古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十一章 苫草場争い 其の三十

2014年04月30日 06時33分42秒 | 古文書の初歩

 

「苫草場争い・願奉口上」第七頁、上の九~十行目

 

解読 少も開セ不申、先規之通り是迄双方

    格別ニ所持仕来御座候処ニ、此度下村(より)

 

読み (下村へは)少しも開かせ申さず、先規の通り是まで双方

    格別に所持仕り来たり御座候処に、この度下村(より)

 

解説 「少も開セ不申」・・・七行目にも出ました、「少しも開かせ申さず」と読みます。 「先規之通り」・・・前々からの規則の通り。以前から決めている通り。 「是迄」・・・「迄」が難しい。異体字です。 次行の最初は「格別ニ」・・・別々に。「別」の崩し字は「前」の崩しとたいへん良く似ています。私は今も区別がつきません。 「所持仕来」・・・所持仕り来たり。「所持」も難解です。 「此度」・・・此のたび。「此」も形で覚える字。


第二十一章 苫草場争い 其の二十九

2014年04月29日 07時34分00秒 | 古文書の初歩

 

「苫草場争い・願奉口上」第七頁、上の七~八行目

 

解読 候ニ付、上村江ハ少も開セ不申候。上村領内

    内ニも新田畑少々起申候へ共、下浦へハ

 

読み 候に付き、上村へは少しも開かせ申さず候。上村領内

    内にも新田畑少々起こし申し候えども、下浦へは

 

解説 「上村江ハ少も開セ不申」・・・「開く」は開墾する事。田並浦の開墾については、上村には少しも開墾させなかった。 「申」の次のニの様な字は「候」。 「上村領内」八行目の最初の「内」は重複です。 「新田畑」・・・『しんでんばた』。開墾して作った新しい田畑。 「起」・・・「起こし」は開墾すること。 次の「申候へ共」・・・申の次の「候」が難解。


第二十一章 苫草場争い 其の二十八

2014年04月28日 07時32分14秒 | 古文書の初歩

 

「苫草場争い・願奉口上」第七頁、上の五~六行目

 

解読 ちか平ミ堤平ミ田ノ崎其外、谷々不残

    夥敷畑ヲ起、所持仕候へ共、領分相分御座

 読み (な)ちか平み・堤平み・田の崎その外、谷々残らず

    夥しく畑を起こし、所持仕り候えども、領分相分け御座

 解説 「ちか平ミ」・・・前行からの続きで、「なちか平見」、現代では「名近」と書いています。田並・有田境界付近の地名。「平ミ」『ひらみ』とはこの地方の言葉で、丘の表面を平に造成して畑として利用している、高台の農地の事を言います。地学的には、「海岸段丘」を均して、畑や宅地として利用している高台の農地・住宅地のこと。 「堤平ミ」・・・田並浦西側の高台の開拓農地。 「田ノ崎」・・・田並浦西側の小さい岬。ここも小さい丘を開拓して農地として利用していました。 「谷々」・・・これは丘とは違って、丘と丘との間の平地。 「不残」・・・読むのは難しいですが、下から返って「残らず」。 六行目最初は「夥敷」・・・夥しく。『おびただしく』。 「畑ヲ起」・・・畑を起こし。荒れ地を開墾して畑として利用する事。 続いて「所持」・・・所有。読むのは困難。 「仕候へ共」・・・仕りそうらえども。 「領分相分」・・・領分相分け。 「海岸段丘」とは、古代海面と同じくらいの海抜の高さに有って、波によって平に均され、その後隆起して台地状になった地形の事。 


第二十一章 苫草場争い 其の二十七

2014年04月27日 07時43分26秒 | 古文書の初歩

 

「苫草場争い・願奉口上」第七頁、上の三~四行目

 

解読 上申筈ニ御座候御事

    一、上下領内相分御座候ニ付、田并浦領内な

 

読み (差し)上げ申す筈に御座候おん事。

    一つ、上下領内相分け御座候に付き、田並浦領内な(ちか)

 

解説 (書き付け差し)「上申筈ニ」・・・差し上げ申す筈に。 「御座候御事」・・・御座候おん事。ここは現代文に翻訳するのが難しい言葉の使い方です。私は、「書付を差し上げる筈で御座いますと言う事実」と解釈しています。 「一」・・・一つ。ひとつ書きの次の項目の始まり。 「上下領内」・・・『かみしも』領内。かみ村としも村の領内。 「相分御座候ニ付」・・・相分け(相分かち)でもよい。「分」の字は難しい。 次の「御座候ニ付」の「御」も読めません。 「田并浦領内な」・・・「田並浦領内なちか平ミ」と続きます。「なちか」は地名です。「な」もヒラカナですが読むのは困難。

 


第二十一章 苫草場争い 其の二十六

2014年04月26日 07時14分58秒 | 古文書の初歩

 

「苫草場争い・願奉口上」第七頁、上の一~二行目

 

解読 領分夫より有田上、吐生村領分との境目

     書上申儀ニ御座候へハ、連紙ニ而書付差

 

読み (上村)領分、夫れより有田上・吐生村領分との境目

     書上申す儀に御座候へば、連紙にて書き付け差し(上げ)

 

解説 最初は「領分」・・・有田上村の領分。 「夫れより」・・・そこから。 「有田上・吐生村領分」・・・有田上村と吐生『はぶ』村の領分。 「と」の次は「の」。 「境目」・・・境界線。 「書上」・・・書き上げ。「書」の崩しに慣れること。 「申儀に御座候へば」・・・書き上げますので。 「連紙」・・・前頁に出ました。「連」も難解です。「連名の文書」。 「書付差上」・・・書類を提出させて戴く。