やむやむやみー

やみーのやむやむな毎日

つながり読書182  「ストレイト・ストーリー」 村上龍

2021-08-13 11:26:00 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 
 


村上龍をもう1冊。
 
読み始めて明らかに村上龍のテイストをまったく感じないので
変だと思ったら、実話を元にした絵本版(映画化もされているらしい)
だった。
 
絵本版ということで、ときどき入る挿絵や表紙を見ても
「子供向け?」と思っていたら、これまた全然違う。
 
ストーリー的にはおじいさんの冒険物語でしかないのだが、
語り手は、インディアンの霊魂であり、
老人アルヴィンの生き様を眺める視点で書かれている。
 
だれにも話せない秘密があったり、
不調で毎日愉快に過ごせなかったり、
思い通りにならない人生をどう過ごすか?
やりたいことを本気でやるというのは
どういうことか?
 
教訓めいてないのに
じっくり考えこみたくなるポイントの
多い読書。分量もちょうどいい。
 
 

つながり読書181 「69」 村上龍 含むネタバレ

2021-08-05 21:46:00 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 


内館牧子が卒業した武蔵野美術大、つながり。
 
この本を借りたのは、代表作「限りなく透明に近いブルー」を
読もうと思ったから。
 
ところが
 
タイトルに抱いた自分の勝手なイメージとは
180度違った衝撃に耐えきれず、
 
冒頭からどこまでも、気持ちが悪く、我慢比べのような
読書になりつつあったのでやめた。
 
生理的に合わない、ってやつだろう。
 
で、おそるおそる「69」を読み始めたら・・・
これが楽しくて読みながら何度吹いたことか。
 
ちりばめられたオヤツを拾い歩くような読書。
 
その中でも、ちょっとしみじみ味わった異色の
おいしいところをメモ。


P064 「すなわち、不幸は自分が知らない間に、知らない場所で、
勝手に育っていって、ある日突然、目の前に現れる、という重要な事実に、
である。幸福は、逆だ。幸福は、ベランダにある小さなかわいらしい花の苗だ。」
 
本当にそうだなーと思う。
幸せはサプライズでも歓迎だけど、
 
覚悟できずに訪れた不幸は、
その場で対処する必要があるものね。
 
 
P079 「まだ、ヤザキなんかに、こんなことを言ってもわからんだろうが、」
 
これは担任マツナガ先生の言葉。
このあとに続くのは、病気と付き合いながら、こわいという感覚に慣れ、
ただ季節の花を見られるだけで満足する自分がいる、というような内容。
 
教育者として押し付けるのでなく
彼らのとの間に1本線を引きながらも、
淡々と職をまっとうする姿。
 
先生の目立たない地味な底力、を感じ取れるようになった
ヤザキたちが、大人に近付く部分。
 
 

