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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

CTGについてChatGPTに聞いてみた。

2023年03月10日 | AI・機械学習
学会発表で、ChatGPTに聞いてみたらこんな答えが返ってきた、というのをやっていた人が何人もいたので、僕もやってみた。

Q: 集中治療における臨床研究グループの意義は?

A: 集中治療における臨床研究グループの意義は以下のように考えられます。
1. 新しい治療法や技術の開発:臨床研究グループが実施する臨床研究によって、新しい治療法や技術の開発が進むことが期待されます。特に集中治療は、患者の状態が非常に重篤であるため、効果的な治療法の開発が重要とされています。
2. 医療の質の向上:臨床研究グループが実施する臨床研究によって、集中治療における医療の質が向上することが期待されます。例えば、集中治療室における患者の安全性の確保や、感染症予防対策などが研究テーマとなります。
3. 患者への貢献:臨床研究グループが実施する臨床研究に参加することで、集中治療を必要とする患者自身の病気に対する理解が深まり、治療効果の向上につながることが期待されます。
4. 研究者の育成:臨床研究グループに参加することで、研究者の育成につながります。集中治療に携わることで、臨床医や研究者としてのスキルや知識が向上し、将来的には新たな研究や治療法の開発に貢献することが期待されます。
5. 統計解析の改善:集中治療は、症状や治療法の多様性があるため、統計解析が重要とされます。臨床研究グループが実施する臨床研究によって、統計解析の改善が期待されます。

Q: 集中治療領域で臨床研究グループを作る難しさについては?

A: 集中治療領域で臨床研究グループを作るには、以下のような難しさがあります。
1. 患者数の限定性:集中治療室に入院している患者は、その病態が非常に重篤であるため、研究に参加することが難しい場合があります。また、倫理委員会の審査が厳格になるため、研究の許可を得るまでに時間がかかることがあります。
2. 設備や機器の充実度:集中治療室は高度な医療機器や設備が必要であり、研究に必要な機器や設備が十分に揃っていない場合があります。そのため、研究を行うには追加的な投資が必要となる場合があります。
3. 研究者の専門性の必要性:集中治療領域においては、高度な専門知識や技術が必要とされます。研究者は、集中治療における専門性を備えた医師や看護師、臨床工学技士などで構成されるグループであることが望まれます。しかし、そのような研究者を集めることは簡単ではなく、経験豊富な研究者の確保や、彼らの継続的な教育・育成が必要です。
4. 組織的な協力の必要性:集中治療には、様々な医療関係者が関与しています。研究に参加するためには、医療関係者の協力が必要となります。そのため、研究グループとして、組織的な協力関係を築くことが求められます。
5. 資金や人員の確保:集中治療室は医療の最前線であり、常に人員や資金が不足していることがあります。研究グループを作るためには、それらを充実させる必要があります。しかし、資金や人員の確保は、非常に困難な課題であることがあります。

驚きの回答はないけれど、総説とかを書いたりするときの内容チェック(あ、これ書き忘れたとか)に使えそう。
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蘇生における自己実現的予言と機械学習

2023年02月13日 | AI・機械学習
「自己実現的予言」(Self-Fulfilling Prophecy, SFP)の説明はこちら

De-Arteaga M, Elmer J.
Self-fulfilling prophecies and machine learning in resuscitation science.
Resuscitation. 2023 Feb;183:109622. Epub 2022 Oct 25. PMID: 36306959.


一部をDeelLで和訳。

「一般的な目標は一連の臨床情報(X)が与えられたときに、将来の事象または結果(Y)の確率を推定することである。現実には観察された結果YはXだけに依存するわけではない。観察された結果は無数の治療決定にも影響され、さらに医療提供者の結果予測にも影響され、それはXにも影響しうる。共有意思決定が行われる環境では、Yは患者や代理人が予測した結果に対する認識にも影響されるかもしれない。」

「重症患者の回復可能性を推定するアルゴリズムが、最初は特定の特性を持つ患者の回復確率を低く見積もっているとする。この誤診された推定値が予後不良を予期して高コストで侵襲的な治療を処方する可能性を減らすなど治療を変更した場合、新たなSFPが導入され、アルゴリズムが時間とともに学習することで永続化する可能性がある。観察データに基づいて推定されたモデル性能はこれらの予測を誤りと認識せず、時間の経過とともに予測力が向上していることを誤解させる可能性さえある。」

「予測アルゴリズムは観察データのパターンを利用するため、過去の関連性が将来も続くと仮定する。医学の世界では治療法や転帰が改善されることが多いため、観察された関連性の安定性は制限される。使用可能な治療薬や治療戦略におけるブレークスルーは、発症した病気の重症度と転帰の関連性を急速に変化させる可能性がある。」

