古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十六章 新島襄の手紙・備中玉島行きその二十一

2013年02月28日 07時39分04秒 | 古文書の初歩

 

新島襄の手紙備中玉島行き其の二、上の画像の追伸部分一~二行目

解読 尚々寒気甚強ク御座候間、折角御養生可被遊様

    御老大人様へも宜し久被仰上可被下候。

読み 尚々寒気甚だ強く御座候間、折角御養生遊ばされるべき様

    御老大人様へも宜しく仰せ上げられ下されるべく候。

 

解説 「寒気」・・・「寒」は形で覚える字です。 「強ク」・・・薄くて読みづらい。 「御座」の次は「候間」・・・『候あいだ』「たいへん寒うございますので」。「間」も形で覚える。「一日」と書いている様にも見えます。 「折角」・・・努めて。十分気をつけて。 「養生」の「養」と十五行目の「着港」の「着」は同じに見えます。 「可被遊様」・・・特に「可」「被」が読むのは困難です。『されるべく』と読む。「遊」はここでは『あそばす』と読み、「遊ぶ」の尊敬語です。 「御老大人様」は二回目です。 「宜し久」・・・「久」は変体仮名の「く」。 「被仰上」・・・「被」は「ヒ」と書いています。「仰」も難解。 「可被下」・・・下されるべく」と読む。 最後の点は「候」です。

今日は最初の白黒コピーの原稿をスキャンしました。字が小さく申し訳ありません。同志社社史資料センター許可済み。転載禁止。


第十六章 新島襄の手紙・備中玉島行きその二十

2013年02月27日 07時56分30秒 | 古文書の初歩

新島襄の手紙備中玉島行き其の二上の画像十五~十六行目

解読 間敷様奉合掌候。右者着港仕候故、荒まり

    奉達 御聞候。 百拝百拝

    十二月五日      七五三太

    御大人様 尊下

読み まじく様合掌奉り候。右は着港仕り候故、荒まり

    お聞かせ達し奉り候。 百拝百拝『ひゃっぱいひゃっぱい』

    十二月五日     七五三太『しめた』

     御大人様 尊下『そんか』

解説 「間敷様」・・・『まじくよう』。ご心配下されません様。 「奉合掌候」・・・合掌奉り候。「手を合わせて御願い申し上げます。」「合掌」・・『がっしょう』 「右者」・・・右は。右に書いた事は。 「着港」・・・「着」は教えて貰わねば読めない字です。 目的の港へ着いたので。 「荒まり」・・・「あらまし」の書き間違いと思われます。 「奉達 御聞候」・・・お聞かせ達し奉り候。少し苦しいですが、「聞」には「聞かせる」という読みも有るので、この様に読みました。間違っているかも分かりません。 「百拝」・・・何度もお辞儀をする事。繰り返す事によって、最大限に頭を下げている様子を表しています。 「七五三」・・・『しめ』と読み、「七五三太」で『しめた』と読ませます。新島襄の幼名です。」『しめなわ』は「注連縄」又は「七五三縄」とも書く。 これは最後のまとめで再度解説する予定。 「御大人様」・・・父のこと。父新島民治宛て。 「尊下」・・・手紙の宛名の脇付に書く敬意を表す言葉。十五行目見えませんが、昨日の画像でご覧下さい。


第十六章 新島襄の手紙・備中玉島行きその十九

2013年02月26日 07時40分38秒 | 古文書の初歩

 

 

新島襄の手紙備中玉島行き其の二、上の画像の十三~十四行目

 

解読 被為有候様ニ毎朝塩水を加婦り今日様を

    臥拝仕候。何卒舩中之事者御心配被下

読み 有らせられ候様に、毎朝塩水をかぶり今日様を

     臥し拝み仕り候。何卒船中の事は御心配下され

 

解説 「被為有」・・・「為」は使役の意味の助動詞で、「・・せ」「・・させ」と読みます。ここでは「有る」に「せ」で「有らせ」。はじめの「被」は「受け身」又は「尊敬」を表す助動詞で「・・られ」と読み、ここは「有らせられ」。文意は「皆様ご無事でいらっしゃいます様に」。 「有」の次に「候」があります。 「塩水」はとても難解です。 「加婦り」・・・かぶり。「加」は「か」、「婦」は「ふ」でいずれも変体仮名です。 「今日様」・・・太陽のこと。お天道様。 「臥拝」・・・伏し拝み。「臥」『ふす』は「うつむく」「腹ばいになる」ですが、頭を下げて拝む、一礼して拝む事。 「仕」の次は「候」。 「何」は書き直しています。 「事者」・・・事は。「者」は何度も出ますが、十の様に崩しています。 「ヒ下」・・・「被下」下され。「被」をカタカナの「ヒ」と崩す場合も一般的に多い様です。


第十六章 新島襄の手紙・備中玉島行きその十八

2013年02月25日 08時55分48秒 | 古文書の初歩

 

新島襄の手紙備中玉島行き其の二、上の画像の十一~十二行目

 

解読 出帆前者色々御心配被下、骨髄ニ通り難有奉存候故

    私留守中御老大人様初御一統様御無事ニ

読み 出帆前は色々御心配下され、骨髄に通り有り難く存じ奉り    候故

    私留守中御老大人様初め御一統様御無事に

 

解説 「出帆」の次は「前者」・・・前は。「前」も「者」も難しいですが、「者」は二行前にも出ました、変体仮名の「は」です。 「御心配」の次は「被下」・・・『下され』。 「骨髄」・・・骨の真ん中、骨の芯。「骨髄に通り」・・・心の底に通る。 「難有」・・・下から返って「有り難く」。 「奉存」の次は「候故」と書いています。 「御老大人様」・・・祖父のこと。「御」の字書き始めの第一筆が左下に下がり過ぎのくせが見られます。「老」は難解文字。画像の位置が一定せず御迷惑を掛けています。


第十六章 新島襄の手紙・備中玉島行きその十七

2013年02月24日 13時18分32秒 | 古文書の初歩

 

新島襄の手紙備中玉島行き其の二、上の画像の九~十行目

 

解読 候得共、今日者労レも抜ケ上陸仕諸々見物仕候處

    人烟殊繁し久甚立派なる港ニ御座候。扨

読み 候えども、今日は疲れも抜け上陸仕り諸々見物仕り候処

    人烟殊に繁しく甚だ立派なる港に御座候。さて

 

解説 「候得共」・・・そうらえども。 「今日者」・・・今日は。「者」は崩すと「十」に見えます。 「労レ」・・・疲れ。 「抜ケ」・・・ちょっと読めません。 「仕」の次は「候處」。 「人烟」・・・『じんえん』民家から立ち上るかまどの煙。「烟」は「煙」と同じ。 「殊」・・・殊に。 「繁しく」・・・『しげしく』。多いこと。 「人烟殊に繁しく」・・・煙が多いと言う意味ではなく、民家が密集している様子を言っています。仁徳天皇の御歌『民のかまどは賑わいにけり。』の趣旨と同じイメージです。 「扨」・・・『さて』。ところで。

同志社社史資料センター許可済み。転載禁止。