超級龍熱

香港功夫映画と共に

What was Artport and GOD?④ “戦士の旅”と言う名のもう1本の「死亡遊戯」

2019-12-29 07:49:12 | 作品レビュー

私がアートポート製作「BRUCE LEE in GOD/死亡的遊戯」とは別にもう1本「死亡遊戯」を題材とした作品が製作される、と聞いたのはやはり「GOD」公開直前だったと記憶しています。またジョン・リトルという人物の名前も全く聞いた事がありませんでした。それがジョン・リトルが監督した「A Warrior's Journey(以下WJ)」(00)です。

私が最初に同作を観たソフトがダビングしたVHSコピーだった事もありますが、「GOD」の目の覚めるような美しい画質に比べてかなり劣化した画質に驚きました。またクライマックスの五重塔内のファイトシーンで使用された本物リーさんの怪鳥音が他の俳優の掛け声まで一緒に入ってしまっているという、およそ映画製作の常識では考えられない粗末な音声処理にも唖然としました。ただ前半のドキュメンタリー部分は「GOD」が逆立ちしても勝てない充実したコンテンツで、ここはジョン・リトルの功績として高く評価出来ると思います。

また五重塔内のファイトシーンでは「GOD」とは別テイクを使用していて「GOD」には収録されていて、特にダン・イノサントvs田俊のファイトシーンが観れたのは嬉しいのですが、個人的には「GOD」がチョイスしたテイクが断然好みでした。そしてここからは敢えて語弊を承知で書きますが、「WJ」の最大の注目点である、リーさん演じる主人公の名前がハイティエン(海天)であるとか、ジャバールと闘うリーさん自らがその闘いの心理状態をモノローグの形で語る“心の声”についてです。
私はジョン・リトルがリーさんが残した「死亡遊戯」の設定資料に目を通している事を重々承知しながら、それでも敢えて言います。

龍熱「何かシックリ来ないよなぁ?」

それはそれまでリーさんが主演し、また脚本や監督も兼任して来た4本のクンフー映画のどの作品でも見られなかった、実に違和感がある主人公の名前やモノローグ処理であり、私はもしリーさんが本当に“心の声”を導入したかったのだとしたら「死亡遊戯」の前作に当たる初監督作品「ドラゴンへの道」のクライマックスの唐龍vsコルトのコロシアムの決闘で、唐龍が戦闘不能状態となったコルトを無言で見下ろしている場面でとっくに“心の声”を導入していたはずだと思うのです。
さらに「ドラ道」で主人公の役名を唐龍、「燃えよドラゴン」の英題名を「Enter the Dragon」と、“龍”の字にあれほど強く拘ったリーさんが主人公の役名を海天とは?そもそも海天という名前は「死亡遊戯」とどんな関係や意味があるのか?
そんな私の釈然としない思いと共に「GOD」にはダン・イノサントが協力、「WJ」にはジャバール、池漢載が出演と、それぞれ五重塔の番人たちの出演も枝分かれの形になってしまうという残念な事態も含めて、私にとっての「A Warrior's Journey」と言う名の“戦士の旅”は、未だ終着駅の見えない混迷が続いている、が正直な思いなのです。

John Little film A Warrior's Journey DVD cover.

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