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慢性腎不全 張琪氏漢方治療9.解毒活血湯加減 症例2(腎病漢方治療209報)

2013-12-04 00:15:00 | 慢性腎不全 漢方

本日も張琪氏の解毒活血湯加減の医案を紹介します。

患者:張某 46歳 女性

初診年月日20051031

主訴:反復性腰酸痛、夜間頻尿 5年間

病歴

5年前、明らかな誘引無く、腰酸痛、夜間頻尿、眩暈が出現;血圧165/90mmHg、現地の病院で高血圧と診断され、降圧治療を受けたが、その後検査を受けなかった。2005830日ハルピン医科大学付属第二病院で検査、Cre293μmol/L3.31mg/dl)、慢性間質性腎炎、慢性腎不全と診断される。2005920日北京?和病院で検査:Cre375.7μmol/L4.25mg/dl)、超音波検査にて双腎縮小、皮質変薄。927日 北京?和病院にて再検査、Cre331.5μmol/L3.75mg/dl)。

初診時所見

乏力、腰酸痛、夜間頻尿、悪心、納差、大便3/日、舌淡苔白、脈沈細。血圧165/105mmHg、ヘモグロビン9.6/dl、尿蛋白(1+)、RBC324万、WBC5670Cre354.4μmol/L4.0mg/dl)、BUN11.5mmol/L69mg/dl)。

中医弁証:濁毒内蘊、血瘀瘀阻。

西医診断:慢性間質性腎炎、慢性腎不全(失代償期)

治法:活血 化濁 補腎

方薬:解毒活血湯加減:

桃仁15g 紅花15g 生地黄15g 当帰20g 赤芍15g 葛根20g 柴胡15g 丹参20g 川芎15g 大黄10g 草果仁15g 紫蘇15g 半夏15g 公丁香10g 甘松15g 何首烏20g 天花粉15g 巴戟天15g 肉蓯蓉15g 甘草15g

水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用。

二診:

服薬14剤後、乏力、腰痛、悪心症状は減軽、但し瀉泄が出現した。舌淡苔白、脈沈細。血圧130/80mmHgBUN16.41mmol/L98.46mg/dl)、Cre323.6μmol/L3.66mg/dl)。泄瀉の出現は傷脾が原因であり、故に補脾益気養血、化濁活血の品を加え、扶生化濁法の方用とした。

方薬:活血湯加減:

紅参15g 白朮20g 茯苓20g 陳皮15g 白芍20g 当帰20g 砂仁15g 川黄連15g 紫蘇15g 桃仁15g 紅花15g 葛根15g 赤芍15g 丹参15g 大黄5g 甘草15g

水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用。

ドクター康仁の印象

初診から1ヶ月以内の診察と方薬になりますが、前案でも述べましたように、活血化瘀剤は初診時、桃仁15g 紅花15g 当帰20g 赤芍15g 葛根20g 丹参20g 川芎15g、二診時、桃仁15g 紅花15g 葛根15g 赤芍15g 丹参15gと配伍されています。

大黄は通腑泄濁、活血目的で初診1g 二診では泄瀉があるために5gに減量されていますが、大黄は腎不全の要薬といっても過言ではありません。また、活血化瘀剤は納差を生じる、あえて言うならば傷脾の可能性があります。したがって二診では、紅参15g 白朮20g 茯苓20gの益気健脾燥湿剤が配伍されたのでしょう。

初診時:生地黄15g 天花粉15gを配伍したのは、腎不全の湿濁が「化熱し傷陰する」という弁病論を氏がお持ちだからでしょう。初診時に何首烏を補腎薬として用いたのも、過去の甘露飲加減でも申し上げたように、熟地黄は滋膩で腎不全に使い難く、納差から納呆を惹き起こす可能性があるからです。初診時の草果仁15g 紫蘇15g 半夏15g 公丁香10g 甘松15gの組み合わせは理気降逆泄濁止嘔目的です。初診の巴戟天15g 肉蓯蓉15gの処方は補腎助陽を狙ったものです。前案でも出現しました。柴胡が又登場していますが、氏の弁病論(湿濁化熱)に由来するものでしょう。

2013123日(火) 記