古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第五十八章 「乍恐奉願口上書付」 其の五十五

2016年02月29日 07時56分56秒 | 古文書の初歩

「乍恐奉願口上書付」のまとめ

① 本章はページ数では、12頁と比較的長文の文書でしたが、現代人の我々からすると、文意がよく解らないままで終了する事となりました。お付き合い戴きました皆様にに対して、十分な説明が出来ず、誠に申し訳なくお詫び申し上げます。

② 要は、勘兵衛さんから、貸し主の○○さんへ、借金を返済する様お取扱を御願いする口上書と言う事になります。いずれにしても、借金が多く、その返済に苦慮する村人の暮らしが、最初から最後まで述べられています。それだけ年貢の納付がたいへんな事だったと言う事がよく解ります。

③ 本章では、難しい言葉もたくさん出ました。せめてその難解な言葉だけでもまとめて復習したいと思います。

「其許」・・・『そこもと』。そなたの。 「嘗以」・・・嘗て以て。今まで一度も。 「有躰」・・・『ありてい』。有りの儘。 「左候而者」・・・『さそうろうては』。そうであったら。 「親敷」・・・『したしき』。親しい。 「欠落」・・・不義理をして村から逃げる事。 「奥在」・・・奥の在。山奥の在所。集落。 「生得」・・・生まれつき。 「旁以」・・・『かたがたもって』。どちらにしても。 「御納所時分」・・・年貢を納める時期。 「又候」・・・『またぞろ』。またまた。

永らくお付き合い戴きました「田并上村文書」は本章を以て終了です。明日からは新しい古文書に入ります。


第五十八章 「乍恐奉願口上書付」 其の五十四

2016年02月28日 08時00分22秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第十二頁、上の五行目以下

解読 之と奉存候。無據奉御願申上候。

    依之乍恐書附ヲ以奉願上候。以上

               田并上村

     午 十一月      吉次 印

読み これ有るべしと存じ奉り候。よんどころ無く御願い申し上げ奉り候。

    これに依って恐れながら書き附けを以て、願い上げ奉り候。以上

     以下省略

説明  「之と」・・・「可有之と」・・・これ有るべしと。有るだろうと。 「奉存候」・・・存じ奉り候。「候」が難しい。 「無據」・・・『よんどころなく』。やむを得ない。余儀ない。 「奉御願申上候」・・・御願い申し上げ奉り候。 「依之」・・・これに依り。 「乍恐」・・・恐れながら。 「書附ヲ以」・・・書き附けを以て。文書にて。 「奉願上候」・・・願い上げ奉り候。・・・「候」の形が又違います。 「以上」・・・この「以」も形が違います。文章の流れで読みます。 「田并上村」・・・「田並上村」の事。 「午十一月」・・・年号は解りません。当時はこれだけで解ったのです。


第五十八章 「乍恐奉願口上書付」 其の五十三

2016年02月27日 08時04分37秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第十二頁、上の三~四行目

 

解読 奉恐入候得共、最早節季近ク相成

    又候○○方より厳敷催促も可有

読み 恐れ入り奉り候えども、最早節季近く相成り

    またぞろ○○方より厳しく催促もこれ有るべきと

 

説明 「奉恐入候得共」・・・恐れ入り奉り候えども。恐れ入り奉りますが。「候得共」は定型句です。 「最早」・・・もはや。「最」も「早」も読むのは難しい。 「節季」・・・『せっき』。年の暮れ。「季」の字が縦に長く書いていて読みにくい。年末も近くなって来たので。 「又候」・・・『またぞろ』と読みます。又しても。またもや。「候」が難解。「候」・・・「ぞろ」は宛て字です。 「厳敷」・・・厳しき。「敷」も難しい。 「催促も可有之」・・・厳しい催促も有る筈であろうと。「可有」・・・読むのは困難です。 


第五十八章 「乍恐奉願口上書付」 其の五十二

2016年02月26日 08時03分52秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第十二頁、上の一~二行目

 

解読 奉願上候。此節者御納所御取立御用

    繁之御時節ケ様ニ奉願候儀、重々

 

読み 願い上げ奉り候。此の節は御納所お取り立て御用

    繁の御時節、斯様に願い奉り候儀、重々

 

説明 この一行は左側が少し切れていますが、御容赦下さい。 最初は、「願い上げ奉り候」・・・願い上げ奉ります。 「此節者」・・・この節は。この時期は。 「御納所」・・・年貢を納めること。 「御取立」・・・年貢の取り立て。 「御用繁之御時節」・・・年貢の納付や取立の仕事が忙しい時期。「節」が難解です。 「ヶ様ニ」・・・斯様に。この様に。 「奉願候儀」・・・願い奉り候儀。この様なお願いをする事は。 「重々」・・・重ね重ね。 


第五十八章 「乍恐奉願口上書付」 其の五十一

2016年02月25日 07時44分59秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第十一頁、上の七~八行目

 

解読 ニ而委細可奉申上候。格別御慈悲之

    御了簡ヲ以早々御取扱被為成下候様

読み にて委細申し上げ奉るべく候。格別御慈悲の

    御了簡を以て、早々お取扱成し下せられ候様

 

説明 「ニ而」・・・「而」はヒラカナの「て」です。本文の「而」は「向」にも見えます。 「委細」・・・詳しい内容。 次は「一」に見えますが、「可」です。下に小さく「ゝ」が有ります。「申し上げ奉るべく」と読みます。 「候」は形が少し違います。この形にも慣れましょう。 「御了簡ヲ以」・・・お取り計らいを以て。 「早々」・・・「々」が「之」に見えます。 「被為成下候様」・・・何度も出ます。定型句です。成し下せられ候様。成し下さいます様。ここの「候」も難しい。