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やむやむやみー

やみーのやむやむな毎日

つながり読書 126 「百年泥」 石井遊佳

2018-08-25 17:52:28 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


インドつながり。

第158回芥川賞受賞作品。

もともと興味は薄いが、これを読んでますます賞を受けるってなんなんだ?という

疑問を抱かずにはいられなかった。

私に合わなかった、というだけの話なのだが。。。


愛せない理由はなにか?

主人公を自分の中で想像する楽しみがないことだ。



自分の母親を人魚だと思うような一風変わった少女時代。

そのまま大人になった彼女の男遍歴と、借金取りに追われるような生活からインドへの逃亡。


その他諸々の材料でできあがった主人公像にインドでのエピソードがうまくのらないのが不快。


インドでの職種はエリートのための日本語教師。そんなオファー降ってくるか?

英語能力のなさを白状しながらも、現地語ができない彼女は日本語文法を英語で説明している?

授業での生徒のやんちゃぶりごときにハゲを作るほど悩むようなフツーのタイプじゃないでしょ?


なんか違う、がいっぱい重なる。



そして意味深なタイトルに合わないあの表紙。

親戚の子供の作品ですか?



うううう。次だ!次っ!!



つながり読書 125 その3「ぼくと1ルピーの神様」 ヴィカス・スワラップ

2018-08-23 11:29:25 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
全問正解したら10億ルピー。

占い師からもらった1ルピー。


これがこの作品のキーワードにも思える。


どん底の生活を知っているラムが、ガイドの仕事を得て、日々の生活に困らなくなったとき

「僕はお金も自分の人生も、とてもぞんざいに扱うようになった」と告白している。


それは彼がどん底を味わった結果の強さであり、愚かさにもつながっている。

どんなふうに運命が転がっても平気、というような。


だから5万ルピーという大金を見せてしまうし、

ベンツに「フェラーリも持ってるぜ」というステッカーを貼ってしまう。



お金の使い方を考える、というのは、私が思っているよりも

何かもっと深い意味があるような気がする。












つながり読書 125 その2「ぼくと1ルピーの神様」 ヴィカス・スワラップ

2018-08-23 10:56:49 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
あまりにも没頭していたので

インドに暮らす人の肌の色や、暑さ、雑踏や、仏像、空腹、何が汚いのかよく分からなくなる感覚、

などなどを満喫(?)できた。



「どんな記憶力やねん!」というツッコミを主人公に入れたくなくもないけれど

そんなものは、一つ一つのエピソードのドキドキ感にすぐに打ち消されてしまう。



そして主人公ラムを通して見るインドという国。


「クソをするにも列を作って並ばなくちゃならないような日々。

 そんな生活をしていたら、いつどんな理由で逮捕されてもおかしくないと

 思い始める。」


覚悟とあきらめの日常であるからこそ、チャンスが輝く。


12問のクイズに答えを備えることになってしまったラムの人生はまさにその連続だった。









つながり読書 125 その1 「ぼくと1ルピーの神様」 ヴィカス・スワラップ

2018-08-22 14:29:03 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



前回の坂口安吾は、真言宗の中学に編入。

宗教に目覚める。

その後一度教職を経験するが、東洋大学、現在のインド哲学科に入学。

仏教や哲学を猛勉強し、神経衰弱に。

そこから48歳という若さで亡くなるまで不安定な精神と付き合いながらの

作家生活だったように見える。

彼が文学に親しんだ後に、あらためて深く入り込みたかった宗教の世界、インド哲学の世界は

一体どんなものだったのか?

中でもインドという土地に惹きつけられる人間には、惹きつけられるだけの要素がその人自身に

備わっているような気がしてならない。

私はどうか?

深入りはしたくない。

でも、においや色、ざわめきを勝手に想像できるくらいの、難しくない、インドの風をふんわり

感じてみたい。

そんなわがままな欲求つながりで選んだ作品。

大正解だった!










つながり読書 124 「肝臓先生」 坂口安吾

2018-08-15 22:51:25 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
映画「カンゾー先生」の音楽を担当した山下洋輔つながり。

