古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四十三章 苫草紛争の二 其の三十六

2015年07月31日 06時04分32秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第十三頁、上の一~二行目

 

解読 等被為成下候へ共、村平免高免ニ

    罷成百姓共内力弱ク苫切木

 

読み 等成し下せられ候へ共、村平に免高免に

    罷り成り、百姓ども内力弱く、苫・切り木

 

解説 「(御用捨)等」・・・ご容赦など。最初の文字は下部が不可解ですが、串本町史に倣い、「ホ」の「等」と読んで置きます。 「被為成下」・・・定型句で、下から返って「成し下せられ」。「為」が難解。 「下」の右下の「点」が「候」で、「候えども」と続きます。 「村平」・・・村たいらに。村が平和か。この意味がよく解りません。 「免」・・・年貢を賦課する割合。税率。 「高免」・・・年貢の率が高いこと。 ここの意味が全体によく理解出来ません。宿題。 「罷成」・・・罷り成り。「成る」の丁寧語。税率が高く成ったと言う事か。「平」と「高」の字は形で覚える字。 「内力弱ク」・・・これもよく解りません。体力が弱いと言う意味か。 ここはお手上げです。

 

第四十三章 苫草紛争の二 其の三十五

2015年07月30日 06時15分53秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第十二頁、上の六~七行目

 

解読 より外諸稼も無御座、其上猪

    鹿荒村迷高等も多、尤、御用捨

 

読み (苫・切木)より外諸稼ぎもござ無く、その上猪・

    鹿荒らし、村迷高なども多く、尤もご容赦

 

解説 「より外」・・・『よりほか』。「より」は範囲の限定を現す助詞。苫・切り木以外は。「より」は合成語です。「外」の崩しに注意する。 「諸稼も」・・・色々な稼ぎ仕事も。 「無御座」・・・御座無く。 「其上」・・・「其」も形で覚える字。 「猪」・・・ケモノヘンに「者」です。上の「「諸」・・・「ゴンベンに者」と比べて見て下さい。 次の「鹿」は何となく形が分かります。 「荒」・・・これも読むのは困難。『あらし』と読む。意味は「猪」や「鹿」に農作物や若木を傷められる事。 「村迷高」・・・この意味は正確には解りませんが、「村が迷惑して受ける損害額」と解釈して置きます。「迷」の読みは町史に倣いました。 「高」の下は「「ホ」で「等」 「も多」・・・も多く。「多」の崩しも形で覚える。 次は「尤」・・・もっとも。これも読むのは難しい。 「御用捨」・・・善悪などの判断を下すこと。

    


第四十三章 苫草紛争の二 其の三十四

2015年07月29日 05時30分01秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第十二頁、上の四~五行目

 

解読 一、当村之儀ハ作一偏之村ニて御座候

    所、近年打續不作逢、苫切木

 

読み 一つ、当村の儀は作一遍の村にて御座候

    ところ、近年打ち続く不作逢い、苫切り木

 

解説 「一」・・・一つ。 「当村之儀ハ」・・・当村の事につきましては。 「作一遍之村」・・・農作物を産出するだけの村。「作」・・・米や、麦・野菜等の農作物を作ること。つまり、商売人や職人等の他の職業は無い村。 「村」の次はよく分かりませんが、一応「にて」と読んで置きます。 次は「御座候所」。「所」は形で覚える字。 「近年」・・・これも形で覚える字。 「打續」・・・「續」は旧字体です。 次も読みにくい。「不作逢」・・・「作」は前行にも出ました。「不作ニ逢い」と「ニ」が入れば読みやすいのですが、「ニ」は見えません。「逢」は読めませんが、串本町史に依りました。 「苫・切木」・・・苫草や切った木。農作物以外の山野の収穫物。 


第四十三章 苫草紛争の二 其の三十三

2015年07月28日 05時16分53秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第十二頁、上の一~三行目

用紙の継ぎ目で、文字が不鮮明になっています。

 

解読 参、田并浦ニ分一等多取申候へ共、領分相分

    御座候ニ附き、上村へ少も取不申下村計ニ

    支配仕申候御事。

 

読み (寄せ)参り、田並浦に分一など多く取り申し候えども、領分相分け

    御座候に附き、上村へ少しも取り申さず、下村ばかりに

    支配仕り申し候おん事。

 

解説 最初は「参」です。(難破船が漂着して寄せて)参り。 「田并浦ニ」・・・田並浦に。 「分一」・・・分け前。報酬。『ぶいち』。積荷や船体などの評価額の何分の一かを報酬とする慣習が有りました。「分一」の次の字ははっきりしませんが、一応「ホ」・・・「等」と読みました。 右に添え書きしている字は「多」・・・多く。 「取申候へ共」・・・難破船の分配金をたくさん取ったが。 「領分相分御座候ニ附」・・・領分を分けたので。「分」が続けて出ましたが、形で覚える。この辺は左側が隠れています。 「上村へ少も」・・・「少」もちょっと読みにくい。よく見ていたら、「少」に見えて来ます。 「取不申」・・・取り申さず。文章としては、「取らせ申さず」の方が本当だと思います。 「下村計ニ」・・・下村ばかりに。「計」は読むのは困難。ヒラカナの「け」と書いている様です。 三行目は、「支配仕申候御事」・・・支配してきたと言う事実。「申し」の「し」の所は「候」になります。ここも「下村計が」と書く方が文章としては正しい。


第四十三章 苫草紛争の二 其の三十二

2015年07月27日 06時32分20秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第十一頁、上の五~六行目

 

解読 (御)了簡被為成下候様ニ奉願候御事。

    一、拾弐年已前田野崎へ難渋舟寄セ

 

読み (御)了簡成し下せられ候様に願い奉り候おん事。

    一つ、十二年以前、田野崎へ難渋舟寄せ

 

解説   「御了簡」・・・お取り計らい。処置。御考え。 次は読めませんが、「被為成下候様ニ」・・・成し下せられ候様に。お取り計らいをして下さいます様に。「様」も難解です。定型文として覚えて下さい。 「奉願候御事」・・・願い上げ奉ります。「願」の次の点が「候」です。 「一」の次の「拾弐年已前」も読むのは困難です。「已前」は「以前」と同じです。「已」・「巳」・「己」の違いを確認する。 「田野崎」・・・ここの「野」は今までの書き方と違って「野」に見えます。田並浦の小さな岬の名。 「難渋舟」・・・難破船のこと。「舟」も難解。 「寄セ」・・・流れ寄る事。