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香港功夫映画と共に

李小龍的最佳電影〜精武門⑩ 精武英雄vsロシア人格闘家、日本庭園の決闘!

2024-04-07 11:59:14 | 闘神伝説~李小龍
ペドロフ「Let me take care of him!!(コイツは俺に任せろ!)」

ロシア人格闘家ペドロフ(ボブ・ベイカー)は虹口道場館主鈴木寛(橋本力)を制すると、ユックリと縁側から日本庭園に降り、両肩のサスペンダーを「パチン!パチン!」と鳴らし、目の前に立つ陳眞(李小龍)を自信満々に睨みつけます。
憤怒の表情で中国服を脱ぎ捨て、芝生に叩き着けた陳眞もまたロシア人格闘家に身構える!
ここでペドロフが指でサスペンダーを自分の胸板に打ち鳴らす「パチン!パチン!」なる音と、日本庭園に鳴り響く鹿威しの「コーン!」なる音が一瞬合わさった瞬間に陳眞☓ペドロフの闘いの火蓋が切られる!という実に斬新な音響演出が光ります。
このサスペンダー☓鹿威しのような、まさに斬新かつスリリングな音響演出が商業監督にしか過ぎなかった羅維監督に果たして可能だったか?私はかなりの確率で李小龍のアイディアが取り入れられた音響演出だと確信しています。
この陳眞☓ペドロフ戦では、李小龍が前作『ドラゴン危機一発』(71)では見せなかった接近戦からの詠春拳の連打攻撃。さらにペドロフに腕ひしぎ逆十字を決められた陳眞が“最後の手段”としてペドロフの脚を噛んで逆十字から脱出するという、アメリカ時代のTVドラマ『ロングストリート』(70)の名編「波止場の対決」でのリー・チョン(李小龍)の言葉を実践する闘いを披露するなど興味深い場面が多々見られます。
また前半ではペドロフのパンチを浴びて陳眞がダウンするも、そこから陳眞が相手を幻惑する“迷蹤芸”でペドロフのペースを乱し、強烈な連続廻し蹴りの連発から、最後は陳眞がペドロフの喉元へ手刀を叩き込みロシア人格闘家を倒すという闘いのプロセス。
このプロセスは次作『ドラゴンへの道』(72)の唐龍(李小龍)☓コルト(チャック・ノリス)のコロシアムの決闘を彷彿させます。
ただペドロフ役のボブ・ベイカーですが、オークランド時代の李小龍の弟子にして李小龍の私設ボディガードでもあり、ペドロフ役は確かに適任だったかも知れませんが、私から見てベイカーは李小龍と対等に闘うには全体的に動きが硬くスピードも無く、拳技のみで蹴り技が殆ど使えないなど役不足感がありました。
恐らく李小龍自身もそれを反省点としたのか『ドラゴンへの道』ではボブ・ベイカーよりも動きが柔らかくかつスピードもあり、その連続の廻し蹴りは電光石火の切れ味を誇る空手チャンピオンであるチャック・ノリスの起用に繋がったと思われます。
余談ですが、このロシア人格闘家ペドロフに関しては、陳眞の師匠である霍元甲が天津時代に最強を名乗り挑戦者を求めていたロシア人格闘家に霍元甲が挑戦するも、試合当日になってロシア人格闘家が逃亡し対決は幻と終わる、との史実からヒントを得たキャラクターだと思われます。
こうして怪力ロシア人格闘家を倒した精武英雄は、ペドロフが陳眞に敗北するのを見届けると、直ぐに応接間の奥に姿を隠した恩師謀殺の首謀者を追い求め殺気漂う応接間に用心深く踏み込んでいきます。
ここに香港映画史上最大の復讐劇こと『ドラゴン怒りの鉄拳』は、いよいよ息詰まる決死戦を迎える事となります!

End of Russian fighter.Cool pic from Fist of Fury.

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