青空文庫を初めて利用。

1906年生まれの坂口安吾。

48歳という若さで亡くなっているのに、明治、大正、昭和という激動の3時代を生きた人だ。

そのお年頃の方の作品ということで、ちょっこし身構えていたのだが

文章は分かりやすく、ユーモアも理解できる。



ユーモアという点で絶対にはずせないのはこのタイトル。



どんな体調不良の原因も「肝臓が悪い」と診断すると聞けば

だれもがヤブか?と疑うだろう。


読者にその先入観を持たせてから出発するところがポイント。



私が肝臓先生の人柄で好きなのは

自分の悪い噂を立ち聞きしてしまった肝臓先生が

怒ってその場に突入するのではなく、相手も気まずいだろうと

その場をそっと離れるところだ。
















つながり読書 123 「ピアノ弾き即興人生」 山下洋輔

2018-08-11 23:45:30 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


忌野清志郎と音楽的つながりが深い山下洋輔。


ジャズピアニストという生業そのものであるかのようなタイトル。


紙面に発表した記事や、プログラムの挨拶、講義などをまとめたもので構成されている。


このタイトルに沿って言えば「即興を楽しむ」という章は山下洋輔という人間の素を感じた。

基本は「その場主義」な生き方。

行き詰まったときは、猫や犬の視点で(なりきって)見方を変える。



冒頭にある「怒りのノワール」が私は好き。

声を出して笑ってしまった。

運転していて同じような体験はよくあるけど、ここまでステキな妄想をしたことはない。






つながってない読書 「人生の終いじたく まさかの、延長戦!?」

2018-07-27 18:48:59 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



「人生の終いじたく」の続編。

ハツラツとした82歳の文章に、続編の続編が生まれそうな気がする。

前回と同じくときどきアハハと笑いながら読んだが、

今回はご主人神津さんとの会話が楽しい。


神津さんがいつもメイコさんの様子を1メートルくらい離れて観察しておられるような雰囲気を感じる。


いろんなものがつまった引き出しを、スッとしまったような、神津さんのあとがきがまたよい。



つながり読書 122 「忌野旅日記」 忌野清志郎

2018-07-25 09:21:45 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



前回が日本クラシック界なら今回はロック界ってことで音楽つながり。


「旅日記」なんてタイトル、「なんかテキトーにつけいといてよっ」と清志郎さんが言った気がしてならない。

とはいっても、私はほとんど忌野清志郎という人間を知らずにこれを読んだので、もし違ったらホンモノのファンの方には

ごめんなさい。


内容は交遊録。


彼の容姿を想像するだけでも、え?この人と親しいの?という意外性のあるご友人たち。


とにかくエピソードがおかしくて、でもそれを誰かに話して笑うんじゃなく、この本を読んだ自分だけが

「ふふっ」と一人で不気味に笑いたい、そんな本。


それにしても、どれだけいろんな人に、いろんなことで、怒られたんだろう?と思う。


でもそこには


自分がしたいこと、言いたいことを受け止めてくれるよね?あなたなら大丈夫でしょ?という

相手への尊敬と期待がある。


だから自然と彼のまわりに残るのはそれを許せる器の広い人か、

自分のこだわりに一生懸命過ぎる変人か、ということになるのかも。


勝手に分析すんな、って言われそうだけど。。。








つながってない読書 「人生の終いじたく」 中村メイコ

2018-07-16 16:30:21 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


タイトルだけ見ると、これはいろいろ勉強させて頂こう、と身構えるが

読み終えると、あれ?こんなタイトルだっけ?と二度見してしまう、そんな本。

著者、中村メイコの人柄が全面に出ているからだろう。



☆老化は体が死にじたくを始めている

こういう考え方好きだ。病院で延命治療されそうになったらぜひ思い出して訴えたい。

「体は死のうとしてるんで邪魔しないで!」



☆お姑さんと実母のエピソード

メイコさんが子育てなどで大変な時期に実母に助けを求めて断られたときのこと。

同居のお姑さんが手伝わないのは、手も口も出さないほうが良いと心得ているから。

そこへのこのこ出ていけないと、厳しく断る母親。

だけど、実は心配でオロオロしている母親。

すごいなあ。のこのこ出てっちゃうだろう。ふつう。

子供が成人した後の対応が、親としての成熟度を上げるのかもしれない。



☆「おまけがない」

神様が美人というおまけをつけてくれなかった、ということを忘れてはならない。

家事ぐらいニコニコしてやらなくてはだめ、とさとした母親。

どっきりした。



☆「こわいものに蓋」

何もかも真正面から見据えることはこわい。

こわいものに蓋をしながら、というのは、私の好きな「だましだまし」に似ている。







つながり読書 121 「ピアニストだって冒険する」 中村紘子

2018-07-14 19:36:31 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



ここに出てくるたくさんの音楽界の著名人を私はよく知らない。

ので、そういう方面での知識があればもう少し違う楽しみが味わえたのかもしれない。

でも中村紘子さんの視点はとても鮮やかで今までどんなことに心を動かされたのか興味深い。


ある演奏家の素晴らしさを「細い平均台の上を走って行くような際どさがある」と表現されるのを

読んで、音楽をこういう感覚で捉えられる可能性があることを知った。


才能があっても、運に恵まれなかったり、体が追いつかなくなったり、師に評価されなかったり、

こともあろうか母親がその才能をつぶしたり・・・演奏家が活躍し続けること自体が、ツナワタリのような

ものなのだと感じた。