Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
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ICUにおける抗生物質管理ラウンドの影響

2022年07月11日 | 感染
おおっと思い、ざっと熟読してしまった(矛盾してるけど)。

Seidelman JL, Turner NA, Wrenn RH, et al.
Impact of Antibiotic Stewardship Rounds in the Intensive Care Setting: A Prospective Cluster-Randomized Crossover Study.
Clin Infect Dis. 2022 Jun 10;74(11):1986-1992. PMID: 34460904.


アメリカのデューク大学の5つのICU。それぞれのICUのベッドを2群に分け、片方は感染症科医+薬剤師によるラウンドを週1回行った(cross-overなので交代する)。その結果、ほとんどの患者で抗菌薬が投与されていたcardiothoracic ICUを除外すると、介入群で抗菌薬の使用が7%減少した。

もし結果がnegativeだったらどうしようとか思わなかったのか。RCTを行うことの意義が勝ったのか。7%減少という結果はあくまでサブ解析であって、primaryの解析では有意差はなかったが、どう解釈したのか。実際の職場ではどう受けとめられたのか。週1回のラウンドで果たして効果があるのか。どうしてその頻度にしようと思ったのか。
などなど疑問が一杯あって、それでざっと熟読した。

いくつかはディスカッションに答えらしきものが書いてある。
ディスカッションには更に、感染症科医のプレゼンスを示すことが大事とか、自分達のICUの質的理解を得たとか、カルテを時間をかけて読んでもICUチームと同じ結論に達することもあり、効率について検討の余地があるとか、なかなか渋いことが書いてある。内容が客観的でちゃんとしている。

どんな治療薬を使うかとか、どんなモニタリングをするかとか、ICUだと視点がどうしてもそっちに行ってしまうけど、僕はICUは患者さんを治すところではない(誤解されるかも?)と思っているので、こういう研究は、というか姿勢は好き。

なんか上手くまとめられなかった(いつもか?)。
とにかく、この研究は僕的には「感染症科医によるICUラウンドの効果」についての研究ではないのです。
いつかもっと大人になって、上手く伝えられるようになったら、また書きます。
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