本日も張琪氏の解毒活血湯加減の医案を紹介します。
（ ）内に私の解釈を付記します。
患者：于某 44歳 女性
初診年月日：2005年9月9日
主訴：乏力 腰痛2年間
病歴： 2003年乏力肢軟、時に腰痛が出現、現地病院を受診、診断「慢性腎不全（具体的データ不詳）」。現地で何度も治療を受けるが、症状は好転が見られなかった。 初診時所見： 乏力肢軟、時に腰痛、双下肢浮腫、手足心熱、月経量少、食納はまだ佳、大便1回/日、舌紅少苔、脈細数。尿蛋白（１＋）、WBC30～40/HP、Cre213μmol/L（2.41mg/dl）、BUN13.37mmol/L（80.22mg/dl）、尿酸619.9μmol/L（10.41mg/dl）、二酸化炭素結合力17.1mmol/L（正常域：20～30mmol/L或いは50～70 Vol%）。 中医弁証：濁毒内蘊 血絡瘀阻 西医診断：慢性腎盂腎炎、慢性腎不全（失代償期） 治法：活血 化濁 補腎 方薬：解毒活血湯加味： 桃仁15g 生地黄15g 当帰20g 赤芍20g 葛根15g 柴胡15g 連翹15g 川芎15g 丹参20g 益母草30g 大黄10g 草果仁15g 砂仁15g 公丁香10g 香附子20g 熟地黄20g 山茱萸15g 牡丹皮15 莵絲子15g 女貞子20g 何首烏20g 枸杞子20g 白朮20g 山楂15g甘草15g 水煎服用 １日１剤 二回に分けて服用。 （付記：腎不全であってもCreレベルから判断すれば早期です。邪実の証が薄いのです。濁毒や瘀血の証が少なく、舌象、脈象からは陰虚（火旺）の証が見て取れます。早期の腎不全ですので、治法は活血 化濁 補腎の扶正祛邪のほぼ全てが入ってきます。桃仁15g 当帰20g 赤芍20g 葛根15g 川芎15g 丹参20g 益母草30g 牡丹皮15 平温涼寒薬織り交ぜて活血化瘀、益母草は利水作用もあり、大黄10gは通腑泄濁、活血に作用します。山茱萸15gは補腎、当帰20g 川芎15g 熟地黄20gは養血剤の四物湯（白芍は配伍されていませんが）のそれであり、何首烏20gは熟地黄に似て補肝腎養血に作用します。白朮20g（健脾燥湿） 山楂15g（消食）に、草果仁15g 砂仁15g 公丁香10g 香附子20gは理気（降気）化湿濁に作用します。莵絲子15gで補腎陽 女貞子20gで補腎陰、枸杞子20g