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2009年本屋大賞(第5位)受賞、つながり。
まずタイトルBoxの意味を初めて知った。
ボクシングしろ、つまり闘え、の合図の言葉。
耀子がボクシングのことを何も知らないおかげで、いちいち説明してくれる
沢木先生に一緒に教えてもらっている気分だった。
映画のキャストは耀子が香椎由宇だが、彼女はややスキがなさ過ぎる。
私の中ではやっぱり「殴る女」のイメージもあり、生徒との間に
一枚壁があることを自分に言い聞かせている、そんな一生懸命さを
演じるなら和久井映見だ。
で、沢木先生は大杉漣かなあ。で、大鹿ジムのおじいさんは
火野正平。
とにかく読んでいる間、私の頭はボクシングでいっぱいだった。
映画化や漫画化されるのがよく分かる。
ただの殴り合いだと思っていたボクシングが、文章で読むとスローモーションで
試合が進み、沢木先生のパンチやガードについての解説がパチンと当てはまる、
という感じ。
☆以前にタイトルを取った相手に勝ったことを強調する木樽に
「そやけど、何ちゅうかーーーボクシングって、今の強さが勝負やろう。
昔のチャンピオンに勝ってもチャンピオンより強いことにはならへんやろう」
☆稲村と鏑矢の初めてのスパーを見た耀子
「あらゆるアスリートには最高の瞬間というものがあると聞いたことがある。」
これは最近自分が若いときによく聞いていたアーティストが現在歌いづらそうに
しているのを見て、同じことを感じた。
☆鏑矢と初めてマスボクシングをしてスタミナ切れした木樽に
「ボクシングは自分のリズムで動くと疲れへん。しかし相手のリズムで動くと倍疲れる」
映画を最初だけちらりと見たが、この原作を読んだからこそ納得している部分が
多いので、はっきり言って物足りない。
木樽のボクシングを始めるまでの心の動きは、文章からしっかり想像する時間を経て
つかめると思う。映画ではあまりにも簡単に入部したように見えて拍子抜けだ。