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やむやむやみー

やみーのやむやむな毎日

つながり読書 120 「ハルモニア」 篠田節子

2018-07-02 09:06:26 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


ベートーヴェンから音楽つながり。

人生をかけてどんなに努力しても追いつけない才能、に対して東野や深谷のような

思いを抱く人がいるのは分かるが、そちら側(凡人)の思いだけが重くなる後半は

物語としてまったくのめりこめなかった。

前半、由希の微笑に、東野目線で一緒にひとすじの希望を見い出していたつもりだったのに

話はまるで逆方向へ。結局、登場人物のだれにも共感できなかった。

つながり読書 119 「ベートーヴェンの真実」 ラッセル・マーティン&リディア・ニブリー

2018-06-10 23:30:14 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



「海辺のカフカ」の星野くんはナカタさんと旅をしている途中に入った喫茶店で聞いたベートーヴェンを

えらく気に入ってしまう、というストーリーとのつながり。


「ベートーヴェンの遺髪」の出版後、若者向けに書かれたのがこの本だそうだ。

確かに章が細かく分かれており、文章はストーリー仕立てで読みやすい。

挿絵も多く、ベートーヴェンがどんな人生を生き、どんな人間であったのか、想像をかきたてるのだが、

よくある子供向けの伝記とはひと味違う。

そこにベートーヴェンの遺髪をめぐる後世のストーリーが付随しているからだ。



フンメル先生とベートーヴェンの死の床を見舞ったフェルディナント・ヒラー15歳。

大人になり、自分の音楽的才能に限界を感じた彼が、ベートーヴェンの音楽を以下のように表現しているのが印象的だった。


「弱いところのないやわらかさ、空虚さのない熱狂、感傷的ではないあこがれ、狂気ではない情熱」


そして衝撃だったのがベートーヴェンのデスマスクだ。

そこには音楽室や教科書のベートーヴェンではない彼がいた。

あのヘアスタイルなしでの、目を閉じたベートーヴェンの姿は最後まで音楽とともに生きた充実感と、

病気の苦痛から開放されたことへの安堵感がにじみ出ている。

自分という人間を理解してほしい、と願った彼に私は伝えたい。

遺髪の科学的な研究結果以前に、もうこのデスマスクがすべてを語っているから大丈夫、と。














つながり読書 118 「海辺のカフカ」 村上春樹

2018-06-03 08:27:46 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


古川日出男が若いころから傾倒していた村上春樹、つながり。

なぜかいつものように村上ワールドに安心して浸れない作品だった。



冒頭、田村カフカくんが旅に出るところは、若いときにやってみたかったことを大人になって

リアルに想像して楽しんでる感、があって一緒にわくわくした。

でもその後、どうもカフカくんの旅立ちに大きく影響しているであろう、お父さんという人間を

どうとらえていいのか分からないまま終わってしまった。

母と姉と関係を持つことになるだろう、と息子に予言する父親の異常さはどこからくるのか?



カフカが入った深い森の世界の描写は、止まった時間の中でカフカくんだけがよそものであることを肌で感じ取れた。

私の中ではこれこそ村上ワールドなのだ。

死んだ人の世界、というよりは、佐伯さんのように記憶を燃やしてしまった世界なのかもしれない。

攻殻機動隊の中で、素子ちゃんが映画館にダイブしたときの話を思い出す。

あのときのあっちの世界の人との会話、戻ってこようとする気持ちの強さ、と似ている。




印象深い文章


☆難解な音楽についての大島さんのセリフ

 「僕の人生には退屈する余裕はあっても、飽きているような余裕はない。」


 退屈する=難解である すぐに飽きる=安直さ



☆森に入ったカフカの感想

 「植物がそれほど不気味なものになれるのだという事実を、僕は知らなかった。」


 人間の手によって飼いならされた植物とはまるで別物、ということ。

 おそれや敬意を持て。

 これを同じように知らないことは山ほどある。























つながり読書117 「沈黙 アビシニアン」 古川日出男

2018-03-23 15:05:02 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


前回短編集の中にあった「二本肢の猫」に登場したbar アビシニアンつながり。

古川日出男の作品を読んだことがなかったので、どうしてもこのアビシニアンで

つながりたかったのだが、その可能性は低いかな、としばらく思っていた。

基本、つながりはあまり無理せず、ゆるりとと図書館で出会えた本に進んでいる。が、

今回は多数ある古川日出男の蔵書の中にこれだけがなかったからだ。

ダメもとでブックオフに寄った。

そこではそもそも古川日出男の本が1冊しかなかった。それがこれだ!!!

