古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十章 地震・津浪乃記・その一

2012年01月28日 11時02分51秒 | 古文書の初歩

 

 

今日から新しい講座に入ります。前回はあまりにも難しく、古文書の初歩というテーマにふさわしくなかったので、この度は古文書の中でも比較的読み易い文書を選びました。これは、和歌山県東牟婁郡串本町有田に於ける、安政の大地震の記録です。(一八五四年)

解読    安政改元甲寅同二乙卯年

       地震津浪乃記

              有田浦   庄屋許

読み方  安政改め元甲寅『きのえ・とら』、同二乙卯『きのと・う』年

       地震津浪の記

              有田浦   庄屋許『しょうやもと』

解説  紀州串本の有田浦に残る、安政の大地震の貴重な記録です。この文書は保存も良く、文字も楷書に近く読みやすいので、古文書のテキストにはピッタリだと思います。 「安政改元」・・・安政という年号に改めてからの元年。 「甲寅」・・・きのえとら。音読みでは、こういん。 「同二乙卯」・・・安政二年、きのとう。音読みでは、いつぼう。 「津浪」・・・ここではこの「津」という字がもっとも難しいです。今までたくさん難しい古文書を読んできた皆さんにとっては、たやすいかも知れません。 「乃」・・・この「の」は初めてでました。「之」と同じ使い方です。 「記」・・・記録。 「庄屋許」・・・庄屋の手許に残す文書。