やむやむやみー

やみーのやむやむな毎日

つながり読書76 「百」 色川武大

2015-09-21 08:37:26 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
「いねむり先生」=色川武大、というつながり。

作品中に「百」の話題が出ていた。


これを読むことで、より「いねむり先生」の輪郭がはっきりした感じがした。

いねむり先生が見せるサブローへのやさしさがどこからくるものなのか、

ときどき先生がひとりで何かに耐えているようにみえるのはどうしてか、

先生のコンプレックスの深さ・・・そんなものが見えてくる。


「百」に出てくる家族は決しておだやかではない。

ひとりひとり壁に突き当たり、ひとりひとり生きている。

だれも悪くない、そうせずにはいられない、うまくいかない、そういう人間の

不器用さを主人公はただ認める、そこがすごい。


親の期待を裏切る子どもとしてスタートしてしまった人生。

そこには劣等を貫くことで、自分の存在を確かにするしかなかった。
 
「父親に牛耳られるわけにはいかない。父親を傷つけてもいけない。」

「他人を圧迫しないこと。他人をたとえ些細なことであっても孤立に追いこまないこと。
 だが私が牛耳られるわけにはいかない。だから、誰とも違うコースを走りたい。」

主人公の生き方のとらえられ方は、父、母、弟、みな違う。

その中でも父親との関係があるからこそ、主人公は生きてこれたのかもしれない。


そんなゆがんだところから生まれる人間の魅力。

それを強く感じることができるのは、文章の力、の他ならない。

自宅においてじっくり読みたい本だ。

中年のイライラ

2015-09-16 17:32:32 | やみーの日常
自分がイライラしてるのが分かると、余計にイライラする。

そして物事すべてのイライラ面を見つけることが得意になる。

ああまた洗った食器がかごにたまったままだから次が洗えない!

ああなんかジーパンきつい!

ああ寝ぐせがなおんない最悪!

ああ今晩のおかず何する?

ああツメのびて気持ち悪い!

ああなんか私くさい!

ああツメ切ったらツメのギザギザがいろんなとこにひっかかる!

ああ運転して遠くに行きたいんだけど眠い!

ああおだやかな顔してたいのにできない!

ああもう夕方になっちゃった!

と、まあこんな感じ。

こうなるともういったい何が自分を救ってくれるのかわからない。

いつもこうじゃないけど、たまにこうなる。

今日は犬の散歩しながらつぶやいた。

「私は自由だ」

ちょっと気持ちいい。

こういうとき、何何しなくちゃいけないけどできない、ことばっかりに目が

向いてる。だから気持ち良さそうに歩く犬に注目しながらこうつぶやく。

そしていまや健康に関する情報は山のよう。

「体をゆるめる」とか「ストレッチ」などと検索すれば親切なサイトがいっぱい。

どれでもいいからやってみる。

頭じゃなくて体に集中してみる。

よし。。。よし。。。それでよし。






「大統領の料理人」 2012年フランス

2015-09-02 17:53:58 | ミルミル ネタバレチュウイ!!!
主人公オルタンス・ラボリは、大統領官邸料理人を務めた女性がモデルと

なっているらしい。

だから・・・か、と私は思ってしまった。

ストーリーは想像の範囲を越えず、深みがない。

勧善懲悪的な人物背景が主人公を美化するためのものにみえてしまう。


モデルがいたからこそのしばりがあったのか?

題材的に興味深かっただけに残念。

映像もきれいだったんだけどなあ。。。


官邸内の主厨房とは別に日常の食事を突然まかされたオルタンス。

当然主厨房からにらまれつつの仕事はやりにくい。

でも大統領と心を通わせることでやりがいを見出してゆくが、

財政面、健康管理面で追いつめられ辞職、ニュージーランドでトリュフを育てる

資金を得るため南極料理人として再就職・・・というのがだいたいのスジ。


①いくら日常の食事の支度要因だからって、官邸キッチンで私服にエプロン、アクセサリーばっちり
 メイクってどうなの?

②主厨房の連中に意地悪されてキッチン道具にあたる姿は、彼女のキャラに合わないような・・・

③大統領が彼女の環境がキビシイことを知りながら、自分も窮地に追い込まれているけどガンバルと、
 告白したシーンがありながら、その直後大統領がお留守のすきに辞職ってのは、不自然では?

④疲労骨折です、と告げられるシーンは必要?南極の環境は体力的にもっと過酷そうだけど。

⑤南極でのテレビ取材の二人、オルタンスの官邸料理人時代を語らせるきっかけのためとはいえ、
 もうちょっとなんとかならんかな。

⑥南極での暮らしが描かれていないから、勤務最終日のお別れパーティの盛り上がりに共感できない。

⑦大統領の料理人だったんだから、南極に行く目的が資金作りってのもどうか?

などなど。

どのエピソードも中途半端で、結局何を描きたかったのか不明・・・な作品でした。