよう運動を展開する予定。
勉強会も誰かにやってもらおうかな。
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慈恵ICU勉強会 161129

2016年12月05日 | ICU勉強会
29日 頭部外傷に対する減圧開頭(JC-NEJM)

もちろん、DECRA studyとの比較もしてますよ。

個人的には、複数の点でこちらの方が信憑性があると思う。
具体的には、DECRAでは、
・開頭の方法が一般的ではないように思う
・ICP conntrol困難の定義が短い(15分くらいICPが高いと手術なんて、ちょっと通常の臨床とは異なるように思う)
・結果が珍しい(神経学的予後のみ治療群が悪く、それ以外の比較的ハードなアウトカム、例えばICU滞在日数とか、は治療群の方がいい)
など、ちょっとどうかなと思われる要素があるけど、今回の研究はそれが少ないので。
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小児のAKIの疫学

2016年12月04日 | 腎臓
ORIGINAL ARTICLE
Epidemiology of Acute Kidney Injury in Critically Ill Children and Young Adults
Ahmad Kaddourah, M.D., Rajit K. Basu, M.D., Sean M. Bagshaw, M.D., for the AWARE Investigators
November 18, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1611391


いろいろな国の32のPICU。KDIGOの診断基準を用いて、PICU入室7日以内にAKIのstage2もしくは3になったものを重症AKIと定義。対象は3ヶ月から25歳まで。4683例が検討され、11.6%に重症AKIが発症し、重症AKIのない症例に比較して死亡率が高かった(11.0% vs. 2.5%, p<0.001)。また、人工呼吸や腎代替療法を必要とする頻度も高かった。

おお。
すごく不思議だ。
どうしてAKIの疫学がNEJMに載るんだ?
多国籍研究だからか?
PICUの研究は大変で、この症例数が立派だからか?
クレアチニンだけじゃなくてちゃんと尿量も使ってAKIを診断したからか?

うーむ。
不思議だ。
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Passive leg raisingのsystematic review

2016年12月03日 | 循環
最近、PLRのレビューをよく見かける気がする。
これは、その総まとめ的なsystematic review。

Monnet X, Marik P, Teboul JL.
Passive leg raising for predicting fluid responsiveness: a systematic review and meta-analysis.
Intensive Care Med. 2016 Dec;42(12):1935-1947. PMID: 26825952.


PLRによる心拍出量(CO)もしくはA-lineの脈圧(PP)の変化と補液の予測能について検討した21研究。COの変化の感度は0.85、特異度は0.91、AUROCはなんと0.95。それに対し、PPの変化の感度は0.56、特異度は0.83、AUROCは0.77。

PLR、しょっちゅうやる。そして大抵はCOの測定はされていない。血圧が上がるかどうかで見てる。しかも脈圧じゃなくて血圧(MAP)の上昇を見てる。
それじゃダメよ、という結果。感度が0.56ということは、補液すると本当なら心拍出量が増える人のうち、PLRで血圧が上がる人は半分くらいしかいない、という意味か。
まああ。

そうなると、補液をするべきか真剣に悩む患者さんではCOを測定していないとダメということになる。まあ本当に真剣なら測定するけれども、そこまで重症じゃない患者さんの血圧が下がると、ついPLRしてしまうなー。無駄な補液をしないで済むなら、まあいいか?
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腹部手術における抜管後の予防的HFNC

2016年12月02日 | 呼吸
Futier E, Paugam-Burtz C, Godet T, et al.; OPERA study investigators.
Effect of early postextubation high-flow nasal cannula vs conventional oxygen therapy on hypoxaemia in patients after major abdominal surgery: a French multicentre randomised controlled trial (OPERA).
Intensive Care Med. 2016 Dec;42(12):1888-1898. PMID: 27771739.


フランスの三施設で行われたRCT。腹部手術後で、ARISCATスコアというものを用いて術後の呼吸不全のリスクを評価し、中等度もしくは高度のリスクがあると判断された220例が対象。抜管後に翌日朝までHFNCを使用するかしないかでRCT。Primary outcomeは抜管1時間後の低酸素の発生頻度、それ以外にも呼吸不全に関連したoutcomeについていろいろ検討。その結果、HFNCは中央値で16時間行われ、抜管1時間後の低酸素の発生頻度は21% vs. 24%で有意差なし。その他の指標でも差を認めなかった。

ICUではなくOP室で抜管しているようなのと、呼吸不全の発生頻度が予定よりも低かったことと、いろいろツッコミどころはあるものの。

HFNCについてのネガティブな文献をチョイチョイ見る。
最近、慈恵ICUでは予防的HFNCを多用しているのだけど、ちょっと改めてエビデンスレビューをした方が良いのでは、という気がしてきた。
2月くらいに、勉強会でやろうかな。
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慈恵ICU勉強会 161122

2016年12月01日 | ICU勉強会
22日 早期のgoal-directedなリハビリ(JC-Lancet)

ついこの間、早期リハビリは無効という文献を読んだばかりなのに、今度は有効、という話。
どうして結果に差が出たのか、じゃあどうするか、についてみんなで考えた。
結論は、
一所懸命やらないと効果は出ないんじゃねーか?
だった。まあ、なんでもそうだけどね。
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