古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の十二

2013年12月31日 07時13分05秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上控」第二頁、上の十一~十二行

 

解読 右霞ヶ谷之義往古より山林計ニ而ハ

    無御座当村百姓尾崎之弥次右衛門

 

読み 右霞が谷の義、往古より山林ばかりにては

    御座無く、当村百姓尾崎の弥次え門

 

解説 一段低く書いている部分です。但し書きの様な内容になります。 「谷之義」・・・「之」「義」と縦に細く書いているので分かりにくい。 「往古」・・・昔。 「計」・・・「はかり」ですが、ここは当て字で「ばかり」と読みます。 「ニ而ハ」・・・にては。 「無御座」・・・ござ無く。 「尾崎之弥次衛門」・・・「尾崎」は苗字ではなく、地名です。尾崎という地に住んでいる弥次右衛門。「次」「右」の崩しに注意。「衛」はほとんど字になっていません。

明日からのお正月三か日はお休みとさせて戴きます。


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の十一

2013年12月30日 05時36分26秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上控え」第二頁、上の九~十行目

 

解読 子孫拂底ニ相成方々江賣拂申候との

    義申出候得共是以如何之様ニ奉存候。

 

読み 子孫払底に相成り、方々へ売り払い申し候との

    義申し出候えども、是以ていかがの様に存じ奉り候。

 

解説 「子孫拂底」・・・『しそんふってい』。跡継ぎの者が無くなる事。「払底」は底をつく事。無くなること。「拂」は「払」の旧字体。 「賣拂申」・・・「賣」は「売」の旧字体。「申」はPの様な字で、下部の跳ねたところが「候」です。 十行目最初は「義」。 続いて「申出」・・・「出」はこういう形も有ります。 次の点は「候」で、「候得共」で「そうらえども」。申し出て来ましたが。 「是以」・・・この事は。 「如何之様ニ」・・・どうであろうかと。「如何」は疑問を現す言葉。ここの「m」は八行目最後の「m」と少し違います。「様」と読んで置きます。 最後は「奉存候」・・・「存じ奉り候」。「存」の形になっていませんが、慣用句として文の流れで読みます。


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の十

2013年12月29日 07時33分05秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上控え」第二頁。上の七~八行目

 

解読 奥孫九郎と申仁谷口より霞ヶ谷詰迄田畑

    山林不残先祖より持傳致所持罷有候処

 

読み 奥孫九郎と申す仁、谷口より霞ヶ谷詰め迄田畑

    山林残らず先祖より持ち伝え所持致し罷り有り候処、

 

解説 「奥孫九郎と申仁」・・・「仁」は『じん』。奥孫九郎と言う人が。苗字が有ると言う事は、大庄屋又はそれに準ずる人物と言うことになります。 「谷口より」・・・谷の入り口から。 「霞ヶ谷詰」・・・「詰め」は端『はし』。「詰」は難しい字です。 「迄」・・・異体字の「迄」はこの様な書き方も有ります。 「山林不残」・・・山林残らず。この付近の田畑から山林まで残らずすべて。 「持傳」・・・「傳」は「伝」の旧字体。 「致」も難解。次の「所持」も読むのは困難ですが、慣れてきます。下から返って「所持致し」。 次の「罷有」も読むのは困難。回数を重ねましょう。 次の点は「候」で、最後の「m」は「処」の崩しです。「m」は「故」と読んだり、「処」と読んだり、「様」と読んだり臨機応変に文意から読みましょう。 


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の九

2013年12月28日 06時08分31秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上控」第二頁、上の五~六行目

 

解読 嘗而無之勿論右谷之内ニ者当時山川

    成荒ニ御座候得共、御検地等請ケ往古者

 

読み 嘗てこれ無く、勿論右谷の内には当時山川

    成り荒れに御座候えども、御検地など請け往古は、

 

解説 「嘗而」・・・嘗て。『かつて』。 「無之」・・・これ無く。他村領から流れて来る様な谷川などは、一度も無かった。 「右谷」・・・「右」が読みにくい。前述の谷筋。 「当時」・・・「当」が「南」に見えます。 「山川成荒」・・・山川が荒れ放題に成ること。「成荒」・・・読み方が分かりません。 「御座候得共」・・・字が薄くて読み辛い。「御」と「候」が極端に小さく、「座」と「得」を大きく書いています。「得」の次は「共」=「ども」。 「御検地」・・・「検」は教えて貰わねば読めない字です。 「ホ」は「等」の崩し。 「請け」も難解。 「往古者」・・・往古は。昔は。 


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の八

2013年12月27日 07時45分47秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉返答口上控え」第二頁、上の三~四行目

 

解読 谷口より霞ヶ谷迄奥ニ瀧壱ヶ所御座迄ニ而

    水流一谷ニ而、他領より紛敷入込候谷筋等

 

読み (奥地ヶ)谷口より霞ヶ谷迄、奥に瀧一箇所御座候迄にて

    水流一谷にて、他領より紛らわしく入り込み候谷筋など

 

解説 「霞ヶ谷」の次の字は読みにくいですが「迄」です。田並上村領の奥地ヶ谷口より霞ヶ谷迄の間には。 「御座候迄ニ而」・・・「奥に瀧一箇所有る所までにて」。「迄」にはこの様な形も有ります。 「水流一谷にて」・・・水の流れは一つの谷川の一本だけで。 「他領」・・・「他」が難しい。 「紛敷」・・・紛らわしく。この用法は 「入込候谷筋ホ」他村の領分から紛らわしく入り込んで来た谷川の流れなど。「ホ」は「等」の略字です。