「免定」のまとめ、その二
⑤ 免定の説明に戻ります。「免定」とは、藩から各村・浦に対する年貢の割り当て令状の事で、「免状」とも書きます。『めんじょう』、又は『めんさだめ』と読みます。ここに示された拠出高を、村の役人(庄屋・肝煎)が総百姓立ち合いの上で、持ち面積その他の条件に応じて、各人に割り当てたのが、本年貢です。
⑥ 最初に書かれている「一、高三百十八石五斗五升六合」を「村石高」と言います。昨日の復習になりますが、百姓の所有する田・畑・宅地の全部から米が出来るものとして弾き出された数字で、米の生産量ではありません。
⑦ 村石高の右肩及び左肩に書かれている数字を「免」と言います。右肩の数字は、三年分の各年分の免で、三つ六分五厘は定数となっています。税率です。「三つ」は三割の事。三割六分五厘。左の肩の数字は、各年ごとの実際の税率です。「高」×「免」=年貢高となります。実際の収穫高に対する税率ではなく、架空の収穫高に対する税率ですから、賦課する方の立場から見ても過酷な数字ですから、古くて荒れた田畑、田方山川成り・田畑鍬先等々収量の少ない田畑については、年貢の対象にはなりませんでした。これを「諸引」と言います。文書の最後の「後書き」で、各個人への割り当てが、不公平にならない様にとか、納期などを書いています。「取」というのが、石数×免で、納付額となります。「取」を書いてない箇所も有りますし、どの様な計算で出来た数字か解らない数字も多く、現在人から見れば、「免定」の計算そのものが全体としてよく解りません。(串本町教委「潮埼荘1」)から引用。
⑧ お正月は一月一日から五日まで休ませて戴きます。良いお年をお迎え下さい。