つながり読書180 「終わった人」 内館牧子

2021-07-25 17:58:16 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 


格闘技ファンの内館牧子。
大きな体格が好きらしい。
 
身長180センチ、空手愛好家の今野敏、というつながり。
 
こういう読みやすい小説が久々だったこと、
想像しやすい主人公壮介の定年後の生活や心境だったこと、
丸くおさめようとしないストーリー、
 
に引き込まれ、楽しい読書だった。
 
定年後ジジババグループのリアルに
抵抗したくなる気持ち、分かる気がしたけれど
そこに染まるのもまた老年期をおだやかに過ごすための
戦法であるように感じた。
 
ただひとつ、
子持ちの娘に対して
自分のことを「パパは、ママは」と話しかけるのは
なんだか気持ち悪い。
 
娘のほうも
結婚してある程度両親との距離が離れると
あそこまでズケズケ言えないないよなーと
思った。
 

つながり読書179 「隠蔽捜査」 今野敏

2021-07-10 16:51:36 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 


今野敏が北海道出身という
北海道つながり。
 
ゴリゴリの大学派閥や出世欲、
を全面に押し出す主人公のキャラが新鮮。
 
またまた勝手なキャスティング。
竜崎は、椎名桔平
伊丹は、江口洋介で
決まり。
 
犯人探しやトリックに重点を置かず、
警察という組織で働く人間模様を描いた作品。
そのわりには、事件絡みの情報も細かいので
なかなか疲れる。
 
テレビドラマ向きかな。

つながり読書178 「海峡の光」 辻仁成

2021-05-07 17:55:27 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 


前回作品は、舞台の西側の海、が色濃く、
今回は、北の海、というつながり。
 
辻さんが北海道に居住歴があることを知っていたので、
小説を書くときには、きっと自分のなじみの海が
舞台になるはず、と想像して選んだ。
 
その目的はばっちり果たされ、
函館の海の風景とともに
北の大地の厳しさと、
刑務所という無機質な緊張感を
満喫できた。
 
とても読みやすく、想像しやすい
情景描写が心地いい。
 
主人公の斉藤よりも
受刑者花井に焦点を当てることで
また別の見方ができるような
奥深さがある作品。

つながり読書177  「共喰い」 田中慎弥

2021-04-22 15:34:15 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 


前回、人魚になった人間が、
人魚の肉を食べることで、若返る・・・これは
「共喰い」???というつながり。
 
以前読んだ「聖水」のように
土地に密着した物語。
西の地方、独特の海辺の街、どろ、におい、
みたいなものがあるように思える。
 
あまりのなまなましさは
とても読んでいて気持ち良いものでは
ないが、
 
2つ目の「第三紀層の魚」のほうは
ある年齢の男子の繊細さが
想像しやすく、ある意味口直しになった。
 
 

つながり読書176 「人魚の森」「人魚の傷」 高橋留美子

2021-03-22 19:45:45 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 


前回、がんや死が題材で、今回は不老不死。
 
人魚の肉というファンタジーな要素が生み出す
 
物語の中でも、不老不死の人生に明るさは見えない。
 
ただ主人公が自ら示してくれるのは
 
愛する人とと一緒に歳を取りたい、と
 
人間は願う生き物だということ。
 
やはりそれを一番の自然として受け入れること、
 
が生まれた瞬間から課せられていることなのかもしれない。

つながり読書175 「がん消滅の罠」 岩木一麻

2021-02-21 17:39:00 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 
 
前回「聖水」のお父さんは末期がん患者、というつながり。
 
やっと読了した今、もう一度読み返せば、ハッとすることも
あるのかもしれないが、
 
そのエネルギーは次の本に注ぎたい。
 
最後何十ページかで、一気に話に躍動感が生まれる作品。
 
ただその躍動感の中に残る疑問点。
 
だからって不倫するかー?
夫の子供じゃないって隠せるものかー?
偽名で付き合ったりするかー?
羽島がそれに気付かないかー?
自分の病気を隠すことが、羽島を守ることになるのかー?
夫人の不倫相手が単に巻き込まれた被害者ー?
実の娘と出会った経緯はー?
 
 
自分の中では消化不良な感じ。
 

つながり読書174 「聖水」 青来有一

2021-01-17 08:22:00 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 
景山民夫の晩年といえば、「宗教」というつながりで
余命短い病人がすがる水の話。(その他3つ短編)
 
長崎の干潟の泥の感触、海際の坂の街、南国の風や植物、
が記憶に残るような文章が魅力的。
 
ストーリーは、やはり長崎色強く、
「宗教」「先祖」というものに対する思いは
何か特別なものを感じ、身近ではない分、戸惑った。
 
 
「聖水」も「ジェロニモの十字架」も
「宗教」「先祖」という分野に半信半疑な人間を主人公にして、
見渡している視点だからこそ読了できたのかもしれない。

つながり読書173 普通の生活 影山民夫

2020-11-24 18:07:00 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
 


前回、清水義範と同じ年に生まれたつながり。
つまり存命なら、73歳。
景山民夫の著書、仕事を知らずに
この本にいきついた。
 
 
 
詰め込まれたエッセイから見えるのは
 
男子のやりたいこと全部やりました!感と
 
同時に持つ、彼の繊細さ。
 
 
困ったときにはパパに連絡する
 
エピソードを読むと、
 
「放蕩息子」という言葉がつい思い浮かんでしまう。
 
 
エッセイひとつひとつは
 
とても興味深いが、
 
離婚後に息子の参観に行ったら
 
久しぶり過ぎて顔が分からない、という話は
 
本人のショックを想像できるだけに
 
イタイ。。。