古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十三章・網代黒山松一件御通詞控その三十五

2012年12月30日 08時08分00秒 | 古文書の初歩

乍恐奉願上口上第九ページ、上の画像の七~八行目

解読 百姓共へ申聞仕候處、右者先年も及縺内

    済取曖ヲ以樫野古座高川原江三歩つゝ

読み 百姓共へ申し聞かせ仕り候処、右は先年も縺れに及び内

    済取り扱いを以て樫野・古座・高川原へ三歩づつ

解説 「百姓」の次は「共へ」です。「百姓どもへ」。 「申し聞かせ仕り」の次に「候」が有る様に見えます。次は「處」。 「右者」・・・右は。 「及縺」・・・下から返って「縺れに及び」・・・混乱してややこしくなる。 「内済」・・・内々で済ます。訴訟まで行かずに内輪で解決する。 「取曖」・・・「取り扱い」と同じ。この「曖」は「口偏」ですが、私のソフトでは「日偏」しか出ませんので、間違いですが、こんな感じの文字という意味で使用しました。ご勘弁下さい。この「口偏」に「愛」という字は、現在では殆ど使いませんし、古文書でも最難読文字の一つになっています。この字は滅多にお目にかかりませんが、ここで出会えたのはラッキーと思って、この際覚えて下さい。但し漢和大辞典でも読みは『ああ』とか『おくび』と出ていて、『あつかう』と言う読みは見あたりません。 次はかすれていて読みにくいですが、「ヲ以」です。 最後も読みにくいですが、「三歩つゝ」・・・「三分づつ」と書いています。

勝手ながら、大晦日と正月三が日は本ブログは休ませて戴きます。その間にスキャナーの調整が出来ないかと思います。追記・・・スキャナー補正出来ました。最下行の文字も写っています。


第十三章・網代黒山松一件御通詞控その三十四

2012年12月29日 08時39分31秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願上口上第九ページ、上の画像の五~六行目

 

解読 御取扱ヲ以樫野浦五歩、古座高川原江五歩

    ニ配當仕、事済候様被仰付候ニ候。右之趣

読み お取扱を以て樫野浦五歩、古座高川原へ五歩

    に配当仕り、事済み候様仰せ付けられ候に候。右の趣

 

解説 「御取扱」・・・「取」は形で覚える字。出る回数も多いので、自然に頭に入ります。 「五歩」・・・五分と同じ。十分の五。全体の半分。 つまり地元の樫野浦へ半分。古座と高川原二村へ残りの半分という配当。 「仕事済」・・・仕り、事済み。その様に配当して事案が終了すること。 「被仰付」・・・下から返って「仰せ付けられ」。 次の小さい「し」のような字は「候」で「ニ」を挟んで形は違いますが、又「候」。 「右之趣」・・・「趣」は下部が写っていませんが、「走にょう」に「取」という字が見えます。(前行の初めに出ました。) 「趣」の箇所補正出来ました。


第十三章・網代黒山松一件御通詞控その三十三

2012年12月28日 08時09分51秒 | 古文書の初歩

 

 

 

乍恐奉願上口上第九ページ、上の画像の三行~四行目

 

解読 吹倒右傷木入札拂代銀樫野浦よ梨

    彼是申掛相縺候ニ付此度御両所様内済

読み 吹き倒れ、右傷木入札払い代銀樫野浦より

    彼是申し掛け相縺れ候に付き、此の度御両所様内済

 

解説 「吹倒」・・・大風が吹いて、物を倒すこと。 「傷木」・・・倒れて傷んだ木材。『きずき』と読むのか、『いたみぎ』と読むのか判りません。そう言えば昨日一行目の「生立」も『はえたち』か『おいたち』か判りません。現代人の用語とは相当異なるところがあります。 「拂代銀」・・・支払った代金。 「よ梨」・・・『より』。 「彼是」・・・何やかやと。 「相縺」・・・糸偏に連で『もつれる』。争いごとが生じること。 「縺」の次の「レ」は「候」です。 「御両所様」・・・お二人様。この場合は、二人の大庄屋のこと。あとで出て来ます。 「内済」・・・訴訟まで持ち込まないで、内々で解決すること。


第十三章・網代黒山松一件御通詞控その三十二

2012年12月27日 08時40分16秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願上口上第九ページ、上の画像の表題と一~二行目

 

解読      乍恐口上

     樫野浦黒山ニ生立候松林之儀先年ヨリ

     持合山林ニ御座候。然處去辰七月大時気ニ

読み     恐れ乍ら口上

     樫野浦黒山に生い立ち候松林の儀、先年より

     持ち合い山林に御座候。然る処去る辰七月大シケに

 

解説 「乍恐」・・・下から返って「恐れ乍ら」。 「口上」・・・口頭で申し上げること。 「生立」・・・生い立ち。生えて立つ事。成長すること。 「持合山林」・・・持ち合い山。複数の者が所有する山。 「然處」・・・然るところ。・・・ところが。 「辰七月」・・・文化五年の七月、(一八0八年)。 「大時気」・・・『おおしけ』と読む。大時化。大シケ。 一番下の文字が入りません。許してください。 追記・・・一番下の文字補正出来ました。


第十三章・網代黒山松一件御通詞控その三十一

2012年12月26日 08時05分09秒 | 古文書の初歩

 

乍恐奉願上口上第八ページ、上の画像の署名と宛名欄

 

解読  文化六年巳六月  高川原村庄屋 又右衛門

                  古座浦庄屋 平三郎

                  樫野浦庄屋 甚吉

     樫野浦買主  平兵衛殿

     小川村     次右衛門殿

読みは省略します。

 

解説 「文化六年」・・・一八0九年、巳年に当たります。「年」は少し消えていて読めませんが、典型的な崩し方となっています。 「庄屋」は読みにくいですが、前出。 三つの村の庄屋の連名となっています。 宛名は取引の相手方で、個人名。 「樫野浦」の次は「買主」と読みましたが、これは自信がありません。 「平兵衛殿」・・・「平」も「兵」も「衛」も「殿」も全部難しい。 「小川村」・・・『こがわむら』と読みます。 「次右衛門殿」も教えて貰わねば読めない名前です。 古文書では、文章だけでなく、人名も非常に難解です。