古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十二章 乍恐奉願口上・その四十一申上

2012年09月30日 07時38分14秒 | 古文書の初歩

 

乍恐奉願口上第十ページ、上の画像の一行目二行目

 

解読 申上候段御尋之趣奉畏候

     右者去ル巳二月鶴七下も辺へ商内ニ罷越候而

読み  申し上げ候段、お尋ねの趣かしこみ奉り候。

     右は去る巳二月、鶴七しもべへ商いに罷り越し候て

 

解説 「申上候段」・・・ここの「申」は「P」、次ぎも分かりにくいですが、「上」、その下の点は「候」で、「段」と続きます。「御願い申し上げました件」。 「御尋」は分かります。 次の縦棒は「之」。 そして崩しすぎですが、「趣」。お尋ねの趣旨。 「奉畏候」・・・下から返って「かしこみ奉り候」。 二行目「右者」・・・右は。右の件は。 「去る巳二月」・・・この場合去年(明治二年の二月)。 「鶴」と言う字は、本文では雨冠となっています。 「下毛辺へ」・・・「毛」は変体仮名で「も」。田辺から上み辺は和歌山・大阪方面で、下も辺は串本・新宮方面のこと。 「商内」・・・商い。次ぎに小さく「ニ」が有ります。 「罷越」・・・罷りは接頭語。丁寧な言い方です。 次ぎに「候而」・・・「候」は「レ」の様な形で、「而」は前ページの最後に出た形と同じです。


第十二章 乍恐奉願口上・その四十上牟

2012年09月29日 06時28分06秒 | 古文書の初歩

乍恐奉願口上第九ページ、上の写真の後半部分

解読 二印       口上

    上牟婁郡橋杭浦湊義平と申者、堅田屋

    鶴七と干鰯商内仕残銀有之由ニ而御願

読み  二印     口上『こうじょう』

    上牟婁郡橋杭浦湊義平と申す者、堅田屋

    鶴七と干鰯商い仕り、残銀これ有る由にて御願い

 

解説 「二印」・・・今までに習った古文書では、「一印」「二印」と記名の下に捺印する印の数によって、その文書の重要度・緊急度を意味する性格のものでしたが、ここではそれとは異なる使い方の様です。 「上牟婁郡」・・・明治初年は地方の郡名を初め地名の呼称は時々変遷しています。「上牟婁郡は江戸時代の呼び方と言えます。 「湊義平」となっていますが、最初は「濱屋義平」と書いていましたので、この場合は屋号ではなく、「橋杭浦の湊」と言う意味かも知れません。 「申」は「十」の様な書き方です。 「堅田屋鶴七」・・・「鶴」は「雨冠で書いていますが、私のパソコンのソフトではその文字が出ないので普通の「鶴」を使用しています。 「商内」・・・あきない。内は当て字。 「残銀」・・・「残」は覚えにくい崩し字です。「銀」は一般的な「お金」の意味。精算の済んでいないお金。 「有之」・・・これ有り。 「由」・・・簡単な文字ですが、慣れるまでは読みにくい。 「ニ而」・・・にて。「由」の右下の小さい字が「ニ」で、続けて「乙」の様な字が「而」です。 次は「御願」で、この辺は特に難しい。


第十二章 乍恐奉願口上・その三十九此段

2012年09月28日 05時40分31秒 | 古文書の初歩

乍恐奉願口上第九ページ、上の画像の一行目から宛名まで

解読   此段宜御賢察被為成遣候様偏奉願上候。以上。

         庚午九月   尾崎屋 幸吉 印

         下長町町吏   山本傳吉殿

読み   この段宜しく御賢察成し遣わせられ候様、偏に願い上げ奉り候。以上

         かのえうま九月   尾崎屋 幸吉  印

         下長町 町吏 山本 傳吉 殿

解説 「此段」・・・「竹」の様に見える字は「此」。次の「段」も難しいですが、慣用句として覚えて下さい。 「宜」・・・これも変わった崩し方です。 「御賢察」は何となく解りますね。 「被為成遣候様」・・・「被」は受け身を表す意味で「○○られ」と読みます。「為」は助動詞で○○させると言う意味になります。ここでは「成し遣わせられ候様」と読みます。慣用句として覚えましょう。 次は「偏」・・・ひとえに。 「奉」も崩しすぎです。「願上」の下の「レ」が「候」です。 最後の「乙」は「以上」の略。 「庚午」・・・かのえうま」ここでは維新後の明治三年のこと。 「尾崎屋 幸吉」とは、売り主義平さんと買い主堅田屋鶴七さんの間に入って代金支払いに関するトラブルを調整した人物です。他に富田屋廣七さんと言う商人も登場するので、合計四人がからみ、益々ややこしい解りにくい内容になっています。 「下長町 町吏」・・・担当役所の係り官。以前の代官所の様な役所でしょうか。明治初期は、維新の混乱から、役所制度もコロコロ変わっています。「下長町」は田辺藩の町名と推定します。 「山本傳吉」の次は「殿」・・・超難解。


第十二章 乍恐奉願口上・その三十八其後

2012年09月27日 06時51分22秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願口上第八ページ、上の画像の最終行。今日は一行だけ。

 

解読 其後いケ様之勘定振ニ相成候哉、存不申候。

 

読み 其の後、いか様の勘定振りに相成り候や存じ申さず候。

 

解説 「其後」・・・いくら考えても難しい字です。 「いケ様之」・・・「いか様の」。どの様な。 「ケ」は「一ヶ所」などの時に「ケ」を「カ」と読む使い方です。 「様」も難しいですが、何度も出ました。 「勘定振」・・・勘定の仕方。 「相成」の次は「哉」。この崩し方は難解ですが、前に出ました。疑問を表す問いかけです。 「存不申」・・・「存じ申さず」と読みます。 「ト」は「申」。 この学習も、お陰さまにて本日で五百回を超えました。閲覧して下さる皆様が有っての事です。感謝。


第十二章 乍恐奉願口上・その三十七右六

2012年09月26日 07時16分22秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

乍恐奉願口上第八ページ、上の画像の九行目十行目

 

解読 右六拾両義平方へ勘定之儀者、別紙ニ相認

    奉差上候。元来私共使之儀ニ御座候得者

読み 右六十両義平方へ勘定の儀は、別紙に相認め『したため』

    差し上げ奉り候。元来私ども使いの儀に御座そうらえば、

 

解説 初めは「右」です。 「六拾両」も解りにくいですが、よく見ると見えて来ます。 「「義平方へ」・・・「平」に特徴があります。 「儀」も何度も出ますが、読めない字です。 「別紙ニ」・・・「別」は兎も角、「紙」は難解。「紙」の次の点は「ニ」と読んでおきます。 「相認め」・・・「みとめ」ではなく、『したため』と読みます。文字を書くこと。 「奉差上候」・・・「差」が難しい。「候」もこの形は少ないです。 次ぎに「三木」と見えるのは、「元来」です。 「使之儀」の次ぎの斜めの棒は「へ」に見えますが、意味が通らないので、「ニ」と読んで置きます。 最後は「御座そうらえば」。「者」は変体仮名の「は」です。