やむやむやみー

やみーのやむやむな毎日

つながり読書75 「いねむり先生」 伊集院静

2015-08-27 09:32:48 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
仙台在住作家つながり。

伊集院静自伝的小説。

いねむり先生とは「麻雀放浪記」の著者、阿佐田哲也であり、色川武大である。

読後の感想を短く言うとすれば・・・ずっと読んでいたかった。



時間的には主人公サブローと先生の出会いから別れまで、

内容的にはサブローの目を通して語られる、先生という多面体(イメージは球?)の魅力、

なのだが、そこにはいつも、サブローの先生に対する尊敬の念と、先生のサブローに対するあたたかさ、

がある。

ドラマチックな展開が起こるストーリーでないのにも関わらず、ずっと読んでいたかった、と

思わせるのは、「ああ人間ってこんな風に支えあうこともできるのか」と感じさせるこの二人の関係、

に他ならない。


先生という人間が持っているさまざまな面。

放っておいたら沈んでしまうサブローを救いあげられるのは、その一部にサブローと同じ暗黒面を

先生が持っているからだ。

だけどそのサブローが支えたい、守りたいと思わずにはいられない面も先生にはある。

ギャンブルをせずにいられないところ、先生の一部を見て評価しようとする人にも等しく付きあい、

尖ったものが苦手で、幻覚におびえ、そしてナルコレプシーという病を持つ。


今、本のどこを開いてもスッと二人の世界に戻れる。

そばにあると幸せ、なのはこんな本かもしれない。