古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十章 地震・津浪乃記・その六十四

2012年03月31日 07時45分07秒 | 古文書の初歩

 

 

 

地震津浪乃記第十六頁(上の写真の五行目六行目)

解読 水甚た少くなり地震後又水増る。雨ふり水増タル如し。地震

  前三日四日も前より山海時々大ニ鳴ル常の山太郎地鳴とハ

読み方 水甚だ少なくなり地震後又水増える。雨降り水増えたる如し。地震

 前三日四日も前より山海時々大いに鳴る。常の山太郎地鳴りとは

解説 (地震前に)川の水が少なくなり、地震の後又川の水が増えた。それは大雨が降って川水が増えた様であった。 「甚多」・・・「多」は変体仮名の「た」。濁点はつけていません。 「地震後」・・・「後」の崩しに注意。 「前」の字が続きますが、時により崩し方が大きく異なります。あとの「前より」が難しい。 「山海」の「海」も難解。 「山太郎」・・・山の愛称。擬人化した山の呼び方と思われます。 地震の際の地鳴りは、いつもの山の地鳴りとは異なり、大きい。


第十章 地震・津浪乃記・その六十三

2012年03月30日 06時56分10秒 | 古文書の初歩

 

 

 

地震津浪乃記第十六頁(上の写真の三行目四行目)

解読 も阿り。干潟と成りても浪の高く来らぬ事も有一定ならず

  江田ノ双嶋、古座ノ黒嶋なども嶋脚見ヱしト云。地震前ニ川に

読み方 も有り干潟と成りても浪の高く来たらぬ事も有り一定ならず

江田の双嶋古座の黒嶋なども嶋あし見えしと言う。地震前に川に

解説 湾内の海底が汐が引いて干潟の様になってから津浪が来る事も有り、干潟となっても津波が来ない事も有り、一定ではない。 「ならず」・・・「す」は「春」の変体仮名。 「江田の双嶋」・・・現在は隣の地区である「田子の双嶋」と呼ばれています。美しい並びの島。串本町田子地区。 「古座の黒嶋」・・・「九龍島」とも書きます。串本町古座地区。 「嶋脚」・・・島の海面から下の部分。島の支えとなる根の部分。 「前ニ川に」・・・同じ場所で「ニ」と書いたり、「尓」と書いたり自由気ままです。「尓」は変体仮名の「に」。


第十章 地震・津浪乃記・その六十二

2012年03月29日 08時39分49秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

地震津浪乃記第十六頁(上の写真の一行目二行目)

解読 と成る。海底見ヱし也。湊浦口迄海底川の如く溝に成り有

  浪来りて引汐に干潟と成るも有。干潟となりて後浪来る

読み方と成る。海底見えし也。湊浦口迄海底川の如く溝に成り有り

浪来たりて引き汐に干潟と成るも有り。干潟となりて後、浪来る

解説  「与成る」・・・「与」は変体仮名の「と」。 「海底」・・・「海」の崩しは形で覚える。 「也」・・・何度も出ました。 「湊、浦口迄」・・・湾内の入り口まで。 海底は川の様に溝に成った。 「成り有」・・・成っていた。 「浪来りて引汐に」・・・浪が寄せて来て帰りの引き汐で干潟と成るケースも有り。 「干潟となりて後」・・・先に干潟と成って後に浪が来るケースも有り。


第十章 地震・津浪乃記・その六十一

2012年03月28日 07時41分54秒 | 古文書の初歩

 

 

 

地震津浪乃記第十五ページ(上の写真の七行目八行目)

解読  連及して震ふ。土地によりて強弱あり。海中汀濱辺并

     川ホ吹出シ湧く。当地薬師の上ミ手ノ川ハ

     前日よりボロボロ多く吹。又浦口遥カ沖迄干潟

読み方 連及して震う。土地によりて強弱有り。海中汀浜辺並びに

     川など吹き出し湧く。当地薬師のかみ手の川は

     前日よりボロボロ多く吹く。又浦口遥か沖迄干潟

解説  「連及」・・・「連及」と言う熟語は有りませんが、関連して波及すると言う事でしょうか。 「震ふ」・・・旧仮名遣いです。「震う」『ふるう』、揺れる。  「海中」・・・「海」の崩しに注意。 「汀」には「ナギサ」とフリガナが付いています。 「并」・・・並びに。 「川など吹き出し湧く」の意味がよく分かりませんが、川の水が噴き出し、湧くように出ると言う事でしょう。 「薬師の上ミ手」・・・「カミ」と読む時は、「上ミ」と送り仮名が付きます。 「地震の前日より水が沢山吹き出していた。 「浦口」・・・湾内は遥か沖合まで、干潟のように海水が引いていた。


第十章 地震・津浪乃記・その六十

2012年03月27日 07時59分15秒 | 古文書の初歩

 

 

 

地震津浪乃記第十五ページ(上の写真の五行目六行目)

解読 猛烈にして力有ル事言語に述か゛たし。石垣築地ホのくづ

  るゝ事、ゆりて崩るゝにあらず。地中より烈気吹キ出すなり。

読み方 猛烈にして力有る事言語に延べがたし。石垣、築地等のくづ

  るる事、揺りて崩るるにあらず。地中より烈気吹き出すなり。

解説  「猛烈」・・・「烈」の足の部分が「火」になっています。 「尓」は変体仮名「に」。 「有る」・・・「有」は形で覚える字。 「言語」・・・「言」はこれだけでは難しいですが、次ぎに「語」があるので、熟語と分かります。 「がたし」・・・「多」は変体仮名で「た」。ひらがなの「こ」のように崩します。 「築地」・・・「築地塀」。『ついじべい』。土で作った塀の上に屋根を葺いた塀。「ついじ」と「つきじ」で意味が異なります。「つきじ」は埋め立て地。 「くづるゝ」・・・「徒」は変体仮名で「つ」。 「ゆ里て」・・・「里」は変体仮名の「り」。地震が揺れて崩れるのではない。 地中から烈しい気が吹き出すのである。