超級龍熱

香港功夫映画と共に

THIS IS 甄子丹⑧ 革命にその命を散らす男たち・・!陳徳森導演『十月圍城』

2010-02-05 00:24:38 | THIS IS 甄子丹
さてさて、快調に飛ばす「THIS IS 甄子丹」第8回ですが、遂に観ました!陳徳森導演作品にして、我らがドニー兄貴最新作『十月圍城』(09)です。1906年の10月。清王朝打倒!を目指す革命家・孫文(即:孫中山。演じるは張涵予)が香港に寄港する事を知った清朝政府は凄腕の刺客集団(胡軍、釈行宇、李康ことカン・リー)に「孫文抹殺!」を命じます。
また孫文の支援者陳少白(梁家輝)や商人の李玉堂(王學圻)たちも、孫文が協力者たちと香港の街中で会談するその僅か“1時間”の間、それこそ自分たちの身を挺して刺客たちの魔手から孫文を守るべく決死の闘いに挑んでいきます!
映画は冒頭、いきなり張學友演じる革命支持者の教師が胡軍の放った銃弾により教え子たちの目の前で眉間を撃ち抜かれる(!)衝撃のオープニングから、もう観る側をグイグイ!と画面に引っ張り込んでいきます。
ギャンブル好きが原因で妻(范冰冰)に逃げられ負け犬同然の人生を送る沈重陽(ドニー兄貴!)、愛する女性阿純(周韻。とても清楚で素敵な女優さん)との将来を夢見る心優しい車引きの青年阿四(謝霆鋒)、革命軍の父(任達華)を釈行宇に殺され復讐に燃える女性方紅(李宇春)、禁じられた恋に傷ついた過去を引き摺り自暴自棄に生きる鉄扇の達人劉郁白(黎明)、元少林寺僧の巨漢(メンケ・バータル)、彼らはそれぞれの思いを胸に秘めながらも“革命の父”が無事に香港を離れるその瞬間まで、次々と襲いかかる清朝の刺客たちと壮絶な闘いを繰り広げながら、1人、また1人と命を落としていきます。
私は彼ら“革命義士”が刺客との激しい闘いで傷つきながらも、中国の明日を孫文に託して雄々しく散っていくそのドラマチックかつ熱い生き様には、もう何度も何度も涙しながらの鑑賞でした・・。
あと私が『十月圍城』で大好きなシーン。それが阿四が主人の李玉堂に自分の愛する写真屋の娘阿純と仲良くなるのを助けて貰う場面で、ここで李玉堂は実は阿純が足が不自由な女性であった事を初めて知ります。李玉堂は思わず「!・・」と傍らの阿四を見ますが、阿四は足を引き摺りながらも笑顔で歩く阿純をただ優しくジッと見守っているんですね。
そう、阿四が阿純の全てを受け入れた上で阿純を心から愛している事を知った李玉堂は、阿純の父親(演じるは懐かしの“五福星”の1人!)に「さあ、みんなで一緒に家族写真を撮ろうじゃないか!」と阿四と阿純の仲を認めるのでした。
改めて今回のニコラス、まさに名演中の名演です。素晴らしい!(大拍手!)。
そしていよいよ映画の終盤で香港の路上を舞台に、ドニー沈重陽と清の大刺客カン・リーが激突する時がやって来ます!
胡軍から「貴様が雇い入れたあの男、コソ泥の孫文を守っているではないか?この馬鹿者めが!さあ、貴様が自分で始末して来い!」との命を受けたカン・リーは目の前の群集を「ウガアアアアア!」とメチャクチャに蹴散らし、文字通り怒り狂いながら沈重陽に突進します!沈重陽は自分に迫るカン・リーに商店街を並走しながら応戦しますが、カン・リーの重戦車のような飛び廻し蹴りや肉弾攻撃に大苦戦!何とか相手に組み付いてのアキレス腱固め、電撃の鉄拳の連打で反撃しますが、2人の闘いは商店の扉を突き破り、その後も延々と続きます。いや~やっぱりこの2人の決闘シーンは観ていて燃えますねー!!でもですね、私は今回この『十月圍城』でドニー兄貴演じる沈重陽の最も印象に残ったシーンは、その沈重陽の余りにも壮絶な“最後”でした。ここは敢えてその詳細には触れませんが、私にとってもこれまでの数多くのドニー兄貴の出演作品の中でも最もインパクトがある“逝き方”でした。多くのドニー兄貴信者の方々にもこの沈重陽の最後は是非心して観て頂きたいと思います。ドニー兄貴、今回も武打星としても勿論ですが、“表現者”としても本当に素晴らしかったです。

