古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十二章 乍恐奉願口上・その十一・御座

2012年08月31日 06時18分33秒 | 古文書の初歩

 

 

 

乍恐奉願口上第三ページ、上の画像の三行目四行目

解読 御座候得共甚タ迷惑仕罷在候付、何卒代り牛相求

    百姓相続ニ相成り候様御取扱奉願上候。以上。

読み ご座候えども、甚だ迷惑仕り罷り在り候に付き、何卒代わり牛相求め

    百姓相続に相成り候様、お取扱願い上げ奉り候。以上。

 

解説 初めから分かりにくいですが、慣用句で「御座そうらえども」。「座」の次の点は「候」です。 「迷惑仕罷在」・・・「罷り在り」も難解です。 「候付」・・・この場合は「ニ」が有りませんが、読むときは「候に付き」と読みます。 四行目、「百姓相続ニ相成り候様」・・・百姓という職業が続けて行けますよう。 「奉願上候」・・・願い上げ奉り候。 この第三ページの文章は、吉右衛門からの願い書きを受け付けた中村の庄屋が、大庄屋に取り次いで、裁定をお願いしている文章になります。


第十二章 乍恐奉願口上・その十・右願

2012年08月30日 06時42分45秒 | 古文書の初歩

 

 

 

乍恐奉願口上第三ページ、上の画像の一行目二行目

解読 右願之通相違無御座候間、吉右衛門儀者至極難渋

    者之儀ニ付、自力ニ作牛得求不申、聊之田畑ニ者

読み 右願いの通り相違御座無く候あいだ、吉え門儀は至極難渋

    者の儀に付き、自力に作牛得求め申さず、聊かの田畑には

解説 「右願之通」・・・「願」も「通」も読みにくいですが、「通」のしんにょうが下部の「し」の様な部分です。 「相違無御座」・・・「相違無く」ではありません。「相違御座無く」と読みます。「御座」は丁寧さを表す接頭語。 「候間」・・・候あいだ。○○で御座いますので。「間」は特殊な崩しで、形で覚える。 「吉右衛門儀者」・・・吉え門儀は。「者」は変体仮名の「は」です。 「至極」・・・『しごく』。極めて。とても。「至」を読むのは難しい。 「難渋者」・・・『なんじゅうしゃ』、貧乏者。教えて貰わなければ読めない文字です。 「之儀ニ付」・・・貧乏ものであるので。 「自力ニ」・・・自分の力だけでは。 「作牛」・・・百姓仕事につかう牛。 「得求不申」・・・『え求め申さず』。買う事が出来ない。 「聊之」・・・『いささかの』少しばかりの。 「田畑ニ者」・・・田畑には。「者」は変体仮名の「は」。


第十二章 乍恐奉願口上・その九・依之

2012年08月29日 07時32分50秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願口上第二ページ、上の画像の九行目以下

解読 依之不得止事願書差上申候。以上。

              中村  吉右衛門  印

     午閏十月   親類同村  与助  印

読み これに依って止むを得ざる事、願い書き差し上げ候申し候。以上。

              中村  吉えもん  印

     うまうるう十月 親類同村  与助  印

解説 「依之」・・・これに依って。「之」が縦に長く伸びています。 「不得止事」・・・止むを得ざる事。 「願書」・・・願い書き。「願」も難しいが何とか形は分かります。 「差上」・・・「差」も何となく分かります。 次は「申候」で「申」はPのような文字、最後は「以上」。 署名欄、 願書を差し出した本人は、中村の吉右衛門さんで、証人として吉えもんさん『きちうえもん』ではありません。の親戚の与助さんが捺印しています。 午年のうるう十月で、日付は記入が有りません。午の年の十月が閏月になるのは、年号対照表で見ますと、天明六年か明治三年になります。天明ではあまりにも古いので、この文書は明治三年の閏十月ではないかと思います。単なる推定ですが。(太陰暦廃止、太陽暦移行は明治五年) 


第十二章 乍恐奉願口上・その八・而ハ

2012年08月28日 07時05分17秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願口上第二ページ、上の画像の七行目八行目

解読 而ハ百姓相続甚タ難儀仕詰候儀ニ付、何卒早々

  御取扱被成下百姓相続仕候様乍恐奉願上候

読み ては百姓相続甚だ難儀仕詰め候儀に付き、何卒早々

お取扱成し下され、百姓相続仕り候様恐れ乍ら願い上げ奉り候

 

解説 (これ無く)「而ハ」・・・ては。 「百姓相続」・・・親が死亡したときの相続ではなく、百姓を続けていくこと。 「甚タ」・・・分かりにくいですが、下の「タ」の字が異常に大きく書かれています。「はなはだ」。 次ぎも読みにくいですが、「難儀」・・・なんぎ。困難な事。 「仕詰」・・・しづめ。難儀ばかりしている様子を言います。 「候儀」・・・「儀」は何度も出て来ますが形は様々です。 「御取扱被成下」・・・「取」も難解ですが、出る回数も多いのでもう頭へ入りましたか。「お取扱成し下され」。 「候様」・・・相続出来ます様。 「乍」・・・読むのは困難です。表題と同じ「恐れ乍ら」の「乍」。 「奉願上候」・・・願い上げ奉り候。

牛が無くては百姓という仕事を続ける事が大変困難になるので、何卒早くお取扱下さって、百姓が続けて出来ますよう、恐れながら願い上げます。 


第十二章 乍恐奉願口上・その七・より

2012年08月27日 06時50分54秒 | 古文書の初歩

 

 

 

乍恐奉願口上第二ページ、上の画像の五行目六行目

解読 より有田浦庄屋御役江御掛合書状ヲ以役許様へ数度

    奉願候得共一向道付不被成下附而ハ代り牛無之

読み より有田浦庄屋御役へ御掛合い書状を以て役もと様へ数度

 願い奉り候えども、一向道付き成し下されず、附いては代わり牛これ無く

解説 最初の「より」は合成字です。 「有田浦」・・・「有」は三度目ですから解説はくどいかも知れませんが、難しいので念のため。 「御役江」・・・「役」も難解です。「御役」は丁寧語。 「書状」・・・「書」も難解文字の一つです。「出」という字によく似る場合が多い様です。 「役許様」・・・この三文字も説明無しでは読めません。「庄屋役の許へ」。 「奉願候得共」・・・願い奉りそうらえども。 「道付き」・・・「道」は前ページに出ました。 「不被成下」・・・成し下されず。解決の道を付けて下されず。「不」が小さく挿入されています。 「附而ハ」・・・就いては。「而」は変体仮名の「て」。 「代り牛」・・・代わり牛。代わりの牛。 「無之」・・・これ無く。