古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十一章 濱着口上書・その四十八

2012年06月30日 06時46分14秒 | 古文書の初歩

 

 

 

濱着口上書第十三ページ、上の画像の最終行

解読 捨り候上、猶追々打捨相凌候由ニ而凡六百駄余も

読み 捨てり候上、猶追々打ち捨て相凌ぎ候由にて、凡そ六百駄余も

解説 「捨り」・・・「捨てり」と読むのか分かりませんが、他の読み方も思いつきません。「り」の次ぎに「候」が有ります。 「猶追々」・・・「猶」は四行目に出ました。 次は「追々」。 「打捨」・・・「打ち捨て」・・・「打ち」は接頭語。 「相凌ぎ」の次ぎに「候」が有って、「由にて」と続きます。「相」も接頭語。 「ニ而」の「而」は「て」と読む。『しこうして』の「て」に由来しています。 次は「凡」・・・凡そ。 最後は「六百駄余も」。「駄」は酒や醤油の樽の単位。 文意は、「台風の為海中へ崩れこんだ上、更に段々と捨て続けて凌いだと言う事だが、結局は約六百駄余りも捨てた。」


第十一章 濱着口上書・その四十七

2012年06月29日 07時10分46秒 | 古文書の初歩

 

 

濱着口上書第十三ページ、上の画像の五行目六行目

解読 ニ付早々御越可然様御差配可被成候

    尤捨り荷数も聞糺候處、大騒崩

読み に付き早々お越し、然るべき様御差配成さるべく候。

    尤も捨てり荷数も聞き糺し候処、大騒崩れ

解説 「に付き」・・・(これ有り候)に付き。 「早々」・・・「早」の崩しも難解です。 「御越」・・・「御」にはこの様な崩し方もあります。支配所の役人がお越しになる事。 「可然様」・・・然るべき様。 「御差配」・・・お指図する。処置する。「差」も形で覚える字。 「可被成候」・・・成さるべく候。この五行目には「御」か二回、「可」が二回それぞれ異なる形で出ています。 「捨り」・・・「捨てり」とは現代では言いません。 「捨り荷数」・・・捨てた荷物の数。 「聞糺」・・・聞き糺し。質問して確認し。「聞」は形で覚える。 次は「候處」。質問して確認したところ。 「大騒」・・・『たいそう』。 最後は「崩れ」。 


第十一章 濱着口上書・その四十六

2012年06月28日 08時11分19秒 | 古文書の初歩

 

 

濱着口上書第十三ページ、上の画像の三行目四行目

解読 当組御支配所へも御達申上、火速御出役

    猶々厳重ニ御取締被仰付、相守有之候

読み 当組御支配所へも御達し申し上げ、火速御出役

    猶々厳重にお取り締まり仰せ付けられ、相守りこれ有り候

解説 「当組」・・・「古座組」のこと。 「御支配所」・・・周参見代官の出先機関で、古座には「目付」が駐在していました。「御」は「ホ」(等)と同じに見えますが、左の点の書き方が少し違います。 「御達し」・・・「御報告」。 「火速」・・・『かそく』。火急。至急。「火」の字は少し苦しいですが、「火速」という熟語が有るので、「火」と読みました。 「御出役」・・・「御出張」。この一行に「御」の字が三回出ていますが、それぞれ微妙に違います。 四行目の初めは難しいですが、「猶々」。 次は「厳重」。「重」も難解。 「御取締」・・・「取」は形で覚える崩し字です。 「被仰付」・・・下から返って「仰せ付けられ」と読みます。この場合の「被」は敬語になります。 「相守」・・・「守」も難解。形で覚える字です。 「有之」・・・下から返って「これ有り」。 最後の記号の様な字は「候」です。 


第十一章 濱着口上書・その四十五

2012年06月27日 07時12分58秒 | 古文書の初歩

 

 

 濱着口上書第十三ページ、上の画像の一行目二行目

解読 申出候付、一同立會残り荷物封印かけ

    船中合番等厳敷申付、村役人打廻り

読み 申し出で候に付き、一同立ち会い残り荷物かけ

    船中合い番等厳しく申し付け、村役人打ち廻り

解説 最初のPの様に見える字は「申す」です。「申出候付」。「出」の次は「候」。「候に付き」と読みます。 「會」は「会」の旧字体。 「残り」この字もちょっと読めません。難読文字の一つです。 「荷物」・・・「物」は若干消えています。 「封印」・・・封をかけて、割り印を押すこと。 「舩中」・・・「舩」もかすれていて読みにくいです。 「合番」・・・『あいばん』一緒に番をする事。相番。 「ホ」の様な字は「等」の崩し字です。 「厳敷」・・・厳しく。 その次はかすれていますが、「申し付け」。 「村役人」・・・前ページにも出ました。 「打ち廻り」・・・「打ち」は接頭語で、語勢を強める。


第十一章 濱着口上書・その四十四

2012年06月26日 07時25分39秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

今日は一行で、文もやさしく、一休みというところです。

濱着口上書第十二ページ、上の画像の七行目

解読 聞糺候處、前書之通り相違無之由

読み 聞き糺し候処、前書の通り相違これ無き由

解説 「聞」と言う字も想像出来ない崩し方です。形で覚える字。 「糺」・・・ただす。「質す」と同じ言葉です。 次の小さい縦棒は「候」で、続いて「處」。「處」の崩し方も特徴が有ります。形で覚えるにしても、覚えやすい字と言えます。 「相違無之」・・・相違これ無き。