この沈重陽vsカン・リーの激闘の後も、この『十月圍城』の“影の主役”と言っていい劉郁白vs胡軍率いる刺客集団の乱戦シーンが登場します。孫文護衛の最後の防波堤となっ劉郁白は鉄扇を手に凄まじい闘いを見せ、胡軍の辮髪をも斬り裂いて見せますが、とうとう最後はズタズタの身体となり、その場で力尽きます。
このシーンで劉郁白の最愛の女性として某トップ女優が1シーンだけ特別出演しているんですが、この黎明演じる劉郁白の絶命シーンは黎明の女性ファンの方々は勿論の事、本当に美しくも印象的なシーンに仕上がっていて必見でしょう。
最後は李玉堂の息子の李重光(王柏杰)の勇気ある、そして尊い犠牲的行動(ここはネタバレになってしまうので伏せておきます)により、孫文は無事に香港を離れ、5年後に辛亥革命を成功させる事で清王朝を打ち倒すのでした。

陳徳森導演作品『十月圍城』、観終わった後の心地よい疲労感と熱き感動は私も近年の香港映画では久しく味わえなかった感覚でした。好功夫!好電影!改めて言うまでもありませんが、龍熱にとってこの『十月圍城』は現時点での2010年ベスト1映画です!
コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 熱風!韓国LEGENDS(35) “... | トップ | 稀代の“暴れん坊横綱”朝青龍... »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
買いましたよ (チャウチャウ)
2010-02-06 08:21:02
「中華電影」買いましたよ!
龍熱さんも執筆者ですね。まだ2カ所しか見つけていないのですが、何カ所あるか捜すのも楽しみの一つ♪もうすぐバレンタインデーですね。送り先をそっとお知らせ下さればお送りしたいですが気持ちだけ
北京帰りの知人が『十月圍城』のDVDを買って来たらしいのですが頼んでおけばよかった(涙)
最近私の周囲には胡軍様ファンの女性が増殖中です...
ありがとうございます! (龍熱)
2010-02-06 14:19:16
チャウチャウさん、

こんにちわ!
「データブック」ご購入ありがとうございます。
バレンタインももうそのお気持ちだけでとて
も感激です♪
『十月圍城』は絶対にお薦めですし、胡軍は
もう鬼気迫る快演でした。特に終盤の胡軍は
弾けまくっていて・・もう大変って感じです。
データブック&「十月圍城」 (烈々)
2010-02-06 15:05:22
遅ればせながら、中華電影データブック、楽しく読ませていただいています。「この人がそうだったのか」という新たな発見があったり、しばらく忘れていたような明星を思い出したりで、本当にけっこう楽しいです。「十月圍城」、ご覧になったんですね!私もすごく気になります。来月は香港に行きますが、それまで上映されていればいいなと思っています。
十月圍城 (龍熱)
2010-02-06 17:21:16
烈々さん、

こんにちわ!
「データブック」購入して頂けたとは
嬉しいです。ありがとうございます!
『十月圍城』オールスター映画ながら
出演者それぞれにちゃんと見せ場が用
意されているし、作品の素直でストレ
ートな訴えかけにひたすら感動でした。
もし香港でご覧になられるとしたら、
大きなスクリーンで観るのに最適な映
画だと思います!
「十月」! (おがくず)
2010-03-09 10:24:10
 はじめまして! 僕もやっとDVDで観たんですが、ドニーさんが空中でクルクルクルっとカン・リーの脚に巻き付くところのカットの繋ぎがカッコ良すぎて、何度も何度も再生してしまいました!
十月圍城 (龍熱)
2010-03-09 14:11:19
おがくずさん、

こんにちわ!はじめまして。
ああー!ドニー兄貴とカン・リーがお互いに壁
に叩きつけ合いながら、さらにドニーがカン・
リーの腕に絡みつき、そのまま蹴り飛ばすシーンですよね?
私もあのシーンは「おおー!」と大興奮しながら観てしまいました♪
改めて『十月圍城』日本劇場公開熱望です!
泣きました! (ガオ)
2011-04-23 19:40:35
こんばんは!
『十月圍城』の記事にお邪魔します。
只今、日本で公開中ですが3回観ました。
そして、観るたびに涙の量が増えてしまい
ハンカチが洗濯追いつかなくて困ってます(笑)
本当に龍熱さんが言ってくれているように
ド兄さんアクションももちろんですが
表現者としても素晴らしいとしみじみ思いました。
映画によってこんなにも違う顔をみせてくれるなんて
ますます惚れてしまいました。
ラストはホントにインパクトありますね。
アタシはあの場面は彼が瞼に夢や幻をみて
そのまま破壊に向かって行ったんだと思って
涙が止まりませんでした。
他の演者の方たちも素晴らしくて
みんなが映画の中で生きていましたね。
また4回目行っちゃいそうです(笑)

そうして、ついに『精武風雲』の
日本公開も決定したみたいですよ!
9月だそうです。ホントに今年は
ドニーイヤーですね!待ち遠しいです!!!
十月圍城 (龍熱)
2011-04-26 11:34:11
ガオさん、

こんにちわ!
お返事遅れて失礼しました。
『十月圍城』もう3回もご覧
になったとは素晴らしい!
本当にこの映画のドニー兄貴
は卓越した表現力で魅せてく
れますよね。
『精武風雲』、公開の際には
是非ともドニー陳眞の久々の
来日を熱望したいですねー!