古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十九章 山火事に付き願口上控 その二十四

2013年10月31日 07時28分09秒 | 古文書の初歩

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第八頁、上の七、八、九行目

 

解読 頼遣し、津呂地近邊 之者ハ不残在蔵江

    かけ付防方取計ハせ

 

読み (呉れ候様に)頼み遣わし、津呂地近辺の者は残らず在蔵へ

    かけつけ防ぎ方取り計らわせ

 

解説 難しい最初の字は「頼」です。次の「遣し」は五行目に出た字と同じ。「頼遣し」・・・「頼む」の丁寧語。困っているので助けて欲しいと頼み込む。 「津呂地」・・・『つろじ』上村の地区名。田並浦に近いところ。 「近邊之者」・・・近辺、『きんぺん』。近くの者。 「不残」・・・よく出る言葉です。「残らず」。 次の字は、町史では「在蔵」と解読していますが、意味が分かりません。「在蔵へ」ですから、地名かとも思われます。人名かも。他の読み方が有れば、教えて下さい。 九行目は解りやすい。最後は「取計はせ」・・・『とりはからわせ』。防火がうまく行く様に取り扱いさせる。


第十九章 山火事に付き願口上控 その二十三

2013年10月30日 07時21分31秒 | 古文書の初歩

 

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第八頁、上の四、五、六行目

 

解読 直ク様田并浦江も過急ニ 人足差遣し当村江

    火之防キニ参り呉候様ニ

 

読み 直ぐ様田並浦へも過急に 人足差し遣わし当村へ

    火の防ぎに参り呉れ候様に

 

解説 「直ク様」・・・すぐさま。直ちに。直ぐに。 「田并浦」・・・「并」は「並」の旧字体です。江戸時代は、海沿いの地域が「田並浦」で、北の山側が「田並上村」で、二つの村でした。明治二十二年に合併して「田並村」となりました。 「過急ニ」・・・『かきゅうに』。大急ぎで。熟語としては「火急」が正しい。 「人足差遣し」・・・使いの者を差し向けて。 「当村江」・・・当田並上村へ。 「火の防キニ」・・・『火の防ぎに』。防火の為に。 「参り呉候様ニ」・・・来てくれる様に。「呉」の次に小さく「候」が有ります。「様」の崩し方は、「故」とか「処」などよく似た形になります。


第十九章 山火事に付き願口上控 その二十二

2013年10月29日 07時46分59秒 | 古文書の初歩

 

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第八頁、上の一、二、三行目

 

解読 ニて当村江吹散し 候。炎者星之ことく

    ニて在中大イニ打驚キ

 

読み にて、当村へ吹き散らし 候。炎は星のごとく

    にて、在中大いに打ち驚き

 

解説 「吹散し」・・・『ふきちらし』。「散し」が難しい。 二行目の最初は「候」。 次は「炎者」・・・炎は。 「星」に続く平仮名も難しいですが、「之ことく」・・・星の如く。 「在中」・・・『ざいちゅう』、村じゅう。 「大イに」・・・大いに。甚だ。大変。 「打ち驚キ」・・・ここは「相驚き」かも知れません。「打」の方が文意が通る様に思います。「驚」という字は自信が有りませんが、町史に倣いました。    


第十九章 山火事に付き願口上控 その二十一

2013年10月28日 05時57分20秒 | 古文書の初歩

 

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第七頁、上の七、八、九行目

 

解読 八日之夜有田上村領 三好谷より出火有之

    折節其夜者大東風

読み 八日の夜、有田上村領、三好谷より出火これ有り、

    おりふし其の夜は大東風 

解説 「八日」・・・「日」は簡単な字ですが、読むのは困難です。 「有田上村領」・・・「有」も「田」も難しいですが、もう慣れた事でしょう。「領」も形で覚える。 「出火有之」・・・出火これ有り。 九行目最初は「折節」です。『おりふし』、ここの意味は、「偶々『たまたま』。ちょうど其の時。 「其夜者」・・・其の夜は。「其」も「者」も何度も出ますからもうお分かりでしょう。今日は比較的簡単でした。


第十九章 山火事に付き願口上控 その二十

2013年10月27日 07時21分29秒 | 古文書の初歩

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第七頁、上の四、五、六行目

 

解読 不申段返答ニおよび 候処其侭次左衛門被罷帰

    申候。然処又候当月

 

読み 申さざる段返答に及び 候処、其の侭次左衛門罷り帰られ

    申し候。然る処、またぞろ当月

 

解説 「不申」・・・申さざる。下の言葉へ続く時は「申さず」ではなく「申さざる」と読みます。 「段」・・・事の次第。事情。 「返答」・・・難しい。「答」という字はこの様に縦長になります。 五行目最初は「候処」。次は「其の侭」。「儘」は旧字体。 次は人名で「次左衛門」、二回目です。「次」の崩しに注意。 「被罷帰」・・・罷り帰られ。ここも難解です。形で覚えるのみ。「帰」の崩しにも注意。 六行目最初は「申候」・・・申し候。 「然処」・・・『しかるところ』、意味は『ところが』。 「又候」・・・『またぞろ』と読みます。またもや。何度も続いてうんざりした時の言葉。当て字です。