Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

延命治療の差し控えのバリエーション

2014年09月11日 | 感染
という和訳でいいのだろうか。

Quill CM, Ratcliffe SJ, Harhay MO, et al.
Variation in Decisions to Forgo Life-Sustaining Therapies in US ICUs.
Chest. 2014 Sep 1;146(3):573-82. PMID: 24522751.


アメリカのIMPATのデータ(153のICU、269000症例)を用い、Decisions to forgo life-sustaining therapy (延命治療の差し控えの決定、DFLSTs)についての頻度について解析。高齢、女性、白人、もともとADLが低い、Open ICU、などがDFLSTsを増やす因子だった。それらを考慮しても、ICU effectは約6倍あった(つまり、施設によるDFLSTsの頻度が低いところと高いところで6倍違った)。DFLSTsの頻度は重症度スコアによるStandard Mortality Ratio(SMR)との関連が強かった。

とりあえず、最後のSMRとの関連(つまり、予測死亡率に比べて実際の死亡率が高い施設ではDFLSTsの頻度も高い)については、以前の研究では逆の結果だったりするので、あまり重要な結果ではなさそう。

それよりも、施設によってこんなに極端な差があるのはさすがに問題ではないのか。96時間以上の人工呼吸をしている患者さんについて見ると、中央値は32.3%で、幅は12.3%から61.7%まである。患者さんや家族の希望がこんなに違うわけないので、つまりは各医者/各ICU/各病院の考え方や習慣が異なるということ。それはいくらなんでも違う過ぎる。

Editorialには、
...dramatic variability in decision-making that is based on the perspectives of individual physicians is profoundly problematic...shared decision-making within the clinical team and with the patient and family are critical to address this important problem.
と書いてあるが、そうは言っても医者の意見は相当影響が強いでしょう。

もう少し、科学的にならないだろうか。
どれだけ根拠に基づいた判断ができるのか、今後できるようになるのか分からないけど。
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