古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十三

2012年01月16日 09時54分23秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第十二ページ(上の写真の六行目~八行目)

解読    是者当子正月

      御上洛之節口熊野大嶋串本両浦初

      弐拾八ヶ浦諸入用御下ケ

読み方  是は、当子正月

     御上洛の節、口熊野大嶋串本両浦初め

     二十八ヶ浦諸入用お下げ。

解説  「是者」・・・読みにくいですが、回数を重ねると読める様になります。 「当」・・・なぞった様な跡があります。 次は欠字で、「御上洛」を次行の最初に置いています。 「節」も二文字に見えます。形で覚える字です。 「口熊野」・・・奥熊野に対する地域の名前で、周参見代官所管内、周参見・江田・古座・三尾川・四番の五組の地域を言います。 「大嶋、串本」は実際に将軍家茂が足跡を残した所。 「両浦」・・・「両」も何度も出ますが難しい。 「初」も何度も出ますが読むのは難しいです。 「御下ケ」・・・「立て替えていた諸費用が下げ渡された『支払われた』と言う事です。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十二

2012年01月15日 09時54分30秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第十二ページ(上の写真の三行目~五行目)

解読   内

      弐百五石三斗五升弐合

      八拾三〆三百九拾目五分弐厘

読み方  内

      二百五石三斗五升二合

      八十三貫三百九十目五分二厘

解説  内『右の一つ書きの内別け』。 「弐百五石」の「五」がちょっと読めません。「五」はこの様に書くので覚え込んでください。下にも出ます。 「三斗三升」・・・「斗」と「升」の区別がはっきりしません。 二百五石の方は勿論米で、八十三貫の方は通貨になります。 「八拾三〆」・・・「〆」は「貫」の略字体。 「五」・・・続けて出て来ますが、特徴のある崩し方です。形で覚える文字です。「分」は「下」によく似た字になります。 「り」・・・「厘」の省略形。 金一両は、銀六十匁。銭四貫文と同じです。八十三貫とは、約二十両となります。一両は約六万円とされていますので、約百二十万円となりますが、仕事の内容にも依りますので、多いか少ないか一概には言えません。 「目」は「匁」(もんめ)と同じ。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十一

2012年01月14日 10時00分18秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

家茂公第十二ページ(上の写真の一行目~二行目)

解読    一 銀百拾弐貫七百七拾三匁弐分六厘

        米弐百四拾六石七斗六升四合

読み方  一つ 銀 百十二貫七百七十三匁二分六厘

        米 二百四十六石七斗六升四合

解説  上の「一つ」は銀と米両方に架かっています。 「貫」・・・この「貫」はちょっと読みにくい崩しです。弐文字に見えます。 「匁」・・・これも読み取りにくい文字です。 「弐分」・・・「分」はこの様な崩しです。 「六厘」・・・「り」と書いて「厘」。 「斗」と「升」はよく似た崩しになります。  


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十

2012年01月13日 09時17分36秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第十一ページ(上の写真の署名宛名欄)

解読             松嶋杢之助

        三月廿二日  村上助右衛門

              城・浦・橋爪・渡瀬宛

読み方             松嶋もくのすけ

        三月二十二日  村上助えもん

             城・浦・橋爪・渡瀬 宛

解説   「松嶋杢之助と村上助右衛門」は周参見代官所の代官です。「杢」の字は縦に伸びていますが、分かり易いと思います。 宛名の「城」は周参見組、「浦」は江田組、「橋爪」は古座組、「渡瀬」は三尾川組のそれぞれ大庄屋です。中では「渡瀬」が最も難解です。サンズイヘンの形に注意。 


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その二十九

2012年01月12日 09時29分50秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第十一ページ(上の写真の三行目~四行目)

解読    ニて水主并人足為賃銀米左之通り御下ケ之儀

      御料簡相済候付、此段為心得申遣候。以上。

読み方  にて水主并びに人足賃銀米として、左の通りお下げの儀

     御料簡相済み候に付き、この段心得のため申し遣わし候。以上。

解説  「水主」・・・「かこ」と読む。水夫・船乗り・船員の事。 「并」・・・現代の「並」と同じ使い方です。「並びに」。 「為」・・・賃銀米の為。賃銀米として。 「御料簡」・・・取り計らい。 「此段」・・・「此」の崩しに注意。形で覚える字。 「為心得」・・・心得の為。 「申遣」・・・「遣」が難解です。つかわす。 「候。以上」」・・・一文字になっていますが、右が候で、左が以上。