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やむやむやみー

やみーのやむやむな毎日

つながり読書  135「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾

2019-01-22 17:18:37 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



書店から雑貨店へ。店つながり。

東野圭吾の「容疑者Xの献身」が大好きなので

それをイメージして読み始めると「あれ?」と戸惑う。

なんとなくタイトルから想像していたけど「奇蹟」って

言われたら、なんでもありじゃない、そんな偶然ないし、と

結局物語にのめり込めない予感がしていた。が。。。


いい。

とてもいい。

これを「奇蹟」と呼ぶなら

「奇蹟」ってステキだと思ってしまう。


一人の人間の感情にじっくり沿うタイプの小説が好きだけど

構成上、この作品の登場人物は多い。

だけど、

この一本の糸でつながる物語の芯にあるのは

雑貨店を営む、浪矢さんという人間の誠実さ、生き方、

なんだなあということを、あたたかなエンディングとともに味わえた。

つながり読書  134「セーヌ川の書店主」 ニーナ・ゲオルゲ

2019-01-14 17:45:45 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



「川」シリーズと呼ぶには最高の作品だった。

タイトル通り、セーヌ川に浮かぶ船の書店主ジョンが主人公。

いなくなった恋人を忘れられない未練の人、ジョン。

結婚相手リュックとジョン、二人の男性を同時に愛して亡くなった、マノン。

マノンは一人の男性じゃ満足しない、と抱擁力ありありの、リュック。


はっきり言ってこの3人より、脇役たちのほうが魅力的。

特に気に入ったのはジョンの両親。

もはや同士であり、親友のような二人はある意味夫婦を超えた関係に見える。


そしてこの作品ならでは、「読書」についての一文が印象深い。

「長い、まさに永遠の旅で、その途上、人はだんだん穏やかになり、

 愛情深くなり、他人にやさしくなっていく。」



つながってない読書 「目の見えない人は世界をどうみているのか」

2019-01-03 13:06:39 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


伊藤亜紗著

タイトルを見てまず思ったのは

視覚障害者を理解するための本だな、ということ。

読後、思い返せば

その思いの底にあったのは

視聴覚障害者を理解、してあげる、ための本だな、という気持ち。

みんなができることをできないのはかわいそう、だから。。。

言ってみれば、そういう思い込みを覆してくれる本だ。



障害があることは、足が欠けたイスではなく、3本足で成立しているイスだ、という

冒頭の文章に衝撃を受けた。

目が見える人のための社会なのだから、目が見えない人が不便なのは当たり前。

でもそういう視点を離れて視覚を使わない世界を想像するおもしろさ。

パラリンピックを見る目が変わりそうな気がする。


見える世界の笑いの説明を求めるのではなく、その場の雰囲気を一緒に楽しむ、

というような視覚障害者の話があった。

これは英語がほとんど分からない私には身近な話だった。

映像で一生懸命英語で語り、笑い合う人を見るとき、

たとえ細かい内容が分からなくても、なんか分かるような気がして楽しいのだ。



老年になれば、足が言うことをきかなくなったり、耳がとおくなったり、目も悪くなる。

つまり障害者である、と書いてあったのにも、ハッとした。

私もいずれ障害者になるのだ。

















つながり読書  133 「線路と川と母のまじわるところ」 小野正嗣

2018-12-28 17:13:40 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


またまたタイトル、川つながり。

すごい。

全然分からない。

抽象的な絵画のよう。

こういう作品は「分かる」んじゃなくて、「感じる」でいいのかな。

盛り込まれた3つの話は、空港・マッサージ・フランス、がキーワード。

どの話も異国の人間同士のコミュニケーションが描かれていると同時に、

他者を理解すること、というようなテーマが漂っているような気がする。

つながり読書  132 「蛇行する川のほとり」 恩田陸

2018-12-14 19:16:05 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


川つながりのタイトル。

「有頂天になっていると、見ていた誰かに突き落とされる。

 素晴らしいことに胸を躍らせていると、必ず誰かが『そんなつまらないもの』と囁く。

 そうして背伸びをしてはうずくまり、手を伸ばしては引っ込めて、

 少しずつ何かをあきらめ、何かがちょっとずつ冷え固まってゆき、

 私は大人という生き物に変わっていく。」


この表現は大人になって振り返れば、ああそうだった、と実感できる。

その手前にいる世代、女性に限定すれば「少女」。

「少女」の世界を存分に楽しめる作品であると思う。


ミステリーandホラーの要素も盛り込まれているものの

こちらを視点にすると、ハテナがいっぱい。



香澄の母親が自分が死ぬためにああいう方法をとらなくてはならなかった理由は何か?