というわけで、引き寄せた感はバッチリだったのだが。。。


「アビシニアン」から読み始めた。

ほへーこれが古川日出男の世界かあ、という感じでなんとか読んだ。

せっかく手に入れたのだから、と

「沈黙」も読んだ。

あああーごべんなさい。苦しいです。とても。



難解な本でも読み進めるうちに「あれ?ちょっと仲良くなれたかも」と、自分の成長を感じる本がある。

でも今回は私ちっとも成長しません。

たぶん・・・私の読み方、私が無意識に求める読書、ではいくら読んでもお近づきになれないタイプなのだと

思います。

村上春樹に傾倒、という情報を得ていたのでそれに安心していたギャップもあったかもしれません。

村上春樹の作品のようにのめりこめない理由はどこにあるのか?


・いつの間にかそっちの世界に引き込まれていた、という引力がない。

・「アビシニアン」のエンマ、「沈黙」の薫子、彼女たちを囲む人間、つまり登場人物にリアリティがなく、
 
 想像しづらい会話が不自然。実物が見えてこない。

・食べ物の描写がけっこう多いのにあんまりおいしそうじゃない。

・こう読ませたいという漢字のるびが多すぎて、おしつけがましい。









つながり読書116 「ものいふ髑髏」 夢枕獏

2018-02-11 21:12:42 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


「遺伝子をもらった」と表現をするほど筒井康隆を尊敬する夢枕獏、というつながり。


10の物語で構成されている短編集。

ホラーというくくりにもできるが、それぞれが持つ毛色はずいぶん違う。

時代設定、人物設定、ゾッとするポイントなど魅力は違えど、どれもその世界の温度を感じ取れる。


中でも、「夜の訪問者」では、桜が咲く頃のゆるんだ空気と、視覚を失った状態の主人公の耳の鋭敏さを

体感できた。訪問者がこの世の人でないという展開はありきたりであるのに、河森さんのおだやかな死の

光景と夜桜の映像が心に焼き付く作品だ。


つながり読書115 その2「家族八景」 筒井康隆

2018-02-06 19:01:31 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
読んでいてときどきドッキリするような表現があった。


☆「他人に対するどんな誤解や錯覚にも必ず一面の真実が含まれている筈だと、七瀬は以前から

  そう思っていた。」


 これは噂と呼ばれる類のものに対して同じことを私も思っていた。

 あふれる情報を疑いながらも、そこに至るまでの素材の中に一粒ぐらいの真実がある、と

 思っている。


☆「登志には、自分の無茶で独断的な主張に対する相手の反論を、相手がまだ何もいっていないうちから

  勝手に想像して興奮し、逆上してしまう癖があった。」


私はこういう人を身近に知っている。ものすごく迷惑だし、嫌なのだが、今までこんな風に簡潔に

表現することができずにいたので、これを読んだときスッキリした。同時にこの手のタイプへの最大の

侮辱は沈黙だと続く文章に深く納得した。なぜなら相手は一人で完結しているわけで、そこで何か言葉を

発する意味はないし、エネルギーの無駄でしかないからだ。ただ一人完結の内容に耐え切れないことがある。

そんなとき、これは「沈黙」という手段を使った相手への攻撃だ、と認識すればうまくいくかもしれない。



映像化された経緯もあるようだが、私の中の七瀬ちゃんはミムラ。

10代の設定はちょっと無理があるけれど、

内向的で、秘すべき力があり、細くて働きもの、若さや美をひけらかさない、そんなイメージに合う気がする。





つながり読書115 その1 「家族八景」 筒井康隆

2018-02-06 15:11:30 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
手塚治虫に熱中した学生時代を過ごし、手塚治虫挿絵の著書「イリヤ・ムウロメツ」がある、つながり。


