古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第九章 将軍家茂公の串本上陸・その二十八

2012年01月11日 10時03分15秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

このページからは、今までのとは別の人が書いています。字体が変わりました。こちらの方が読みやすいと思います。

家茂公第十一ページ(上の写真の一行目~二行目)

解読    去亥二月当子正月迄之内

      御上洛御用等ニ而大嶋串本両浦初弐拾八ヶ浦

読み方   去る亥『い』二月、当子『ね』正月迄の内

      御上洛御用等にて、大嶋・串本両浦始め二十八ヶ浦

解説  「亥」年は「子」年の前年になります。去年の二月から今年の正月まで。 「迄」は異体字で、占にしんねょうですが、この文では崩し過ぎで読めません。形で覚える字です。 「御用ホニ而」・・・「ホ」はここではカタカナの「ホ」の字を使っていますが、「等」の崩し字です。「ニ」の次は「而」で「て」と読みます。 「両浦」の「両」が難しい崩し方です。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その二十七

2012年01月10日 09時13分22秒 | 古文書の初歩

 

家茂公第十ページ(上の写真の署名欄と宛名欄)

解読            橋爪 周輔

       子正月廿五日

         村上助右衛門様

         松嶋杢之助様

読み方           橋爪 しゅうすけ

       ね正月二十五日

         村上すけえもん様

         松嶋もく之助様

解説   「橋爪周輔」は古座組大庄屋です。 「子」・・・十二支の一つ「ね」。「子」はネズミ。十二支は、『子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥』すなわち、ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い、と読みます。現代と違って、時代のテンポがゆっくりしていますから、十二年に一度まわって来る十二支だけでも、年は分かったのです。更に精度を高めるには、『甲乙丙丁戊己庚辛壬癸』の十干と十二支を組み合わせて、六十年に一度まわって来る年の表し方、たとえば甲子・辛亥・戊申などの表示も使われます。本文の場合は『甲子』と表示する方がより正確になります。文久四年=改元して元治元年、一八六四年の事でした。 「村上助右衛門」と「松嶋杢之助」は何れも周参見代官所の代官の名前です。

 


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その二十六

2012年01月09日 09時21分07秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第十ページ上の写真の一行目二行目

解読    被成遣被下候様仕度、奉存候。依之

      御入用仕出別帳相添書付差上申候。以上。

読み方  『お取り扱い』成し遣わされ下され候様仕りたく、存じ奉り候。之に依って

     御入用仕出し別帳相添え、書き付け差し上げ申し候。以上。

解説  「被成遣」・・・「遣」は読むのは困難ですが、派遣の遣で「つかわす」。成し遣わされ。 「被下候様」・・・下され候よう。 次の「仕度」も読みにくいですが、「仕りたく」。 次の「奉存候」も読めませんが、「存じ奉り候」で、『く』のような字が「候」です。 「依之」・・・之に依って」。最後の縦棒は「之」です。 次行始めに「御入用」と小さく挿入が有ります。 「仕出別帳」・・・新たに作った別の帳簿。 「相添」・・・この「相」は難しいですが、文意で「相添え」となります。 以下は分かるでしょう。

       


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その二十五

2012年01月08日 11時04分44秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第九ページ(上の写真の五行目~六行目)

解読    前段御入用向被相尋候而者、何共答振り

      相難し申候間、右御堅察之上宜御取扱

読み方  前段ご入用向き、相尋ねられ候てはなんとも答えぶり

     相難し申し候あいだ、右御賢察の上宜しく御取り扱い

解説  「前段」・・・前に述べた、この直前に申し上げた。 「御入用向」・・・必要な金額。 「被相尋」・・・相尋ねられ。 「候而者」・・・そうろうては。難しいですが、形で覚えるしか有りません。 「何共」・・・なんとも。 「答振り」・・・答えぶり。「答」もこういう形です。 「相難し」・・・相難じ。相むつかし。 「申候間」・・・「間」はこのような形になります。 「御堅察」・・・「堅」は当て字で「御賢察」と同じです。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その二十四

2012年01月07日 09時15分59秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第九ページ(上の写真の三行目~四行目)

解読    何分速ニ相済候様仕度、奉存候。若何時

      還御被為在又々御一泊ニも相成り

読み方  何分速やかに相済み候様仕りたく、もし何時

      還御『かんぎょ』在らせられ、又々御一泊にも相成り

解説  読みにくいですが、解読文と照らし合わせて読んでいけば、大体見当は付くと思います。最後「若」は「もし」と読みます。前にも出ました。その次は「何時」・・・いつ。 「還御」・・・「還」は帰ると同じ。「還幸」・・・「天子がお帰りになること」と同じと辞典に載っています。 「被為在」・・・在らせられ。 「御一泊」・・・「泊」は崩し字辞典ではこのように書いてないのですが、他に思い当たりません。