Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

RRTの開始のタイミング

2016年05月30日 | 腎臓
NEJMに出たと思ったら、今度はJAMA。
以前は専門分野ということになっていたので、ちょっとはコメントしないといけないかなと、勝手に思いました。

Gaudry S, Hajage D, Schortgen F, et al.; AKIKI Study Group.
Initiation Strategies for Renal-Replacement Therapy in the Intensive Care Unit.
N Engl J Med. 2016 May 15. [Epub ahead of print] PMID: 27181456.

は簡単に紹介済み
それにしてもAKIKI studyって、なんて読むんだろう。あっきっき?

Zarbock A, Kellum JA, Schmidt C, et al.
Effect of Early vs Delayed Initiation of Renal Replacement Therapy on Mortality in Critically Ill Patients With Acute Kidney Injury: The ELAIN Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 May 24;315(20):2190-2199. PMID: 27209269.

一施設RCT。KDIGO stage 2で血中NGALが150ng/ml以上のAKI患者231例。すぐにRRTを開始するか、KDIGO stage 3になったら開始するかで比較。Primary outcomeは90日死亡率。Early群の100%、Late群の91%にRRTが行われ、ランダマイズされてからRRTが始まるまでの時間はEarly群で6時間、Late群で25時間。90日死亡率は39.3% vs. 54.7%でp=0.03。

ほっほっほ。
こんなに発表が近いのに、結果は真逆ですよ。面白いねー。

簡単なコメントとしては、JAMAの研究は、
・一施設研究であるあり、エビデンスレベルがNEJMより低い。
・Late群のRRTの施行頻度が高い。RRTの早期導入のデメリットはそもそもRRTを導入する必要のない人にもRRTをしてしまうことなのに。
・Early群と導入時間が20時間程度しかない。それで死亡率がこんなに違うわけがない。
なので、さすがにNEJMの結果に分があると考えるのが普通でしょう。

それだけだとつまらないので。
・NGALを用いるとRRTの必要性が予測できる(なんと90%の精度)。ただしStage 3だけで始めちゃうんだけど。
・Stage 2で開始すると予後が改善するのかも。Earlyだもの、それくらい早くないと。
くらいの追加コメントをしておこうかなと。

ちなみに、どちらの研究も、RRTの終了基準のところに、尿量400-500ml(利尿剤なし)、尿量2000-2100ml(利尿剤あり)と記載されているけど、その根拠は書いてない。
それはこれです。

その通り、単なる根拠のない自慢。


コメント
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