古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第九章 将軍家茂公の串本上陸・その十八

2011年12月31日 10時00分22秒 | 古文書の初歩

 

家茂公第七ページ(上の写真の四行目~五行目)

解読    右者

      公方様大嶋浦江 御上陸蓮生寺ニ而

読み方   右は

      くぼう様、大嶋浦へ御上陸、蓮生寺にて

解説  大きな字は「右」で次は「者」・・・変体仮名の「は」です。 次ぎの「公方様」を一番上へ置くために、「右は」の下はすべて欠字になっています。 「公方様」・・・室町時代以降、「征夷大将軍」の事を「公方」(くぼう)と言います。 

串本の無量寺へ泊まるのに、大嶋浦へ船が停泊したのは、大嶋側の方が水深が深かったためと思われます。串本側は遠浅の濱で、軍艦が停泊するには浅かったようです。 「蓮生寺」・・・「れんしょうじ」臨済宗東福寺派の串本町大島の寺。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その十七

2011年12月30日 09時26分51秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 家茂公第七ページ(上の写真の表題と一つ書き部)

解読        口上書付

        一 銀三拾四貫六百弐拾壱匁壱分

          米 拾四石三斗

読み方  こうじょう書き付け

      一つ 銀三十四貫六百二十一もんめ一ぶ

         米 十四石三斗

解説 「口上書付」・・・言葉で言う内容を文章にしたもの。 「一」・・・「ひとつ」と読む。一つ書きと言います。 「銀」・・・江戸時代の貨幣の一つ。 「三拾四貫」・・・「貫」が読みにくいです。 「弐拾壱匁」・・・「匁」もちょっと読めません。 「二行目最初は「米」で、その下の字は消しているようです。 「拾四石三斗」・・・「斗」も難しい。 銀六十匁は銭四貫文で金一両になります。銀三十四貫はちょっと多いように思いますが、一応宿題にしておきます。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その十六

2011年12月29日 09時58分10秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 家茂公第六ページ(上の写真の三ページ以下)

解読    被成遣様宜御取扱被下度奉願上候。以上。  橋爪周輔

       村上助右衛門様  松嶋杢之助様

読み方  成し遣わされる様、宜しくお取り扱い下され度く、願い上げ奉り候。以上。

       橋爪 しゅうすけ・   村上助え門様・松嶋もくの助様・

解説  「被成遣様」・・・成し遣わされる様。普通「遣」の次ぎに「候」が来る筈で、その場合は、「成し遣わされ候様」と読むのですが、ここでは「候」が抜けています。 「宜御取扱」・・・宜しくお取り扱い。 その右に小さく「被下度」と追記されています。「下され度く」。 「奉願上候」・・・願い上げ奉り候。ここでは「候」がはっきり入っています。「上」の下の「ル」の様な字です。 「以上」・・・この以上はまともな書き方です。 「橋爪周輔」は古座組大庄屋で、村上助右衛門と松嶋杢之助は周参見の代官(和歌山藩の役人)です。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その十五

2011年12月28日 09時29分41秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 家茂公第六ページ(上の写真の一行目~二行目) 読みにくい文章が続きます。

解読    献上ニ仕度との願意神妙之至りニ奉存候付、

      御許容之上可相成御儀ニ御座候ハゝ、何兎角御賞

読み方   献上に仕りたくとの願意神妙の至りに存じ奉り候に付き

      御許容の上相成るべきおん儀に御座そうらわば、何とかお賞め

解説  「献上に仕りたくとの願意」・・・将軍へ献上仕りたしとの願いの気持ち。 「神妙」・・・殊勝・けなげ・立派な事。 「至りニ」・・・この上なく立派な事の表現。 「至」に送り仮名「りニ」が付いています。 二行目の上部は全く読めませんが、先生は「御許容之上」と読んでいます。 「可相成御儀」・・・相成るべきおん儀」。 その次は、二行になっています。「御座候ハゝ」・・・ござそうらわば。 「何兎角」・・・当て字で「何とか」。 「御賞」・・・お誉め。   


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その十四

2011年12月27日 09時12分01秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 家茂公第五ページ(上の写真の五行目のみ) 今日は一行のみとします。

解読    右之通御買上ケニ可相成御儀ニ候ハゝ

読み方   右の通り、御買い上げに相成るべき御儀にそうらわば、

解説   「御買上ケ」の次の字は読めませんが、「御買上ニ」と読んでおきます。 次は「可相成」・・・相成るべき。 「御儀ニ」・・・おん儀に。 「候ハゝ」・・・そうらわば。慣用句です。