Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

maltophiliaによる院内肺炎

2019年12月17日 | 感染
どういうわけか、”maltophiliaはICUに長期間いる具合の悪い患者さんでは痰からちょいちょい検出されるけど、血培から検出されない限り問題視する菌ではない”、とずっと思っていた。でもその根拠を提示できないことに、この文献を見て気がついた。ググってみると、maltophiliaによる肺炎の話がたくさん出てくることも気がついた。うわっ、勘違いしていたか。
なので読んで勉強することにした。

Guerci P, Bellut H, Mokhtari M, et al.; AZUREA research network.
Outcomes of Stenotrophomonas maltophilia hospital-acquired pneumonia in intensive care unit: a nationwide retrospective study.
Crit Care. 2019 Nov 21;23(1):371. PMID: 31752976.


フランスの25のICU。maltophiliaによる院内肺炎282例。
・挿管から診断まで11日
・院内死亡率は約50%
・エンピリックな抗菌薬使用では30%にしか感受性がない
・適切な抗菌薬使用の遅れは予後に関連しない
・抗菌薬の併用も投与期間も予後に関連しない
・肺炎の原因菌がmaltophiliaだけでも混合感染でも予後に差はない
ということがわかった。

おや?
つまり気にしないでいい、ということではないか?
maltophiliaによる肺炎という疾患概念がそもそもおかしいのではないか?

あ、素人の発言ですので、お気になさらず。
コメント
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