「SFPがもたらす課題を認識することは、機械学習をSFPを難解にし複合化する危険性のあるツールから、SFPに光を当て軽減するツールに変える研究と実践への門を開くことができる。」

さらに要約すると、機械学習による予後予測は、
・自己実現的予言を増幅する可能性がある
・予測の間違いはさらに状況を悪化させうる
・医学の進歩に追従する必要がある
・だから機械学習を使わない、ではなく、問題を認識することが重要だ

まったくその通り。
そしてやっぱりDeepLは偉い。
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時間帯と大腸内視鏡検査の質の関連性におけるAIの役割

2023年02月07日 | AI・機械学習
集中治療とは無関係だけど。

Lu Z, Zhang L, Yao L, Gong D, Wu L, et al.
Assessment of the Role of Artificial Intelligence in the Association Between Time of Day and Colonoscopy Quality.
JAMA Netw Open. 2023 Jan 3;6(1):e2253840. PMID: 36719680.


午後になるとCFで腺種を見つける頻度が減るけど、AIがサポートすると減らない、と。

これ、ICUでも使えないだろうか。
例えば、夜になると見逃しやすくなることをAIが教えてくれる、みたいな。
でも、どんな情報を教えてくれると患者予後改善に繋がりうるか、そこまで行かなくても、どんな情報なら利用者が便利だなと感じるか。考えてみると、結構難しい。何か域値を設定する必要があるけど、その域値は患者さんによって違いそうだし、有益だと感じる情報って医療者によって違いそうだし。

コンピューターはもっと便利に使えるはずだけど、なかなかねー。
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商品化されているAI

2022年12月16日 | AI・機械学習
以前、こんなやつを紹介しましたが、他にもある。
下記は今月になって目にしたサービスたち。短期間でこんなにあったのだから、他にもきっといろいろありそう。その割に日本には入ってこないね。それとも入ってきているけど病院が買わないのか。

Deterioration Index
入院患者の”急変”の予測。これと似たやつ。

BEAMS
セントラルモニタにつなっがっていない医療機器(病棟のモニタとか人工呼吸器とかNPPVとか)のアラームを識別してナースに知らせる。医療機器の接続工事をしなくても簡単に導入できるということで、たくさんの賞を受賞しているらしい。

CLEW
いわゆるtele-ICU。重症患者をピックアップして、モニタで専門医と話ができる。

ここ数日のAIシリーズはこれで終了。
・ICUにおけるAI研究はたくさんあるが、臨床応用を検討した研究は少ない。
・精度の高いAIが臨床に導入されても、医療従事者がどう反応するかは別の話。
・商品化はされていても、日本のICUで一般的に使用されるようになるのはまだ先か。

まあ、普通のまとめですけど。
じゃあどうする?を日々考えているので、こういう振り返りというか現状確認は大事かなと思っております。
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低EFを検出するためのAIアルゴリズムの医療従事者による採用。

2022年12月15日 | AI・機械学習
Rushlow DR, Croghan IT, Inselman JW, et al.
Clinician Adoption of an Artificial Intelligence Algorithm to Detect Left Ventricular Systolic Dysfunction in Primary Care.
Mayo Clin Proc. 2022 Nov;97(11):2076-2085. PMID: 36333015.


昨日紹介した研究でAI群に割り付けられた施設の医療従事者を、AIによる提案に従って心エコーを多くオーダーしたhigh adoptersと、あまりしなかったlow adoptersに分けた。Low EF患者を見つける頻度はhigh adoptersの方がほぼ倍多かった。High adoptersは、医者よりもnurse practitionersやphysician assistantsが多く、内科医より家庭医が多く、受け持つ患者の重症度が低かった。

「オレは重症患者をよく見る内科医だから、AIなんか信じないぜ」
と言っておきながら見逃しが多い、ということか。直感的に理解しやすい結果。

この文献の結論の最後。
「この結果は、医療従事者への教育やエンゲージメント、多忙な医療者のワークフローにシームレスに統合するAIシステムが重要であることを示す。」
精度の高いAIが開発されても、それを医療従事者、特に医者にどう使ってもらうか、が問題。

ちょっとガイドラインと似てるね。
「オレは専門医だからガイドラインなんていらないぜ」と言いながら、根拠に基づいた医療をしないやつにどう使ってもらうか、と同じ。

AIはまだ日常診療にほとんど入ってきていないのに、もう導入時の問題が判明しているという、悲しさ。
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低EF患者の識別のための人工知能を用いた心電図解析

2022年12月14日 | AI・機械学習
Yao X, Rushlow DR, Inselman JW, et al.
Artificial intelligence-enabled electrocardiograms for identification of patients with low ejection fraction: a pragmatic, randomized clinical trial.
Nat Med. 2021 May;27(5):815-819. PMID: 33958795.


