古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第三十八章 極窮者江救合取替遣帳其十六

2015年01月31日 07時55分47秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「極窮者江救合取替遣帳」第五頁、上の七行目以下

解読 左の通り

    頭立并ニ組頭

    両役立見計遣ス

    文久元年  酉三月

読み 左の通り

    頭立並びに組頭

    両役立ち見計り遣わす

    文久元年 酉三月

解説 「左の通り」・・・ここの「左」の方が五行目の「左」よりもよく出る形です。 「頭立」・・・地区の組の長たる役。 「組頭」・・・五人組の長。「頭」は形で覚える字。「并ニ」は現在の「並びに」と言う字として使われました。「田並」と言う村名も「田并」と書きました。 「両役立見」・・・頭立と組頭という二人の役職の者がその場に立ち合って。 「計遣ス」・・・計量して配布した。


第三十八章 極窮者江救合取替遣帳其十五

2015年01月30日 06時56分39秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「極窮者江救合取替遣帳」第五頁、上の四~六行目

解読 様より當村極窮之者共へ

    御救被為成下候ニ付、左の

    名前之者共へ右割遣ス。

読み 様より当村極窮の者どもへ

    お救い成し下せられ候に付き、左の

    名前の者どもへ右割り遣わす。

解説 「者共へ」・・・少し判りにくい書き方です。「へ」は通常「江」と書くケースが多いのですが、この書き手は「へ」をよく使っています。 「被為成下候ニ付」・・・下から返って「成し下せられ候に付き」。「為」は「せ」・「させ」などと読む。「候」の下に小さく「ニ」が見えます。 「左の」・・・左に書いている。この「左」は珍しい書き方です。 「名前」・・・「前」が上から二重に書いているので読みにくい。 「者共へ」・・・二回目です。 「割遣ス」・・・別け与える。「遣」は読むのは困難。文章の流れで読みます。


第三十八章 極窮者江救合取替遣帳其十四

2015年01月29日 08時20分35秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「極窮者江救合取替遣帳」第五頁、上の一~三行目

解読 一、銀札五拾目也

    右者文久元年酉三月

    米穀高直ニ付、□□□(様より)

読み 一つ、銀札五十目也

    右は文久元年酉三月

    米穀高値に付き、□□□(様より)

解説 「一」・・・これは一つ書きの「一」ではなく、習慣上、金額の頭に附す「一」です。「一つ」と読みます。 「銀札」・・・『ぎんさつ』、江戸時代、銀貨の代りに用いた藩の紙幣。 「五拾目」・・・「拾」が読めません。銀貨は重さで量ります。五十目は「五十匁」と同じ。慣習上、一から十までは「匁」と言い、「十」・「二十」等は「目」と言いました。同じ重さの単位です。 「右者」・・・右は。 「酉三月」・・・これも小さくて読みにくい。 「米穀」・・・「穀」が難解です。 「高直」・・・「直」は「値段」の「値」と同じ使い方です。『たかね』。米の値段が高いので。 「□□□様」一応伏せ字にしておきます。


第三十八章 極窮者江救合取替遣帳其十三

2015年01月28日 07時31分35秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「極窮者江救合取替遣帳」第四頁、上の最終四行

解読 右三ヶ所之六歩持之筋、村内へ

    被下候ニ付、村方ニも四歩通り歩銀

    取可申候。極窮之者共伐取せ

    申遣シ候。已上。

読み 右三箇所の六歩持ちの筋、村内へ

    下され候に付き、村方にも四歩通り歩銀

    取り申すべく候。極窮の者ども伐り取らせ

    申し遣わし候。以上。

解説 「三ヶ所之」の「ヶ」の字と「所」の右の伸びが読みにくい。右下に伸びている縦棒は「之」と読んでおきます。  「六歩持之筋」・・・ここの「筋」の意味がはっきりしませんが、ここでは一応「部分」「ところ」として置きます。文意は「右の三箇所の山林のうち、六歩持ちのところだけ」。 「村内」の下部の横棒は「へ」です。 「被下候ニ付」・・・下され候に付き。 「村方ニも四歩通り」・・・六歩の分は村内極窮者へ下さるので、村方一般にも残りの四歩は。 「歩銀取可申候」・・・分け前の金額を取ります。「取」の次の「又」の様な字は、串本町史では「不」と読んでいますが、意味が通らないので、多少似ている「可」と読みました。これなら意味は通ります。 「極窮之者共」・・・非常に困窮している者ども。 「伐取せ申遣シ候」・・・材木を伐って売り、生活の金を得させること。どの文字も読むのは難しいです。 「已上」・・・以上。  


第三十八章 極窮者江救合取替遣帳其十二

2015年01月27日 07時52分56秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「極窮者救合取替遣帳」第四頁、上の七~九行目

解読 一、山林 壱ヶ所  □□持

                 村方持 合

    歩合之儀者右同断、村内

    極窮之者へ伐取せ遣ス。

読み 一つ、山林一箇所 □□持ち

                 村方持ち合い

    歩合いの儀は右同断、村内

    極窮の者へ伐り取らせ遣わす。

解説 「一、山林一箇所」・・・中の硲に有る、三箇所目の山林です。 「□□さん」と「村」が持ち合いの山林。 「歩合之儀者右同断」・・・持分の割合は、右に述べた山林と同じ割合。つまり六歩と四歩ということ。「歩」の字が難解。「之」は縦の棒になっています。「右同断」の「断」も読]読むのは困難です。 「村内極窮之者へ」・・・「内」と「者」が特に難しい。 「伐取せ遣ス」・・・伐り取らせ遣わす。材木を伐り取り売る事をさせる。