1994年文藝春秋の1000号創刊にあたり、同誌への執筆回数を
番付形式で紹介された際、東横綱清張に対し、西横綱は井上靖と発表された
とのこと。そのつながりで今回は井上靖。
日本史にあまり興味なく、よって歴史小説読もあまり好んで選ぶことはない私。
井上靖といえば、読書感想文での課題で読んだ「しろばんば」でさえあまり記憶に
定着しておらず・・・今回は若干の不安があったのだが、途中何度か失速しながらも、
うわっと一気に読みたくなるシーンが織り込まれているおかげで、思った以上に
のめりこめた。
山本勘助、という人物については実在したか否か、という根本的なところに
諸説がある、というミステリアスさこそ、小説をおもしろくする条件なのかも
しれない。
私には実在したかどうかなどはどうでもよいことで、ただ読み進めるほど
勘助という人物に愛着が湧くのが楽しかった。
由布姫が亡くなったときに感情をあらわにした勘助、そして由布姫が残した
10歳の勝頼に自分の初陣を見るまで死ぬな、と言われたときの勘助、
「主君の女遊びをやめさせ作戦」に悩む勘助、高坂昌信と出会い武田の
弱点をつかれ初めて老いを感じた勘助・・・
それにしても交通手段の乏しい時代に、あれだけの距離をよく行ったり来たり、
できたものだなあ、と感心する。今でも馬頭観音や旅の途中馬を休ませたであろう
場所の名残があるのは、この馬大活躍!の時代あってこそなのだ。
番付形式で紹介された際、東横綱清張に対し、西横綱は井上靖と発表された
とのこと。そのつながりで今回は井上靖。
日本史にあまり興味なく、よって歴史小説読もあまり好んで選ぶことはない私。
井上靖といえば、読書感想文での課題で読んだ「しろばんば」でさえあまり記憶に
定着しておらず・・・今回は若干の不安があったのだが、途中何度か失速しながらも、
うわっと一気に読みたくなるシーンが織り込まれているおかげで、思った以上に
のめりこめた。
山本勘助、という人物については実在したか否か、という根本的なところに
諸説がある、というミステリアスさこそ、小説をおもしろくする条件なのかも
しれない。
私には実在したかどうかなどはどうでもよいことで、ただ読み進めるほど
勘助という人物に愛着が湧くのが楽しかった。
由布姫が亡くなったときに感情をあらわにした勘助、そして由布姫が残した
10歳の勝頼に自分の初陣を見るまで死ぬな、と言われたときの勘助、
「主君の女遊びをやめさせ作戦」に悩む勘助、高坂昌信と出会い武田の
弱点をつかれ初めて老いを感じた勘助・・・
それにしても交通手段の乏しい時代に、あれだけの距離をよく行ったり来たり、
できたものだなあ、と感心する。今でも馬頭観音や旅の途中馬を休ませたであろう
場所の名残があるのは、この馬大活躍!の時代あってこそなのだ。