AI研究では珍しいクラスターRCT。
AIで心電図を解析すると、心エコーの施行頻度を増やさずにlow EF患者をより多く発見できる。
単純に、便利そう。

実はこれ、去年の文献。
紹介理由は明日。
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集中治療における人工知能

2022年12月13日 | AI・機械学習
今日からしばらくAIのお話をします。

Tang R, Zhang S, Ding C, et al.
Artificial Intelligence in Intensive Care Medicine: Bibliometric Analysis.
J Med Internet Res. 2022 Nov 30;24(11):e42185. PMID: 36449345.


集中治療に関連したAI研究を網羅的に検索し、その特徴をまとめた。
文献数はここ数年で急激に増加、半分はUSAから、といった解析から始まり、大学、キーワード、トピック、雑誌、参照された回数の多い文献トップ30などなど、眺めていて面白い。ちなみに日本はトップ15カ国には入っていない。

この文献の結論の最後。
「AIに基づく臨床研究が日常のICU診療において十分な説得力を持つためには、AIモデルの成熟と堅牢性を高めるための共同研究の取り組みが必要である。」
そう、まさにその通り。
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機械学習による早期警告スコアが病院での死亡率に与える影響

2022年12月03日 | AI・機械学習
Winslow CJ, Edelson DP, Churpek MM, et al.
The Impact of a Machine Learning Early Warning Score on Hospital Mortality: A Multicenter Clinical Intervention Trial.
Crit Care Med. 2022 Sep 1;50(9):1339-1347. PMID: 35452010.


病棟患者の重症度を自動で計算(機械学習と書いてあるけど実際は多変量解析みたい)、100点を超えたらICUコール、50点を超えたら病棟医に連絡してバイタルチェックを2時間毎に増やす。この仕組みを4つの病院に導入したところ、ICU入室が増え、状態悪化からICU入室までの時間が短くなり、バイタル測定頻度が増え、そして死亡率が低下した。

Before-after研究だし、データもちょっと綺麗すぎるけど、なんか好き。
RRSを悪く言う気はないが、こういう仕組みの方がうまくいく場合もある気がする。
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ICUにおける機械学習予測モデルの臨床的有用性

2022年10月21日 | AI・機械学習
今、僕がもっとも興味のあることにドンピシャリの文献で、熟読してしまった。
読んでいて、色々考えた。

Eini-Porat B, Amir O, Eytan D, Shalit U.
Tell me something interesting: Clinical utility of machine learning prediction models in the ICU.
J Biomed Inform. 2022 Aug;132:104107. Epub 2022 Jun 7. PMID: 35688332.


3つの病院のICU/PICUで働く医療従事者(医者9名、看護師4名、経験年数は1から44年)に、4つの仮の症例とバイタルサインの推移を見せながら、40分から100分(!)かけてインタビューした。

僕なりにまとめると、医療者がAIによる予測に求めていることは以下:
・値そのものよりもトレンドが知りたい
・良くなる確率よりも悪化する可能性の方が重要
・予測のタイムスケール:1-3日後の状況(治療方針に関連)と1時間以内の急変
・個人の患者の予測だけでなく、ICU全体の優先順位が知りたい
・機械が増えると画面が増えてアラームが増えるから、その分、価値のある情報、つまり自分が知らないことを教えて欲しい
・基準に基づいてアラートを出すよりも、持続的な予測を表示した方がいいかもしれない

こうやって書くと当たり前のことみたいに見えるが、世間でいっぱい行われている予測モデルについての研究がこういう情報、つまりICUの医療従事者が求めている情報にマッチしているかというと、全然そんなことはない。

AIに限らず、ユーザーが求めていることの調査って重要だ。
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電子リラクゼーション機器による不快感の改善

2022年09月15日 | AI・機械学習
Merliot-Gailhoustet L, Raimbert C, Garnier O, et al.
Discomfort improvement for critically ill patients using electronic relaxation devices: results of the cross-over randomized controlled trial E-CHOISIR (Electronic-CHOIce of a System for Intensive care Relaxation).
Crit Care. 2022 Sep 3;26(1):263. PMID: 36057612.


おお。
この文献紹介した時に、「有効性が示されれればすぐにもICUに入ってきてもおかしくない」なんて言ったけど。
なんとcross-overのRCTが行われてた。
いよいよ、やってくるのか?

ちなみに、Fig 1-B2の「Japan」というタイトルの人工画像がちょっと笑える。絶対日本ちゃうやろ。
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