一番気になるこの点について書かれてないのが不満。



視点が真魚子にうつった後、月彦に恋心を抱くような展開が出てきたあたりから

なんか軸がぶれてきたように感じた。









つながり読書  131 「流れる」 幸田文

2018-12-03 01:16:10 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


川つながりのように思えるタイトルで選んだものの、内容は川とは無関係。

「流れる」の捉え方はそれぞれだと思うが、自分ではどうにもできない流れの中で

人と人がぶつかり合いながら生きてる様を描きたかったのかな、と私は思う。

もう少し突っ込めば、そのぶつかり合いが玄人と素人の世界でどんなに違うものか、

という視点を持っている。



こういうのをウィットに富んだ文章というのだろうか。

推測を重ねたのちにフッと笑えたりして、読みごたえあり。


芸姑の世界を鋭く見つめる家政婦、梨花が主人公。


彼女の素性は明らかにされていないが、

私は家政婦以前にこんな女性、あまり仲良くなりたくない。

玄人でもなけりゃ、普通の奥さんでもない、と

物語中で梨花が値踏みされてる場面があるが、それは彼女の持つ

賢さ、冷やっとするようなところがそう思わせるのだと妙に納得。


再読したらまた新しい発見ができそうな気がする。









つながり読書  130「川の光」 松浦寿輝

2018-11-17 23:18:38 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


没頭できない冒険ものほど、しらけた気分になるものはない。

生きていること自体が奇跡、と語られているにも関わらず、

ラッキーがつきまとうのはネズミの家族とその仲間だけ。

敵のドブネズミなんか、最後「車にひかれた」の一行で終わりなのに!


ネズミ家族が苦難を乗り越えて冒険が少し間のびすると、予想通りのトラブルandラッキーが待っている。


そんなナナメな視線は歳のせいか?

でも、子供が読むにしたって

ほーらこれが冒険ものだよー、という

分かりやすさがなくても楽しめると思うんだけどな。

つながり読書 129 「忍ぶ川」 三浦哲郎

2018-11-03 22:00:37 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
前回、野田知佑といえば川!ということで川つながり。

1960年芥川賞受賞作品。

古いなあ、というイメージをくつがえす

文章の読みやすさにびっくり。

頭の中で映像化しやすく気持ち良い。

川つながりのつもりだったが、「忍ぶ川」は登場人物志乃の勤め先の料理屋の名前。



どうにもならない血筋というものに翻弄される主人公。

自分の遺伝子を残さない気持ちがありながら

女の生理にうとい、などと甘いことを言って結局妊娠させてしまう

ところが腹立たしくもあり、人間くささを感じる。




つながり読書 128 「ともに彷徨いてあり」 野田知佑

2018-09-13 10:14:42 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!



椎名誠から野田知佑という濃いつながり。


野田知佑といえばカヌーそしてガク。


でもあの有名なCMぐらいのイメージしかなかったので、この本を読んでびっくり。


ガクは野田さんのペットではない。


相棒だ。


自分で考えて判断する自由を与えられた犬だ。



自分で考えてクマと闘い、ヤマアラシと闘い、人間と付き合い、濁流の中でも生き残る。



老犬になったガクが、いつもは転覆したカヌーを離れて岸に泳いでいくのに

野田さんと一緒に流されるようになった、というエピソードが好きだ。

流される二人の視線が合う瞬間、過ごしてきた長い時間がそこに存在するのだと思う。

つながり読書 127 「インドでわしも考えた」 椎名誠

2018-09-02 09:02:57 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!


インドつながり。

インドを語るならこうあるべき、という感覚がある人が読んだら怒るかもしれない。

幸い、私にそういった感覚はなく、とても楽しい読書タイムが過ごせた。

なにより椎名誠という人が自分の心が何に動いたか、ということに対しての正直さが

この本の魅力だと思う。


「そんなこと言っていいのぉ?」というようなこともしばしば。




「美しいのはなんだかどうも本当は退屈である」


絶景というような部類のものを長く観察できない気持ち、すごくよく分かる。

そういうとき、心が動かない自分を責めたくなる。

でもタージ・マハルに感動せず、そこらを歩く野良牛に感動したって別におかしくない。

「感動」するときは、きっと自分の内部に呼応する何かがあるときだ。