SFというと、宇宙、派手な光、宇宙人、UFO、AIなど映像化されたイメージが強く、活字でその設定を読み解く

のはちょっと苦手だ。だけど、この作品にそのイメージのどれも登場することはない。


というわけで、私の中ではこれはSFではない。強いて言えば「家政婦は見た」超カンが鋭い版、だ。


ただし、他人の思考が読めてしまうという主人公、火田七瀬ちゃんの特異体質はカンが鋭いなんていう表現を

はるかに超えている。だが、こういう人いるかもしれない、という可能性を捨てきれずに読むことで、

いつの間にか七瀬ちゃんの目線でそれぞれの家庭をのぞきこみ、始まる彼女の実験にゾクゾクする楽しみを

見つけてしまうのだ。


七瀬が家政婦として勤める家庭はどれも危うさを持っている。

それはどこの家庭にもあっておかしくない危うさであり、それが七瀬が来ることによって

導火線に火がつけられる。


その中でも、歳を取ることへのおびえが怒りに変わった陽子、夫に振り向かれなくなった猜疑心まみれの

根岸夫人、を死へと導いてしまう結末は暗い。


この作品では、登場人物たちの思考が(  )でくくられている。

実世界でもそれは同じだ。

それを言葉として同じく認識できてしまう力、そんなものが備わっていたらメンタルは保てない。

言わなくていいこと、言ってはならないことが存在するということが、言葉を持つ人間だけに許された空間

であることを忘れたくない。


つながり読書114 「火の鳥」1〜13 手塚治虫

2018-01-28 22:21:38 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


前回「さよならクリストファー・ロビン」の中で頻繁に登場したアトム。

ここで引用されているアトムには、私が今まで持っていた子供向けの明るいヒーロー色は感じられず、

むしろアトム自身の深い考察に、そうか鉄腕アトムってこんな話だったのね、としんみりしてしまった。

そこでつながった「火の鳥」。

13巻すべてが火の鳥が関わる物語で、それは古代においても未来においても

人間という生き物が基本的に変わらないものであることを火の鳥を通して気付かせてくれる。


どういう行いが良い、悪いというような単純なものさしで作られた物語ではない。


一見良さそうに見えたものが、悪しきもののように見えたものと、実はたいして変わらないということを

火の鳥が知るのは、不死鳥として生き続け、世の中を見続けた結果だ。


未来について描かれた物語は、今でこそもう手が伸ばせる範囲にある世界だと感じるのだが、

これが描かれた時代に、所詮AIも人間がつくり出した産物であり、何か一つ歯車が狂い出した途端、

人間の愚かさがこぼれ出てくるというような想像していた手塚治虫という人間を、ただただすごい!と思う。
















つながってない読書 「切に生きる」 瀬戸内寂聴

2017-10-23 09:37:55 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



☆ 日本尊厳死協会 という存在


☆ 「私は『生きる』ということは愛するために悩むということではないかと考える」

 その正反対にあるのは無関心。


☆老いの愉しさ = 思い出をなぞるだけでも退屈しない


☆老化現象や呆けはいやなことから遠ざけてくれる恩寵では?

 老人になっても見たい、聞きたいことはある、頭ははっきりしていたい、と思うけれど

 それを恩寵と考えて本人はラクに、そして囲む人間の方が修行するために教材となってやる、

 くらいの気持ちでいればいいのかもしれない。


☆「本当に家庭的な女になることくらい易しそうで難しいことはない」

 家庭的のイメージは、料理上手、ご近所親戚づきあい上手、掃除洗濯上手、マメ、裁縫得意・・・

 そんな感じ。では「本当に家庭的」ってなんだ?

 たぶんそういうことも含めることになるんだと思うんだけど、大きな世界の中に、小さな自分の

 家庭があるという想像ができているということではないか?

 その上で家族にとって最良の選択をいつも考える人、かな。

 ああ、でも家族がいる、いないに関わらず、「自立した人間」、であることが大前提か。



 

「通販生活」

2017-10-19 11:05:00 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



株式会社カタログハウスが発行する通販カタログ誌である。


ここまではいいとして、

社民党に企業献金あり、と聞けば、内容に政治的な主義主張が感じられることに納得できる

分かりやすい例かもしれない。


個人が無意識のうちに関連を持っている一見意味のない薄いつながり。

その糸をたどっていくと、政治的背景がある、なんてことは珍しいことじゃないだろう。

一体自分が何に踊らされているのか、ちょっと知りたい気もする。