超級龍熱

香港功夫映画と共に

「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」(9) 戦慄の鉄拳婆!「ドラゴンvs不死身の妖婆」

2016-01-26 10:39:16 | 作品レビュー
さてさて、絶好調で連載が続く「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」、その第9回ですが、丁善璽導演、王羽主演「ドラゴンvs不死身の妖婆」(73)でいきましょう。そうです、いよいよ“天皇巨星” vs“和製ドラゴン”のたった1度だけの激突の時が来ました。
で、私がこの「~不死身の妖婆」という香港(台湾)クンフー映画史に大怪作として深く刻まれた作品の存在を初めて知ったのがディック梶原さんが監修した「激突!ドラゴン武術」の中で、倉田さんが「これは姿三四郎みたいな映画です」と紹介していた記事を読んだ時でした。
さらに随分後になって「~妖婆」の海外版の予告編「カンフー・ママ」を観た時に謝金菊扮する鉄拳ババアがジミーの鉄拳を弾き返し、ジミーの運転する車で轢かれても平然としているという余りにも衝撃的な映像を目撃した事で「こ、こりゃ姿三四郎なんてもんじゃないって!完全にホラークンフー映画だって!」とこの「~妖婆」本編を激しく観たくなったのでした。
で、この「~妖婆」ですが、日本軍人の家に生まれ、お手伝い(か何か)の鉄拳ババア(謝金菊)に育てられた3人の兄弟(倉田さん、龍飛、山茅って・・・全然似てないって!)が3兄弟の父親だった軍人を切腹死に追いやった中国人への復讐を誓い、3人を無鉄砲な特訓で鍛え上げると、成人した3兄弟を引き連れ台湾に乗り込んで来ます。もうここまでで十分にメチャクチャな展開です(^_^;)。
さらにこの鉄拳ババアと3兄弟の日本語が完全に壊れていまして、それを聴いているだけでも目眩がして来ます(^_^;)。で、その3兄弟の復讐のターゲットである男性の息子がジミーで、普段はタクシーの運転手をやっております・・・ってここまで来たらもう何でも好きにやっとくれ!(^_^;)。
ちなみにジミー本人によると「俺はこの「英雄本色」の役作りのために実際にタクシーの運転手を何日かやったね。そしたら俺が道を間違えたら、お客が怒りやがってさ!」と逆にお客に怒っていたジミー運転手でした(@_@)。
さて、鉄拳ババア&3兄弟の復讐劇ですが、まずは山茅がジミーに挑むも惨敗(オマケに実生活でもタクシーの運転手にドライバーで頭を突き刺され死亡)、続いて龍飛もジミーの前に倒れ(ついでに実際の龍飛も現在消息不明)、いよいよ最後に残った長男の倉田さんとジミーの一騎打ちが火蓋を切ります!
ここではダブルヌンチャクを手にした倉田さんがそれを振り回してジミーに襲いかかりますが、激闘の果てにジミーは倉田さんを倒します・・・しかしこの映画の本当の恐怖はここから始まるのだ!
そう、まだ最凶無敵の鉄拳ババアが残っていたのである!!倉田さんを倒して鼻歌交じりに自分のタクシーで自宅に帰って来たジミーがボンネットを開けて、それを閉めるとそこに立っていたのが恐怖の鉄拳ババア!
「うわあ!」思わず悲鳴を上げたジミーに3兄弟を殺された鉄拳ババアが襲いかかる!!ここからのまるで50年代のSFホラー映画のノリで展開されるジミーvs鉄拳ババアの死闘は、是非キングさんからリリースされていたDVDでご鑑賞下さい。
最後に私がジミーから直接聞いた倉田さんに関するエピソードを一つ。
ジミー曰く「倉田か。倉田とは丁善璽の映画で共演したな。当時から倉田の蹴りは「ビュッ!」と風が聞こえる、ってくらい早いって評判でな。だから倉田と立ち廻りやる時は気が抜けないんだよ。確か高雄って俳優、この映画に出てる高雄じゃなくて別の高雄が倉田の蹴りを誤って顔面に浴びて顎の骨か何か砕かれたんだよ。倉田は今でもトレーニング続けてて大した奴だよ!」。そう、合言葉はドラゴォォン!

「ああ、ジミーさんとはこの「英雄本色」で1度だけ共演していますね。僕とジミーさんとの対決シーンは面白い話があってね。僕らの闘っているシーンが池と言うかプールみたいな所だっんですが、そこでジミーさんがバランスを崩してプールに落ちちゃったんですよ。そうしたらジミーさん、怒っちゃってねえ。もう「俺はもう帰る!」ってそのまま帰っちゃいました(笑)。でもジミーさんには色々良くして貰いました。
食事に連れて行って貰ったり、当時新築中だった自宅を見せてくれたりね。でも家に行ったのが夜だったんで何も見えなかったけど(笑)。あと僕はジミーさんに素晴らしい指輪を貰ったんです。04年だったか、ジミーさんが来日した時に一緒に食事をしたんですが、その時にその指輪をジミーさんに見せたんですが、ジミーさん、全然覚えてなかったですね(苦笑)」(倉田保昭:談)

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