癌メール相談から No13肝硬変 原発性肝癌 stage4
●●様の息子様へ
本日昼にFAX頂いた内容を検討しました。大変厳しい状況で、これは医師としての判断ですが、このままの経過をたどるのであれば、御余命は3ヶ月以内と推定いたします。
検査結果はやや不十分ですが、
#1総ビリルビンがすでに4.5と黄疸も強く、ヘモグロビン値が5.7と強度の貧血があり、大量腹水、肝不全(アンモニアの数値の直近のデータが無いのでどの程度かはっきりしませんが、)の進行が進んでいると判断します。B型肝炎後肝硬変かつ、おそらくは原発性肝癌併発による肝切除後の肝不全の進行です。
#2 また、クレアチニン値が2.1と上昇してきました。広義の肝腎症候群に移行しつつあるのではないかと想像できます。血小板数が3万台ということは、肝硬変による減少にくわえ、DIC(ネットで検索してください)を併発しているかも知れません。尿量が減少してきたのが気になります。1日400ml以下ですと乏尿となり、急速に腎不全が完成してしまうかもしれません。
#3アルブミン値が上昇しないのは腹腔内に漏出するためです。また、肝硬変になった肝臓での蛋白合成能力の減退にも起因します。
#4すでに、遠隔転移も発見されているのですから,末期がんstage4と判断します。また再度のAFP、PIVKA11の急激な上昇は、取りきれなかった癌組織が再び大きくなってきたか、転移巣で増殖していることを意味します。
かかる状態の漢方の治療原則は
① 大補元気(野山人参が最適):生命力を増強し、気を補うことで蛋白漏出自体を軽減させる。(ともかく体をもたせてその間に治療するには人参がかかせません)
② 益気養血:(黄耆、当帰などを加える):貧血の改善を目指す。
③ 養血安神:精神の安定をもたらす。(霊芝などの補気剤にも安神作用がありますので、併用します。)
④ 健脾利水:(尿量を増やし、腹水の減少をはかる)
⑤ 抑癌延寿:(残存癌組織あるいは新たな癌発生を防止して寿命を延ばす)
以上に⑥癌および肝硬変の悪液質改善目的のために、理気剤や活性酸素中和生薬を配合する。以上の⑥点になります。しかしDICがおきつつあれば、早急に抗凝固療法をしなければならないのですが主治医はどのようにおっしゃっていますか?
取り急ぎご返事いたします。 敬具
と回答した。次の回答は以下
費用の概算について申し上げます。
できるだけご負担にならないように料金の配慮をいたします。
① 大補元気(野山人参が最適):生命力を増強し、気を補うことで蛋白漏出自体を軽減させる。
中国一等級野山人参を一日1g程度服用していただくとして、一日の料金は5000円程度かかります。現時点で野山人参のg単価は5000円を越えています。
② 益気養血:(黄耆、当帰などを加える):貧血の改善を目指す。
③ 養血安神:精神の安定をもたらす。(霊芝などの補気剤にも安神作用がありますので、併用します。)
④ 健脾利水:(尿量を増やし、腹水の減少をはかる)
⑤ 抑癌延寿:(残存癌組織あるいは新たな癌発生を防止して寿命を延ばす)
以上に⑥癌および肝硬変の悪液質改善目的のために、理気剤や活性酸素中和生薬を配合する。以上の②~⑤点に関しては、煎じ薬にして、総生薬数20種類程度で1日料金が、ぎりぎり900円程度です。これに、現在の黄疸を軽減させる、利湿退黄の田七人参、郁金、蛇胆などの生薬を加えると、1100円程度になります。従って、野山人参を使用した場合には、都合1日生薬代金が6100円程度になります。取り急ぎご返事いたします。なお、血漿交換療法は一時的には有効ですので、全身状態を踏まえて、体外循環を行うのも、もし主治医がお話をしたら、同意なさってもいいと思います。ただし、血漿交換療法中に急激に循環虚脱に陥る危険性はついて回ります。あくまで、主治医の判断に任せるべき治療法です。
敬具
この後のメールのやり取りは述べないことにします。患者さんの様態変化についても言及しません。
同様の癌メール相談No14 原発性肝癌stage3 遠隔転移あり、肝機能は比較的保たれ、食欲も保たれている。抗がん剤の治療を拒否、自宅で、当院の漢方治療を行ってすでに5年半を経過してる女性がいる。無論半年に一度MRI検査を受けているが、癌のサイズは増大していない。
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肝硬変に癌が合併したら予後は一段と悪くなるだろうと思いがちである。しかし、実際の診療では、癌の増殖を抑え、硬化した肝臓の細胞再生を十分におこなっていけば、数年の長生きが可能である。初診時に腹水や黄疸、食道静脈瘤
、高アンモニア血症があっても、十分な食事療法、アミノ酸の投与、肝庇護療法、堅くなった結合識繊維に囲まれた肝臓固有の細胞を活発化させる漢方治療を行えば、アルブミン値も増加し、血小板値も6万以下になることはない。なにより、ビリルビン値が低下してくる。勿論、癌組織が急に大きくなってくれば問題であるから、抗がん生薬も適時増減させる。何よりも大切なのは、肝という臓器機能を温存し、健全化へ持っていくことだ。そのマーカーとして、コリンエステラーゼ、逸脱酵素GOT、GPT、血中アンモニア、血清アルブミン値、アルカリフォスファターゼの変動、腹囲測定、下腿浮腫の消長などをふまえ、入念に診察しなければならない。
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がん患者の4大死亡原因を述べれば、以下のようになる。
したがって、漢方抗がん治療の目的は以下に総括される。
ドクター康仁 記